11 / 16
1章 追放
11 居場所のない2人
しおりを挟む
翌朝。
鍛冶屋オルド工房の前に立つと、鉄を打つ音がいつもより力強く響いていた。
フレアが横で小さく笑う。
「ねぇアレックス。
どんな剣になるか……ちょっと楽しみじゃない?」
「まぁな。特注で作ってもらうのは初めてだし、どんな剣になるのか気になる」
「でしょ。
オルドさんの腕は確かだから、きっといい剣ができるわよ」
フレアの声は、昨日より少しだけ弾んでいた。
---
♦︎鍛冶屋オルド工房
扉を開けると、オルドが豪快に笑った。
「おう、来たか!
グレイウルフを5体も倒したんだってな!
新人のくせに大したもんだ、ガハハ!」
「たまたま運が良かっただけだよ」
「謙遜すんな。で、今日はなんの用だ?」
フレアがボロボロの剣を差し出す。
「見てよこれ。アレックスったら昨日の今日でこんなにしちゃったのよ」
オルドは目を見開いた。
「こりゃ驚いた……初心者用の剣じゃ耐えられなかったか。
お前、一体何者なんだ?」
フレアが俺を見る。
「アレックスの戦い方、普通じゃなかったもの。
流石にこれじゃ魔物と戦えないから、新調しに来たのよ」
俺は頷いた。
「ああ。俺に合う剣を作ってほしい」
オルドは満足そうに笑う。
「任せとけ。グレイウルフの素材があれば上等なのが作れる。
素材が余りそうだし、ついでにフレアのも作ってやる!」
フレアの目が輝く。
「えっ……いいの!? 本当に?」
「ただし――三日はかかるぞ」
「三日か……」
フレアが言う。
「その間、依頼は受けられないわね。
いくらあなたでも、武器なしで突っ込むなんて絶対ダメだからね」
「分かってるよ」
フレアはほっとしたように微笑んだ。
---
♦︎街の案内
工房を出ると、朝の光が街路に差し込んでいた。
「三日間、どうする?」
俺が尋ねると、フレアは少しだけ視線をそらした。
「……その……
せっかくだし、街を案内してあげようかなって」
「案内?」
「あなた、村から出てきたばかりでしょ。
この街のこと、何も知らないじゃない」
「ああ……確かにそうだな」
フレアは自然な声で続けた。
「食べ歩きとか、名物とか……色々あるのよ。
冒険者なら、街のことも知っておいた方がいいし」
「助かるよ」
「じゃあ決まりね。行きましょ」
フレアは軽い足取りで歩き出した。
---
♦︎市場の通り
市場は朝から活気に満ちていた。
パンの香り、果物の甘い匂い、屋台の呼び声。
フレアは慣れた様子で歩きながら、串焼きの屋台で足を止めた。
「ここの串焼き、すっごく美味しいの。
ほら、一本あげる」
「いいのか?」
「いいのよ。
本当に美味しいんだから、ちゃんと味わいなさいよ」
フレアは軽く笑った。
一口かじると、肉汁が溢れた。
「……うまい」
「でしょ。
この街の食べ物は本当に美味しいのよ」
フレアは次々と屋台を案内してくれる。
---
♦︎フレアの過去
甘い焼き菓子を食べながら、フレアはふいに空を見上げた。
「……ねぇアレックス。
私ね、家族がいないのよ」
「……え?」
「小さい頃、村が魔物に襲われて……
お父さんとお母さんは私を守るために戦って……そのまま……」
胸が締めつけられる。
「気づいたら、私だけ生き残ってたの。
それからは親戚の家を転々として……
訓練中に事故を起こして、
“危ない子”って扱われて……
結局、居場所なんてどこにもなかった」
フレアは無理に笑った。
「だから冒険者になったの。
自分の力だけで生きたかったから」
その声は強くて、でもどこか寂しかった。
---
♦︎アレックスの過去
俺は少し迷ったが、フレアの横顔を見て口を開いた。
「……俺も、村に居場所はなかったよ」
フレアが驚いたように振り返る。
「追放されたんだ。
魔力もスキルもない“無能”だって言われて」
フレアの目が揺れる。
「……そんな……」
「家族にも、村にも……
誰にも必要とされてなかった。
だから……なんとか生きてここに来たんだ」
フレアはしばらく黙っていたが、
やがて小さく息を吐いた。
「……なんか、似てるわね。
私たち」
その言葉は、不思議と胸にすっと入ってきた。
「似てるっていうか……
どっちも“居場所”がなかっただけよ」
フレアは優しく笑った。
「でも……誰かと一緒に歩くのって、悪くないわね」
「……そうだな。
家族って、こんな感じなのかもしれない」
フレアは目を丸くしたあと、ふっと笑った。
「……かもね。
私も、誰かと並んで歩くの……久しぶりだし」
---
♦︎夕暮れの街
夕暮れの街を歩きながら、フレアがぽつりと言った。
「三日なんて、あっという間よ。
その間に……もっと色んなところ、案内してあげる」
「楽しみにしてる」
「ふふ……じゃあ覚悟しなさい。
この街、案外広いんだから」
フレアとの出会いは、
今まで孤独だった俺にとって――
初めて“温かい居場所”だと思えた。
---
鍛冶屋オルド工房の前に立つと、鉄を打つ音がいつもより力強く響いていた。
フレアが横で小さく笑う。
「ねぇアレックス。
どんな剣になるか……ちょっと楽しみじゃない?」
「まぁな。特注で作ってもらうのは初めてだし、どんな剣になるのか気になる」
「でしょ。
オルドさんの腕は確かだから、きっといい剣ができるわよ」
フレアの声は、昨日より少しだけ弾んでいた。
---
♦︎鍛冶屋オルド工房
扉を開けると、オルドが豪快に笑った。
「おう、来たか!
グレイウルフを5体も倒したんだってな!
新人のくせに大したもんだ、ガハハ!」
「たまたま運が良かっただけだよ」
「謙遜すんな。で、今日はなんの用だ?」
フレアがボロボロの剣を差し出す。
「見てよこれ。アレックスったら昨日の今日でこんなにしちゃったのよ」
オルドは目を見開いた。
「こりゃ驚いた……初心者用の剣じゃ耐えられなかったか。
お前、一体何者なんだ?」
フレアが俺を見る。
「アレックスの戦い方、普通じゃなかったもの。
流石にこれじゃ魔物と戦えないから、新調しに来たのよ」
俺は頷いた。
「ああ。俺に合う剣を作ってほしい」
オルドは満足そうに笑う。
「任せとけ。グレイウルフの素材があれば上等なのが作れる。
素材が余りそうだし、ついでにフレアのも作ってやる!」
フレアの目が輝く。
「えっ……いいの!? 本当に?」
「ただし――三日はかかるぞ」
「三日か……」
フレアが言う。
「その間、依頼は受けられないわね。
いくらあなたでも、武器なしで突っ込むなんて絶対ダメだからね」
「分かってるよ」
フレアはほっとしたように微笑んだ。
---
♦︎街の案内
工房を出ると、朝の光が街路に差し込んでいた。
「三日間、どうする?」
俺が尋ねると、フレアは少しだけ視線をそらした。
「……その……
せっかくだし、街を案内してあげようかなって」
「案内?」
「あなた、村から出てきたばかりでしょ。
この街のこと、何も知らないじゃない」
「ああ……確かにそうだな」
フレアは自然な声で続けた。
「食べ歩きとか、名物とか……色々あるのよ。
冒険者なら、街のことも知っておいた方がいいし」
「助かるよ」
「じゃあ決まりね。行きましょ」
フレアは軽い足取りで歩き出した。
---
♦︎市場の通り
市場は朝から活気に満ちていた。
パンの香り、果物の甘い匂い、屋台の呼び声。
フレアは慣れた様子で歩きながら、串焼きの屋台で足を止めた。
「ここの串焼き、すっごく美味しいの。
ほら、一本あげる」
「いいのか?」
「いいのよ。
本当に美味しいんだから、ちゃんと味わいなさいよ」
フレアは軽く笑った。
一口かじると、肉汁が溢れた。
「……うまい」
「でしょ。
この街の食べ物は本当に美味しいのよ」
フレアは次々と屋台を案内してくれる。
---
♦︎フレアの過去
甘い焼き菓子を食べながら、フレアはふいに空を見上げた。
「……ねぇアレックス。
私ね、家族がいないのよ」
「……え?」
「小さい頃、村が魔物に襲われて……
お父さんとお母さんは私を守るために戦って……そのまま……」
胸が締めつけられる。
「気づいたら、私だけ生き残ってたの。
それからは親戚の家を転々として……
訓練中に事故を起こして、
“危ない子”って扱われて……
結局、居場所なんてどこにもなかった」
フレアは無理に笑った。
「だから冒険者になったの。
自分の力だけで生きたかったから」
その声は強くて、でもどこか寂しかった。
---
♦︎アレックスの過去
俺は少し迷ったが、フレアの横顔を見て口を開いた。
「……俺も、村に居場所はなかったよ」
フレアが驚いたように振り返る。
「追放されたんだ。
魔力もスキルもない“無能”だって言われて」
フレアの目が揺れる。
「……そんな……」
「家族にも、村にも……
誰にも必要とされてなかった。
だから……なんとか生きてここに来たんだ」
フレアはしばらく黙っていたが、
やがて小さく息を吐いた。
「……なんか、似てるわね。
私たち」
その言葉は、不思議と胸にすっと入ってきた。
「似てるっていうか……
どっちも“居場所”がなかっただけよ」
フレアは優しく笑った。
「でも……誰かと一緒に歩くのって、悪くないわね」
「……そうだな。
家族って、こんな感じなのかもしれない」
フレアは目を丸くしたあと、ふっと笑った。
「……かもね。
私も、誰かと並んで歩くの……久しぶりだし」
---
♦︎夕暮れの街
夕暮れの街を歩きながら、フレアがぽつりと言った。
「三日なんて、あっという間よ。
その間に……もっと色んなところ、案内してあげる」
「楽しみにしてる」
「ふふ……じゃあ覚悟しなさい。
この街、案外広いんだから」
フレアとの出会いは、
今まで孤独だった俺にとって――
初めて“温かい居場所”だと思えた。
---
11
あなたにおすすめの小説
スキルで最強神を召喚して、無双してしまうんだが〜パーティーを追放された勇者は、召喚した神達と共に無双する。神達が強すぎて困ってます〜
東雲ハヤブサ
ファンタジー
勇者に選ばれたライ・サーベルズは、他にも選ばれた五人の勇者とパーティーを組んでいた。
ところが、勇者達の実略は凄まじく、ライでは到底敵う相手ではなかった。
「おい雑魚、これを持っていけ」
ライがそう言われるのは日常茶飯事であり、荷物持ちや雑用などをさせられる始末だ。
ある日、洞窟に六人でいると、ライがきっかけで他の勇者の怒りを買ってしまう。
怒りが頂点に達した他の勇者は、胸ぐらを掴まれた後壁に投げつけた。
いつものことだと、流して終わりにしようと思っていた。
だがなんと、邪魔なライを始末してしまおうと話が進んでしまい、次々に攻撃を仕掛けられることとなった。
ハーシュはライを守ろうとするが、他の勇者に気絶させられてしまう。
勇者達は、ただ痛ぶるように攻撃を加えていき、瀕死の状態で洞窟に置いていってしまった。
自分の弱さを呪い、本当に死を覚悟した瞬間、視界に突如文字が現れてスキル《神族召喚》と書かれていた。
今頃そんなスキル手を入れてどうするんだと、心の中でつぶやくライ。
だが、死ぬ記念に使ってやろうじゃないかと考え、スキルを発動した。
その時だった。
目の前が眩く光り出し、気付けば一人の女が立っていた。
その女は、瀕死状態のライを最も簡単に回復させ、ライの命を救って。
ライはそのあと、その女が神達を統一する三大神の一人であることを知った。
そして、このスキルを発動すれば神を自由に召喚出来るらしく、他の三大神も召喚するがうまく進むわけもなく......。
これは、雑魚と呼ばれ続けた勇者が、強き勇者へとなる物語である。
※小説家になろうにて掲載中
落ちこぼれ職人、万能スキルでギルド最強になります!
たまごころ
ファンタジー
ギルド最弱の鍛冶師レオンは、仲間に「役立たず」と笑われて追放された。
途方に暮れる彼の前に現れたのは、伝説の鍛冶書と、しゃべる鉄塊(?)。
鍛冶・錬金・料理・魔道具――あらゆるクラフトスキルを吸収する《創精鍛造》を極め、万能職人へと覚醒!
素材採取から戦闘まで、すべて自作で挑む“ものづくり異世界成り上がり譚”が今、始まる。
裏切った元仲間? 今さら後悔しても遅いぞ!
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
戦えない魔法で追放された俺、家電の知識で異世界の生存率を塗り替える
yukataka
ファンタジー
安全を無視したコスト削減に反対した結果、
家電メーカーの開発エンジニア・三浦恒一は「価値がない」と切り捨てられた。
降格先の倉庫で事故に巻き込まれ、彼が辿り着いたのは――魔法がすべてを決める異世界だった。
この世界では、魔法は一人一つが常識。
そんな中で恒一が与えられたのは、
元の世界の“家電”しか召喚できない外れ魔法〈異界家電召喚〉。
戦えない。派手じゃない。評価もされない。
だが、召喚した家電に応じて発現する魔法は、
戦闘ではなく「生き延びるための正しい使い方」に特化していた。
保存、浄化、環境制御――
誰も見向きもしなかった力は、やがて人々の生活と命を静かに支え始める。
理解されず、切り捨てられてきた男が選ぶのは、
英雄になることではない。
事故を起こさず、仲間を死なせず、
“必要とされる仕事”を積み上げること。
これは、
才能ではなく使い方で世界を変える男の、
静かな成り上がりの物語。
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
契約師としてクランに尽くしましたが追い出されたので復讐をしようと思います
夜納木ナヤ
ファンタジー
ヤマトは異世界に召喚された。たまたま出会った冒険者ハヤテ連れられて冒険者ギルドに行くと、召喚師のクラスを持っていることがわかった。その能力はヴァルキリーと契約し、力を使えるというものだ。
ヤマトはハヤテたちと冒険を続け、クランを立ち上げた。クランはすぐに大きくなり、知らないものはいないほどになった。それはすべて、ヤマトがヴァルキリーと契約していたおかげだった。それに気づかないハヤテたちにヤマトは追放され…。
魔力ゼロの俺だけが、呪いの装備を『代償なし』で使い放題 ~命を削る魔剣も、俺が持てば『ただのよく切れる剣』~
仙道
ファンタジー
現代日本で天才研究者だった相模登(さがみ のぼる)は、ある日突然、異世界へ転移した。 そこは『スキル』と『魔力』が全てを決める世界。
しかし登には、ステータス画面もなければ、魔力も、スキルも一切存在しなかった。
ただの一般人として迷宮に放り出された彼は、瀕死の女騎士と出会う。彼女の前には、使う者の命を瞬時に吸い尽くす『呪いの魔剣』が落ちていた。
武器はそれしかない。女騎士は絶望していたが、登は平然と魔剣を握りしめる。 「なぜ……生きていられるの?」 登には、剣が対価として要求する魔力は存在しない。故に、魔剣はデメリットなしの『ただのよく切れる剣』として機能した。
これは、世界で唯一「対価」を支払う必要がない登が、呪われた武具を次々と使いこなし、その副作用に苦しむ女騎士やエルフ、聖女を救い出し、無自覚に溺愛されていく物語。
世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~
aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」
勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......?
お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる