追放された無能の俺、死に際に古代秘術に目覚め仲間と共に世界最強のパーティを目指す

仲山悠仁

文字の大きさ
30 / 101
2章 騎士団学校

30 課外授業1日目 ダンジョンへ挑む

入学してから半年が経ち、
俺とフレアは学園生活にも慣れ、俺は魔法制御も安定して扱えるようになっていた。

そんなある朝、セラフィナ先生が教室に入ってくる。

「先週知らせておいたけど──今日から始まる課外授業の説明をするよ」

教室が静まり返る。

「今回の課外授業は、この国の北部にあるダンジョンで行う。期間は3日間。
 20層まで行ってもらう。それ以上先は危険だから絶対に進まないように」

そこで一度、先生は言葉を区切った。

「ちなみに、この課外授業は毎年死者が出るほど危険。
 サポート役として教師を一班に一名つけるから最低限の安全は保証される。
 でもダンジョンは何が起こるかわからない。命と隣り合わせということを忘れないで。
 覚悟がないやつは今のうちに辞退しな」

空気が一気に重くなる。

「もちろん、課外授業の結果は成績に大きく反映されるからね。
 騎士団志望の子は頑張りな」

---

「1班はアレックス、ルーナ、バレル、ミルド」

俺の班が決まった。

バレル──ルーナをいじめていた大臣の息子。
なにかと親の権力を振りかざす嫌味なやつだ。

ミルド──いつもヘコヘコしている、バレルと同じクラスの目立たない生徒。

案の定、バレルは鼻で笑った。

「ふん……よりによってこんな庶民や奴隷なんかと組まされるとはな。
 父上が知ったらなんて言うか……足を引っ張って俺の評価を落とすなよ?
 それと貴様! 入学試験ではよくも殴り続けてくれたな!
 今回ヘマしたら父上に言いつけて処罰してもらうからな!」

バレルは俺に指を突きつけて喚いていた。
ルーナとミルドは怯えたように縮こまってしまう。

(……最悪の組み合わせだな)

---

森の中を数日間、馬車に揺られ、ようやくダンジョンの入り口へ辿り着いた。

森の奥にぽっかりと口を開けた石造りの洞窟。
苔むした入口からは冷たい風が吹き出し、湿った土と鉄のような匂いが混ざっている。

(……これがダンジョン……)

周囲の木々は静まり返り、鳥の声すら聞こえない。
濃い魔力と魔物の気配が奥にじっと潜んでいるのがわかる。

セラフィナ先生が全員を見渡す。

「ここから先は遊びじゃない。
 命を守るのは自分自身と仲間だ。
 絶対に勝手な行動はしないこと」

---

俺たちの班の担当教師が前に出た。

「私はフェルディン。君たちの班を監督する」

そう言いながら、フェルディン先生はバレルの方へ向き直り、
妙にへりくだった笑みを浮かべた。

「バレル様、何か不便があれば遠慮なくお申し付けください。
 私は全力でサポートいたしますのでご安心ください」

バレルは当然のように顎を上げる。

「ふん、当然だ。貴様など俺の一声でどうにでもなる」

(……この先生、完全にバレルに媚びてるな)

ルーナは気まずそうに視線を逸らし、
ミルドはさらに縮こまった。

---

一日ごとに一チームずつダンジョンに入っていく。
このダンジョンに参加するのは俺たちを含めて四チーム。
他学年は別のダンジョンで課外授業を行っている。

四チームの中には、フレア、リリア、シオン、カイルの班もいた。

「それじゃあ一班、ダンジョンに入れ。警戒を怠るな」

どうやら俺たちの班が最初らしい。
俺たちは静かにダンジョンの中へ足を踏み入れた。

---

足を踏み入れた瞬間、空気が変わった。

ひんやりとした冷気が肌を刺し、
湿った石壁からは水滴が落ちる音が響く。

ポタ……ポタ……

通路は狭く、奥は闇に沈んでいる。
魔力の残滓が漂い、肌がざわつく。

「まずは一層から六層まで進む。
 上層とはいえ、油断するなよ」

フェルディン先生の声が反響する。

---

最初に現れたのはスライム。
前に森で見たことがあるが、いつ見ても気持ち悪い。

ドロッ……とした体が蠢き、生臭い匂いが鼻を刺す。

「うわ……」

ルーナが小さく声を漏らす。

「アレックス、前に出ろよ。貴様が俺の盾になれ。光栄に思えよ」

バレルが当然のように命令してくる。

フェルディン先生も同調する。

「アレックスくん、バレル様の言う通りだ。
 君は体力もあるし、剣も使えるんだろう? 前衛をやりなさい」

仕方なく前に出る。

スライムが飛び掛かり、粘液が飛び散る。
タイミングを見て斬りつけると、スライムは真っ二つに割れて崩れ落ちた。

「ふん、よくやった。俺が指示したんだから俺の手柄だがな」

(……何もしてないだろ)

---

5層を過ぎたあたりから、魔物の気配が濃くなっていく。

通路の壁には爪痕が残り、獣のような臭いが漂う。

「この爪痕と臭い……そして魔力の感じはグレイウルフだ。
 背後から襲われないように警戒しろ」

俺が注意を促すと、バレルが不満そうに睨んでくる。

「貴様はいつからリーダーになったんだ? 俺に指図するな!」

ミルドが震えながら呟く。

「こ、ここ……本当に初級……?」

ルーナも不安そうに周囲を見渡す。

「ルーナ、大丈夫。俺が前に出るから」

「うん……」

その瞬間、三体のグレイウルフが飛び出してきた。

ガルルッ!

「来るぞ!」

ルーナの水魔法が3体の足を凍らせる。
その隙に俺とミルドが斬撃を与え、倒した。

「よくやった、ルーナ!」

「う、うん!」

3体同時に拘束するなんて、すごい魔力制御だ。

バレルは後ろで腕を組んだまま。

「よし、よくやった庶民ども」

(……何もしてないのに偉そうだな)

---

夕方。
俺たちは予定通り6層に到達した。

通路の奥からは、低い唸り声のような風の音が聞こえる。

フェルディン先生が言う。

「今日はここまでだ。みんなよくやった。素晴らしい連携だった。
 そして特にバレル様の指示が素晴らしかった。
 それでは安全地帯で野営をする。準備をしろ」

バレルは鼻で笑う。

「当然だ。庶民ども、さっさと野営準備をしろ」

初日で6層は順調だ。
この班は問題があるが、ルーナとミルドとの連携は悪くない。

(だが……妙に魔物の反応が多いのは気のせいか?
 ……何か嫌な予感がする)

---
感想 0

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

大器晩成エンチャンター~Sランク冒険者パーティから追放されてしまったが、追放後の成長度合いが凄くて世界最強になる

遠野紫
ファンタジー
「な、なんでだよ……今まで一緒に頑張って来たろ……?」 「頑張って来たのは俺たちだよ……お前はお荷物だ。サザン、お前にはパーティから抜けてもらう」 S級冒険者パーティのエンチャンターであるサザンは或る時、パーティリーダーから追放を言い渡されてしまう。 村の仲良し四人で結成したパーティだったが、サザンだけはなぜか実力が伸びなかったのだ。他のメンバーに追いつくために日々努力を重ねたサザンだったが結局報われることは無く追放されてしまった。 しかしサザンはレアスキル『大器晩成』を持っていたため、ある時突然その強さが解放されたのだった。 とてつもない成長率を手にしたサザンの最強エンチャンターへの道が今始まる。

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

【聖女の不倫を全画面表示】理科室に捨てられた俺、世界の全機密をハックして裏切り者を公開処刑する。

寝て起きたら異世界じゃなくて会議室だった
ファンタジー
「剣で斬るより、この暴露(データ)一つの方が、よっぽど残酷に人を殺せるんだよ」 影の組織の使い捨て実験体として、地図にも載らない閉鎖国家の理科室に捨てられた少年。 だが、死を待つだけの彼に訪れたのは、絶望ではなく覚醒だった。 右目に宿ったのは、世界のあらゆる情報を引き出し、書き換える超越スキル――神の瞳。 埃を被った理科室の端末を叩けば、この世界の機密はすべて俺の所有物(データ)となる。 民衆の前で清純を装う聖女が、裏で溺れる醜悪な不倫の記録。 国を愛するふりをした王太子が、私欲のために結んだ売国の密約。 すべては見えた。すべては握った。 「――さあ、社会的抹殺(フクシュウ)のカウントダウンを始めようか」 一歩も動く必要はない。剣も魔法も必要ない。 ただ理科室で指先を動かすだけで、傲慢な聖女は民衆の石打ちに遭い、強大な組織は一夜にして内部崩壊する。 隠し資産を奪い尽くし、弱点を握り、自分を裏切ったすべてを絶望の淵へと突き落とす。 閉鎖国家の片隅から始まった少年のハッキングは、いつの間にか世界の運命さえも掌握していた。 今さら泣いて許しを請うても、もう遅い。 これは、情報の神となった少年による、無慈悲で完璧な一方的蹂躙(ざまぁ)劇。

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

仲間を勇者パーティーから追放したら、実は有能だったらしい。俺が。〜ざまあされて隠居したいのに、いつの間にか英雄にされていた件〜

果 一@【弓使い】2巻刊行決定!!
ファンタジー
 ラルド=ヤメタイーナは勇者を辞めたい。魔王討伐の使命とか正直面倒くさいし、魔族と戦うのだって怖いし。  しかし、勇者に選ばれてしまった以上、魔王討伐に動かねばならない使命があって―― 「だったら、有能な仲間を追放して、無能勇者としてざまあされればよくね?」  さっそく理由をつけて有能な仲間を追放し、パーティーメンバーの反感を買ってパーティー解散を狙うラルドだったが。  実は追放された有能な仲間は、潜入して命を狙っていた魔族で。  反感を買うつもりが、有能な勇者と勘違いされて周囲からの好感度がどんどん上がっていき――!?  これは、勇者なんて辞めたいダメダメ主人公が、本人の意図せぬ結果を出して最強の勇者に上り詰める、勘違い英雄譚である。 ※本作はカクヨムでも公開しています。