23 / 29
第22話 「崩れていく平気」
しおりを挟む
四月十七日。
カーテンの隙間から差し込む朝陽が眩しい。天気がいいのは、ベッドの中からでもわかった。
昨夜は、浅い息のせいで、眠りが浅くて、寝付いても何度も目が醒めた。心と体に、昨日の疲れが上乗せされた感じで、起き上がれない――起き上がりたくなかった。
何度も心にもたげる名前――夕紀。
――なんで連絡をしてくるの? なんで、忘れさせてくれないの?
私は、スマホの電源を切った。電源を切れば、夕紀からメッセージが来たことを知らないで済む。
その日、私は学校を休んだ――体調不良。嘘も本当も入れられる便利な言葉だと思う。
ベッドの中で、天井の同じ場所を見続ける。眠ろうとすると、昨日の「常盤第一中」、「SNS拡散」の声が戻ってきて、胸がざわつく。
昼になって、私は、亜由美にメッセージを送っていないことを思い出した。
――昨夜のこともあったし、きっと心配してる。
急いで、チャット画面を開くと、『起きてる?』、『体調どう?無理しないでね』と届いていた。どちらも、きっと悩んで何度も打ち直して送ってくれた言葉なのが、見て取れる。これ以上、亜由美に心配をかけたくない。だから、私は、『平気。学校は行ける』と返信した。起き上がって、急いで制服を着て、リボンを整えて、鞄を持つ。でも、歩こうとすると、足がすくんで、一歩、を踏み出せず固まってしまった。
――あの踊り場で、亜由美と並んで食べるお昼休みだけは、まだ失いたくない。それなのに……
「……足が……動かない」
私は、気付くと夕方まで、部屋のドアの前に座って茫然としていた。
「もうイヤだ……」
夜。部屋の電気を消しても、眠れなかった。
(ああ、そうだ。亜由美に『行く』って言ったままだった)
私は、重い身体をなんとか動かして、スマホを取る。
『今日はごめん。行けなかった。でも平気だから』
――心配しないで。私は大丈夫だから。
書けない言葉を飲み込んだ。
すぐに返信がくる。
『ほんとに平気?』
『大丈夫だから』 ――優しくしないで。崩れそうになっちゃう。
『声、聞いてもいい?』
――それは困る。今の状態の声を聞かれたら、本当は平気じゃないのがバレてしまう。
でも、もう逃げ道がない気がした。元気な声で『大丈夫』と言って、亜由美に納得してもらえば済む。そうしたらすぐ終わる、すぐ終わらせる。今は、今を乗り切らなきゃいけない。そう意気込んで、私は電話のボタンを押した。
「もしもし」
亜由美はすぐに電話に出た。亜由美の声はいつもより低かった。この声を聴いてしまうと、つい甘えてしまいたくなってしまう。『大丈夫』と言って電話を切るはずだった、さっきの決意は瞬間的に消えてしまって、堰を切ったように涙が溢れてきた。涙が止まってくれない。
「美沙? 聞こえてる?」
「……うん」
その後を続けられない。元気な声で『大丈夫』と言わなきゃと思うのに、安心してもらわなきゃと思うのに……うまく息を吸えない。
「美沙……息が変だよ」
「……っ」
(気づかれた!)
何も言えないでいると、亜由美は声色を変えて、「先に吐いて! 長く吐いて」と言ってきた。
「もう一回。しっかり吐いて」
亜由美の声に合わせて、息を吐ききって、吸って、を何度も繰り返していると、少しずつ呼吸のリズムが戻ってきた。
「吸おうとしなくていい。しっかり吐けば、吸えるようになるから」
「……亜由美、変なとこで冷静」
私は思わずクスッと笑ってしまった。気づいたら、さっきまで流れ落ちていた涙は止まっていた。亜由美は、何も聞かないで、でも私に寄り添ってくれている。いつも、こうやって助けてくれている。
「ごめんね」
私の方が謝らなきゃいけないのに、なんで亜由美が謝るの? 私はいたたまれない気持ちに包まれた。亜由美に、どう伝えたらいいのか、わからない。考えて考えて、出てきた言葉は、「……名前が、出てくる」、だった。
「名前?」
「……うん」
「なんて名前?」
「……夕紀」
「夕紀から……連絡来た、とか?」
「……違う……違うの」
「……」
――こうやって、亜由美はいつも私の呼吸を保ってくれる。どうして、いつもいつも、私を守ろうと頑張ってくれるの? つい、甘えてしまいそうになってしまう……
「……昨日、休み時間に……中学の出身校の話になって……二年前……常盤第一中が合唱コンクールに……急に出場停止になった理由を聞かれて……」
自分で思っていたよりも声が震えてしまっていた。
「うん」
「……SNS拡散のこととかも聞かれて……」
「うん」
「……」
息が続かない。息が浅くなると、思考が飛ぶ。その飛んだ先に、夕紀の顔がある。私は右手を心臓に当てて、鼓動が落ち着くのを待った。
「……それで……」
「うん」
「……目が」
「目?」
「……なんか……みんなの目が……知ってるような目で……怖くなったの……それで夕紀が……頭の中に、夕紀が『もう行けない』って言った日のことが戻ってきて……」
声が息にうまく乗ってくれない。瞼の裏に夕紀がチラついて、目が回りそう。
――こんなこと話したら、亜由美は、こんなどうしようもない、こんな逃げ出した私を、嫌いになってしまうかもしれない。私は、ひとりになってしまうかもしれない。亜由美まで失うのはイヤだ。
「……美沙、その日、何があったの?」
――私は、夕紀を助けたくて手を伸ばしたけど、裏目に出ちゃって、逃げた――そんなこと言えない。
「ごめんね。言わなくていいよ」
――亜由美はどこまでも優しいんだね。
「……亜由美」
「なに?」
「……私、最低」
「最低って言わないで」
「……私、なにもできなかったの」
「そっか」
「……違うの」
――違う。なにもできなかったんじゃなくて、本当は、なにもしなかったんだ。
「私は助けたかったんだけど、みんなが笑ってて……そういう空気で、それで、夕紀が……夕紀が、消えた」
私は、一気に言って、息を吸い込もうとしたら、喉が詰まって、息を吸い損ねてしまった。
「美沙。今、ひとり?」
「……うん」
「お母さんは?」
「寝てる」
「……行く」
「来ないで」
私は、咄嗟に言っていた。こんなボロボロの姿、見られたくない。
「……わかった」
「……大丈夫だから」
――『大丈夫』は私の盾。『平気』も私の盾。
「じゃあ、電話は切らない」
私は、目を閉じて、笑みがこぼれた。どんなに断っても、私を助けようとしてくれる。亜由美は、どこまでも優しい。涙が零れ落ちた。
「……うん」
「眠くなるまで、繋いでる」
私は、スピーカーに切り替えて、スマホを枕元に置いた。沈黙の電話の向こうに、亜由美が居てくれる。それだけで、不思議と心が落ち着いていく。昨日はあまり寝れなかったのに、今夜は不思議と瞼がどんどん重くなってくる。
夜の静けさに、私たちの呼吸だけが残る。私はその呼吸にしがみつくように、夕紀と亜由美の夢を見た。私は、思いきって二人の後ろ姿に向かって声をかける。
「……ゆ」
(……き……亜由美)
カーテンの隙間から差し込む朝陽が眩しい。天気がいいのは、ベッドの中からでもわかった。
昨夜は、浅い息のせいで、眠りが浅くて、寝付いても何度も目が醒めた。心と体に、昨日の疲れが上乗せされた感じで、起き上がれない――起き上がりたくなかった。
何度も心にもたげる名前――夕紀。
――なんで連絡をしてくるの? なんで、忘れさせてくれないの?
私は、スマホの電源を切った。電源を切れば、夕紀からメッセージが来たことを知らないで済む。
その日、私は学校を休んだ――体調不良。嘘も本当も入れられる便利な言葉だと思う。
ベッドの中で、天井の同じ場所を見続ける。眠ろうとすると、昨日の「常盤第一中」、「SNS拡散」の声が戻ってきて、胸がざわつく。
昼になって、私は、亜由美にメッセージを送っていないことを思い出した。
――昨夜のこともあったし、きっと心配してる。
急いで、チャット画面を開くと、『起きてる?』、『体調どう?無理しないでね』と届いていた。どちらも、きっと悩んで何度も打ち直して送ってくれた言葉なのが、見て取れる。これ以上、亜由美に心配をかけたくない。だから、私は、『平気。学校は行ける』と返信した。起き上がって、急いで制服を着て、リボンを整えて、鞄を持つ。でも、歩こうとすると、足がすくんで、一歩、を踏み出せず固まってしまった。
――あの踊り場で、亜由美と並んで食べるお昼休みだけは、まだ失いたくない。それなのに……
「……足が……動かない」
私は、気付くと夕方まで、部屋のドアの前に座って茫然としていた。
「もうイヤだ……」
夜。部屋の電気を消しても、眠れなかった。
(ああ、そうだ。亜由美に『行く』って言ったままだった)
私は、重い身体をなんとか動かして、スマホを取る。
『今日はごめん。行けなかった。でも平気だから』
――心配しないで。私は大丈夫だから。
書けない言葉を飲み込んだ。
すぐに返信がくる。
『ほんとに平気?』
『大丈夫だから』 ――優しくしないで。崩れそうになっちゃう。
『声、聞いてもいい?』
――それは困る。今の状態の声を聞かれたら、本当は平気じゃないのがバレてしまう。
でも、もう逃げ道がない気がした。元気な声で『大丈夫』と言って、亜由美に納得してもらえば済む。そうしたらすぐ終わる、すぐ終わらせる。今は、今を乗り切らなきゃいけない。そう意気込んで、私は電話のボタンを押した。
「もしもし」
亜由美はすぐに電話に出た。亜由美の声はいつもより低かった。この声を聴いてしまうと、つい甘えてしまいたくなってしまう。『大丈夫』と言って電話を切るはずだった、さっきの決意は瞬間的に消えてしまって、堰を切ったように涙が溢れてきた。涙が止まってくれない。
「美沙? 聞こえてる?」
「……うん」
その後を続けられない。元気な声で『大丈夫』と言わなきゃと思うのに、安心してもらわなきゃと思うのに……うまく息を吸えない。
「美沙……息が変だよ」
「……っ」
(気づかれた!)
何も言えないでいると、亜由美は声色を変えて、「先に吐いて! 長く吐いて」と言ってきた。
「もう一回。しっかり吐いて」
亜由美の声に合わせて、息を吐ききって、吸って、を何度も繰り返していると、少しずつ呼吸のリズムが戻ってきた。
「吸おうとしなくていい。しっかり吐けば、吸えるようになるから」
「……亜由美、変なとこで冷静」
私は思わずクスッと笑ってしまった。気づいたら、さっきまで流れ落ちていた涙は止まっていた。亜由美は、何も聞かないで、でも私に寄り添ってくれている。いつも、こうやって助けてくれている。
「ごめんね」
私の方が謝らなきゃいけないのに、なんで亜由美が謝るの? 私はいたたまれない気持ちに包まれた。亜由美に、どう伝えたらいいのか、わからない。考えて考えて、出てきた言葉は、「……名前が、出てくる」、だった。
「名前?」
「……うん」
「なんて名前?」
「……夕紀」
「夕紀から……連絡来た、とか?」
「……違う……違うの」
「……」
――こうやって、亜由美はいつも私の呼吸を保ってくれる。どうして、いつもいつも、私を守ろうと頑張ってくれるの? つい、甘えてしまいそうになってしまう……
「……昨日、休み時間に……中学の出身校の話になって……二年前……常盤第一中が合唱コンクールに……急に出場停止になった理由を聞かれて……」
自分で思っていたよりも声が震えてしまっていた。
「うん」
「……SNS拡散のこととかも聞かれて……」
「うん」
「……」
息が続かない。息が浅くなると、思考が飛ぶ。その飛んだ先に、夕紀の顔がある。私は右手を心臓に当てて、鼓動が落ち着くのを待った。
「……それで……」
「うん」
「……目が」
「目?」
「……なんか……みんなの目が……知ってるような目で……怖くなったの……それで夕紀が……頭の中に、夕紀が『もう行けない』って言った日のことが戻ってきて……」
声が息にうまく乗ってくれない。瞼の裏に夕紀がチラついて、目が回りそう。
――こんなこと話したら、亜由美は、こんなどうしようもない、こんな逃げ出した私を、嫌いになってしまうかもしれない。私は、ひとりになってしまうかもしれない。亜由美まで失うのはイヤだ。
「……美沙、その日、何があったの?」
――私は、夕紀を助けたくて手を伸ばしたけど、裏目に出ちゃって、逃げた――そんなこと言えない。
「ごめんね。言わなくていいよ」
――亜由美はどこまでも優しいんだね。
「……亜由美」
「なに?」
「……私、最低」
「最低って言わないで」
「……私、なにもできなかったの」
「そっか」
「……違うの」
――違う。なにもできなかったんじゃなくて、本当は、なにもしなかったんだ。
「私は助けたかったんだけど、みんなが笑ってて……そういう空気で、それで、夕紀が……夕紀が、消えた」
私は、一気に言って、息を吸い込もうとしたら、喉が詰まって、息を吸い損ねてしまった。
「美沙。今、ひとり?」
「……うん」
「お母さんは?」
「寝てる」
「……行く」
「来ないで」
私は、咄嗟に言っていた。こんなボロボロの姿、見られたくない。
「……わかった」
「……大丈夫だから」
――『大丈夫』は私の盾。『平気』も私の盾。
「じゃあ、電話は切らない」
私は、目を閉じて、笑みがこぼれた。どんなに断っても、私を助けようとしてくれる。亜由美は、どこまでも優しい。涙が零れ落ちた。
「……うん」
「眠くなるまで、繋いでる」
私は、スピーカーに切り替えて、スマホを枕元に置いた。沈黙の電話の向こうに、亜由美が居てくれる。それだけで、不思議と心が落ち着いていく。昨日はあまり寝れなかったのに、今夜は不思議と瞼がどんどん重くなってくる。
夜の静けさに、私たちの呼吸だけが残る。私はその呼吸にしがみつくように、夕紀と亜由美の夢を見た。私は、思いきって二人の後ろ姿に向かって声をかける。
「……ゆ」
(……き……亜由美)
0
あなたにおすすめの小説
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
光のもとで2
葉野りるは
青春
一年の療養を経て高校へ入学した翠葉は「高校一年」という濃厚な時間を過ごし、
新たな気持ちで新学期を迎える。
好きな人と両思いにはなれたけれど、だからといって順風満帆にいくわけではないみたい。
少し環境が変わっただけで会う機会は減ってしまったし、気持ちがすれ違うことも多々。
それでも、同じ時間を過ごし共に歩めることに感謝を……。
この世界には当たり前のことなどひとつもなく、あるのは光のような奇跡だけだから。
何か問題が起きたとしても、一つひとつ乗り越えて行きたい――
(10万文字を一冊として、文庫本10冊ほどの長さです)
∞
桜庭かなめ
恋愛
高校1年生の逢坂玲人は入学時から髪を金色に染め、無愛想なため一匹狼として高校生活を送っている。
入学して間もないある日の放課後、玲人は2年生の生徒会長・如月沙奈にロープで拘束されてしまう。それを解く鍵は彼女を抱きしめると約束することだった。ただ、玲人は上手く言いくるめて彼女から逃げることに成功する。そんな中、銀髪の美少女のアリス・ユメミールと出会い、お互いに好きな猫のことなどを通じて彼女と交流を深めていく。
しかし、沙奈も一度の失敗で諦めるような女の子ではない。玲人は沙奈に追いかけられる日々が始まる。
抱きしめて。生徒会に入って。口づけして。ヤンデレな沙奈からの様々な我が儘を通して見えてくるものは何なのか。見えた先には何があるのか。沙奈の好意が非常に強くも温かい青春ラブストーリー。
※タイトルは「むげん」と読みます。
※完結しました!(2020.7.29)
完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす
小木楓
恋愛
完結しました✨
タグ&あらすじ変更しました。
略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。
「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」
「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」
大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。
しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。
強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。
夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。
恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……?
「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」
逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。
それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。
「一生、私の腕の中で溺れていろ」
守るために壊し、愛するために縛る。
冷酷な仮面の下に隠された、
一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。
★最後は極上のハッピーエンドです。
※AI画像を使用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる