追放された無能の俺、死に際に古代秘術に目覚め仲間と共に世界最強のパーティを目指す

仲山悠仁

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2章 騎士団学校

29 魔法制御の講義

 午前の教室は、魔力理論の講義でぎっしりだった。
 黒板には魔力の流れを示す複雑な図。セラフィナ先生が淡々と説明を続ける。

「いい? 先天魔法は生まれつき授かる魔法。幼い頃から自然に使えて身体にも馴染んでる。だから戦闘レベルまで持っていくのも早い。一年生の復習ね」

 クラスが真面目に頷く。

「一方で後天魔法は厄介よ。魔力の流れが身体に合わないから、習得に数年。消費量も大きい。先天魔法の倍と思いなさい。何年やっても使い物にならない人の方が多いのが現実」

(……フレアの言ってた通りか。俺が一晩で覚えられたのは、スキルと遺伝の影響だろうな)

 もちろん、フレアが付きっきりで教えてくれたおかげでもある。

「アレックス、ついてこれてる?」

 小声でフレアが囁く。

「……まあ、なんとか」

 本当はほとんど理解できていない。心配させたくなくて、強がる。

---

 訓練場に移動すると、セラフィナ先生が的を指した。

「じゃあ先天魔法の基本を出してみて。“拳くらい”の大きさで安定させること。制御を見るからね」

 クラスメイトたちは次々と成功させていく。

 リリアは整った火球。
 シオンは青白い雷の玉。
 カイルは荒削りな岩。
 ルーナは小さいが安定した水球。

 そしてフレア。

 掌の上に、拳ほどの火球が静かに浮かぶ。揺れもなく綺麗な形だ。

(……さすがだな)

 先生も頷く。

「いいね、フレア」

 少し照れたように笑う彼女を見て、負けていられないと思う。

 そして俺の番。

 掌を前に出し、息を整える。

(拳サイズ……落ち着け)

「――火球ファイヤーボール

 空気が震えた。

 次の瞬間、掌の上に現れたのは拳どころではない火球だった。
 深紅の塊が膨れ上がり、熱が一気に広がる。

「でか……」
「魔力濃度、高すぎないか……?」

 ざわめきが起こる。

 セラフィナ先生が眉を寄せた。

「アレックス、デカすぎ。“拳くらい”って言ったよね?」

 火球がゴウッと揺れ、熱気が押し寄せる。

「くっ……!」

「アレックス、抑えて!」とフレア。

 必死に魔力を絞る。
 火球は揺れながらも、ようやく消えた。

 先生がため息をつく。

「放課後居残り。このままだと自分の魔法で死ぬよ?」

(容赦ないな……)

---

 放課後の訓練場は静かだった。残っているのは俺と先生だけ。

「来たね。さっきのは危なすぎ。魔力は強いけど、制御が赤ちゃん以下」

「……すみません」

「謝るより練習。じゃないと大切な人も巻き込むよ」

 胸が痛む。フレアを傷つける未来だけは避けたい。

「もう一回。拳サイズ」

 詠唱する。

「――火球ファイヤーボール

 現れたのは、まだ大きい火球。

 先生が額を押さえる。

「だからデカいって言ってんの」

 その時。

「アレックス!」

 振り向くとフレアが駆け寄ってきた。

「心配で見に来たの」

 先生が言う。

「いいところに来た。お手本見せて」

 フレアは掌を掲げる。

「魔力を細く流して……形をイメージ」

 拳サイズの火球が安定して浮かぶ。

「それが基準。やってみな」

 もう一度詠唱。

 今度は、手のひらに収まる火球。

 先生がわずかに笑う。

「いいじゃん。その調子」

「やったじゃない!」とフレア。

 胸の奥が温かくなる。

(もっと上手くなりたい)

---

 帰ろうとした時、先生に呼び止められた。

「アレックス。あんた後天魔法なんだって?」

 心臓が跳ねる。

「……はい」

「一晩で覚えたって?」

「……必死だっただけです」

 先生は俺の掌を見る。

「その魔力の流れ、“暴走”そのもの。でも形になってるのは異常。騎士団でも見たことない」

 胸がざわつく。

「制御できれば、相当強くなる。ちゃんと鍛えな」

「……はい」

「よし、帰りな。フレアが待ってるでしょ」

 廊下を見ると、彼女が静かに待っていた。
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