追放された無能の俺、死に際に古代秘術に目覚め仲間と共に世界最強のパーティを目指す

仲山悠仁

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1章 追放

12 新しい剣と初めての魔法

三日後。
朝の空気は澄んでいて、街は静かだった。

俺とフレアはオルド工房の前に立っていた。

「ついに完成の日ね……!」
フレアは期待と緊張が混じった表情をしていた。

扉を開けると、オルドが腕を組んで待っていた。

「おう、お前ら来たな。ちょうど仕上がったところだ」

---

♦︎新しい剣

オルドは布をめくり、二本の剣を見せた。

俺の剣は黒鉄を基調に、刃の中心に細い銀の筋が走っている。
光を受けると、その銀の線が脈打つように淡く輝いた。

「フレアから聞いた話を元に、お前の動きに合わせて軽めに仕上げた。
 しかもただ軽いだけじゃねぇ。
 ように鍛えてあるから、速さと切れ味が両立してる」

手に取ると、驚くほど馴染んだ。

「……すごい。
 これなら、もっと速く動けそうだ」

フレアの剣は赤みがかった鋼で、刃の根元に小さな魔石が埋め込まれている。
魔力を通すと、刃全体に淡い紅色の光が走る仕様だ。

「フレア、お前のは魔力伝導率を上げてある。
 剣でも魔法でもいける万能型だ。
 魔力を流せば、斬撃に火属性が乗る」

フレアは目を輝かせた。

「……すごい。
 こんな剣、見たことないわ」

「お前の魔力量なら、十分使いこなせるさ」

フレアは嬉しそうに剣を抱えた。

---

♦︎試し切り

訓練場に着くと、俺は新しい剣を構えた。

木製の人形に向かって踏み込み、振り抜く。

――風を切る音がした。

次の瞬間、標的は真っ二つに割れて地面に転がった。

フレアが目を丸くする。

「ちょっと……速すぎじゃない?
 剣筋が全く見えなかったわよ?」

「ああ……自分でも驚いてる。
 それに……なんか、しっくりくる」

フレアは腕を組んで俺をじっと見つめた。

そして――ふいに剣を抜いた。

---

♦︎手合わせ

「ねぇアレックス。
 私と手合わせしてくれない?」

「……手合わせか?」

「そうよ。
 試し切りだけじゃ分からないでしょ?
 実戦に近い動きで試さないと」

フレアは無邪気に笑った。

「それに……私も新しい剣の感覚を掴みたいしね」

俺は頷いた。

「分かった。じゃあ――始めよう」

二人は距離を取り、構えた。

「いくわよ、アレックス!」

フレアが踏み込む。
新しい剣に慣れていないはずなのに、動きが鋭い。

俺は受け流し、踏み込む。
フレアもすぐに下がって距離を取る。

「ほんとに速いわね……!
 でも、まだまだこんなものじゃないでしょ?」

フレアは息を整え、もう一度踏み込む。

剣と剣がぶつかり、火花が散る。

その瞬間――フレアの表情が変わった。

「アレックスになら……魔法使っても良さそうね……」

「魔法?」

フレアは片手を前に出した。
空気が震える。

---

♦︎フレアの魔法

炎槍ファイヤー・ランス!」

フレアの頭上に複数の炎の槍が現れた。

(来る……!)

炎の槍が俺に向かって飛んでくる。
速い。
でも――見える。

俺は横に跳び、炎槍は地面に突き刺さり爆ぜた。

フレアは驚いたように目を見開いた。

「……避けた……!?
 しかも、あんなギリギリで……!」

「なんとなく、軌道が見えた」

「“なんとなく”で避けられたら苦労しないのよ!」

フレアは呆れながらも、どこか嬉しそうだった。

---

♦︎フレアの過去(魔法)

俺はフレアを見つめる。

「なんで、そんなすごい魔法使えるのに今まで使わなかったんだ?」

フレアは剣を収め、少しだけ視線を落とした。

「……あなたも気づいてるでしょ?
 私の魔法は威力は強いけど、制御ができないの」

「ああ……なんとなく分かった」

フレアはゆっくりと話し始めた。

「昔ね……訓練中に魔法が暴発したの。
 威力が強すぎて、制御できなくて……
 親友を火傷させちゃったの。
 それで村に居づらくなって……」

胸が痛くなる。

「それ以来、怖くなったのよ。
 私の魔法は……誰かを傷つけるかもしれないって」

フレアは拳を握りしめた。

「だから剣ばっかり練習してた。
 魔法は……使わないようにして」

「でも、今日は使えたんだな」

フレアは小さく笑った。

「あなたなら絶対避けられるって思ったからよ。
 ……最悪当たっても大丈夫かなって……」

俺は呆れた顔でフレアを見た。

「おい……おい……」

でも胸の奥が少し温かくなった。
誰かに信頼されるのは、こんなにも嬉しいものなのか。

---

♦︎新しい依頼

訓練を終えてギルドに向かうと、
受付嬢のミーナが俺たちに気づき、手を振ってきた。

「アレックスさん、フレアさん!
 ちょうどよかったです!」

「どうしたんだ?」

「お二人にお願いしたい依頼がありまして。
 Dランク以上の、ちょっと難しい依頼なんですが……
 受けていただけませんか?」

「でもなんで俺たちに?」

「今、森の調査でCランク以上の冒険者が出払っていて、人手が足りないんです。
 少し危険な依頼なので……お二人なら大丈夫かなと思いまして」

フレアが俺を見る。

「行く?」

「ああ。
 せっかく新しい剣もできたしな」

フレアは嬉しそうに頷いた。

「じゃあ決まりね。
 明日の朝、出発しましょう」

二人の影が、夕暮れのギルドに並んで伸びていた。

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