Game of the KILLER QUEEN

南蛮 義卿

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序章

カウントダウン後編

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僕の足は確かにジャックザリッパーを捉えていた。あいつは避ける素振りを見せなかったし、僕が瞬時にゼロ距離まで詰めてきたのに驚いているようだった、
にも関わらずジャックザリッパーは忽然として姿を消していた。
霧はエマの魔導砲で霧散させたことによってかなり薄くなっていたから見失う筈もない。

「幻覚!?」

「いや、違うわ!」

「いやー、今のはヤバかった。魔法使っておいて良かったよ。」

2人の後ろに再びジャックザリッパーは立っていた。

エマは一瞬混乱したものの直ぐに思考を始める。

亮介との話から考えてもこの霧が殺人鬼の魔法に関連している可能性が高い。
後はこの殺人鬼が時間さえくれれば魔法を暴くこともできる。問題はタイムリミットがいつか分からないことだが。
やるしか無い。エマは覚悟を決める。
この怪人に何の対策もなしに挑むのは無理だ。

「亮介!伏せて!」

そう叫ぶと同時に私は魔導砲を360度に連射した。既に光速を超える回転は空気中に少し放電しながらほぼゼロ間隔で弾を発射する。魔弾はレーザーのように半径10メートルを薙いだ。

「少し遊びすぎだな、仕事は手早くしないとね。」

上からそんな声が聞こえる。飛んだり跳ねたりした気配は無かった。
あー、もう時間切れか。亮介が私の方に飛ぼうとしている。私はニッコリと彼に微笑んだ。

「今までありが

ズルリと景色が反転して視界が落ちていく。私は自分の体を見ていた。あんまり自分の体を見たことは無かったが首から上が無いので強烈な違和感がある。

「と、、、」
ああ、結局亮介に何も言えなかったな。
彼女は恋心を胸に秘めたまま、やがて思考を停止させた。

「あ、あああ、、、。」

僕の目の前でエマは首を落とされた。
神の足を持ってして止めることができなかった。グラスにドロドロとしたコールタールが注がれ、元々あった赤葡萄酒を飲み込んで行く。希望は既に飲み込まれやがて心からもコールタールが溢れ出す。目の前の色が急激に褪せ、体が動かない。
どうすれば。死んだ。霧は何?吐きそう。今何時だ?どうして?仮面が白い。怖い。明日は休みだな。何考えてたんだっけ?今日の昼は朝ご飯。神よ。
思考はぐちゃぐちゃと子供の落書きのように無意味に浮かび、体が冷たくなっていく。

「じゃ、ちょっと2人借りてくね。」

僕は殺人鬼が霧に消えたことすら気付かなかった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

カルマ姉妹の遺体は中央広場のベンチに座っていた。
2人の首は無いが首の断面を寄り添うように合わせられている。どちらかの大腸はマフラーのように巻かれている。2人の手は恋人のように繋がれており、もう片方の手は無くなった首から上は彼女らがボールのようにそれぞれ抱えている。

真ん中に大きく「真実の愛Love not to demand a reward」その下には署名、そして人物画の書かれた紙が2人の膝に置かれていた。

狩人達は亮介に同情の言葉をかけたが、彼の心は既に黒く固まっていた。
時間が経つにつれ、彼の持っていた恐怖や混乱は逃げ口を探して心を縦横無尽に駆け巡る。
「殺す、殺す。あの紳士面を壊す。無様に地面に這わせて泣きながら謝らせる。
奴の全てを否定する。全て奪ったところでサイコロ状にしてやる。」
彼はブツブツと何度も唱える。
左人差し指を噛み続けた為血が吹き出す。そのうち指を噛み切りそうであった。
殺意、恨み、怒り。黒によって醸造されたコールタールはそのグラスの本質。つまり材質すら変えようとしていた。彼の積み上げた心が崩れゆく瞬間であった。滑稽なことにこれらの感情すらもある種の逃げであった。
自分を責めるグラスを拒絶し、責任を逃れる為の新しい派閥グラスへと移籍しただけである。白を黒に染めるのは簡単だが、黒を白に戻すのは難しい。どこまで彼がやれるかは分からないが、彼の歪んだ復讐譚を我々はポップコーンでも食べながら見てやろうではないか。
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