追放された無能の俺、死に際に古代秘術に目覚め仲間と共に世界最強のパーティを目指す

仲山悠仁

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1章 追放

11 居場所のない2人

翌朝。
鍛冶屋オルド工房の前に立つと、鉄を打つ音がいつもより力強く響いていた。

フレアが横で小さく笑う。

「ねぇアレックス。
 どんな剣になるか……ちょっと楽しみじゃない?」

「まぁな。特注で作ってもらうのは初めてだし、どんな剣になるのか気になる」

「でしょ。
 オルドさんの腕は確かだから、きっといい剣ができるわよ」

フレアの声は、昨日より少しだけ弾んでいた。

---

♦︎鍛冶屋オルド工房

扉を開けると、オルドが豪快に笑った。

「おう、来たか!
 グレイウルフを5体も倒したんだってな!
 新人のくせに大したもんだ、ガハハ!」

「たまたま運が良かっただけだよ」

「謙遜すんな。で、今日はなんの用だ?」

フレアがボロボロの剣を差し出す。

「見てよこれ。アレックスったら昨日の今日でこんなにしちゃったのよ」

オルドは目を見開いた。

「こりゃ驚いた……初心者用の剣じゃ耐えられなかったか。
 お前、一体何者なんだ?」

フレアが俺を見る。

「アレックスの戦い方、普通じゃなかったもの。
 流石にこれじゃ魔物と戦えないから、新調しに来たのよ」

俺は頷いた。

「ああ。俺に合う剣を作ってほしい」

オルドは満足そうに笑う。

「任せとけ。グレイウルフの素材があれば上等なのが作れる。
 素材が余りそうだし、ついでにフレアのも作ってやる!」

フレアの目が輝く。

「えっ……いいの!? 本当に?」

「ただし――三日はかかるぞ」

「三日か……」

フレアが言う。

「その間、依頼は受けられないわね。
 いくらあなたでも、武器なしで突っ込むなんて絶対ダメだからね」

「分かってるよ」

フレアはほっとしたように微笑んだ。

---

♦︎街の案内

工房を出ると、朝の光が街路に差し込んでいた。

「三日間、どうする?」
俺が尋ねると、フレアは少しだけ視線をそらした。

「……その……
 せっかくだし、街を案内してあげようかなって」

「案内?」

「あなた、村から出てきたばかりでしょ。
 この街のこと、何も知らないじゃない」

「ああ……確かにそうだな」

フレアは自然な声で続けた。

「食べ歩きとか、名物とか……色々あるのよ。
 冒険者なら、街のことも知っておいた方がいいし」

「助かるよ」

「じゃあ決まりね。行きましょ」

フレアは軽い足取りで歩き出した。

---

♦︎市場の通り

市場は朝から活気に満ちていた。
パンの香り、果物の甘い匂い、屋台の呼び声。

フレアは慣れた様子で歩きながら、串焼きの屋台で足を止めた。

「ここの串焼き、すっごく美味しいの。
 ほら、一本あげる」

「いいのか?」

「いいのよ。
 本当に美味しいんだから、ちゃんと味わいなさいよ」

フレアは軽く笑った。

一口かじると、肉汁が溢れた。

「……うまい」

「でしょ。
 この街の食べ物は本当に美味しいのよ」

フレアは次々と屋台を案内してくれる。

---

♦︎フレアの過去

甘い焼き菓子を食べながら、フレアはふいに空を見上げた。

「……ねぇアレックス。
 私ね、家族がいないのよ」

「……え?」

「小さい頃、村が魔物に襲われて……
 お父さんとお母さんは私を守るために戦って……そのまま……」

胸が締めつけられる。

「気づいたら、私だけ生き残ってたの。
 それからは親戚の家を転々として……
 訓練中に事故を起こして、
 “危ない子”って扱われて……
 結局、居場所なんてどこにもなかった」

フレアは無理に笑った。

「だから冒険者になったの。
 自分の力だけで生きたかったから」

その声は強くて、でもどこか寂しかった。

---

♦︎アレックスの過去

俺は少し迷ったが、フレアの横顔を見て口を開いた。

「……俺も、村に居場所はなかったよ」

フレアが驚いたように振り返る。

「追放されたんだ。
 魔力もスキルもない“無能”だって言われて」

フレアの目が揺れる。

「……そんな……」

「家族にも、村にも……
 誰にも必要とされてなかった。
 だから……なんとか生きてここに来たんだ」

フレアはしばらく黙っていたが、
やがて小さく息を吐いた。

「……なんか、似てるわね。
 私たち」

その言葉は、不思議と胸にすっと入ってきた。

「似てるっていうか……
 どっちも“居場所”がなかっただけよ」

フレアは優しく笑った。

「でも……誰かと一緒に歩くのって、悪くないわね」

「……そうだな。
 家族って、こんな感じなのかもしれない」

フレアは目を丸くしたあと、ふっと笑った。

「……かもね。
 私も、誰かと並んで歩くの……久しぶりだし」

---

♦︎夕暮れの街

夕暮れの街を歩きながら、フレアがぽつりと言った。

「三日なんて、あっという間よ。
 その間に……もっと色んなところ、案内してあげる」

「楽しみにしてる」

「ふふ……じゃあ覚悟しなさい。
 この街、案外広いんだから」

フレアとの出会いは、
今まで孤独だった俺にとって――
初めて“温かい居場所”だと思えた。

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