私ってわがまま傲慢令嬢なんですか?

山科ひさき

文字の大きさ
4 / 9

4

しおりを挟む
「僕だけでなく、他の女子生徒にも嫌味を言っているところを見かけたことがある。学園の制服が質素で見窄らしいと文句を言っている女子生徒に、彼女は『でもあなたにはよく似合っていると思うわ』と」

 それも言った。言ったけど! 別にあれは嫌味のつもりではなくて、美人なあなたにはどんな服装でも似合うのだからいいでしょう、と宥めるつもりだったのだ。言った瞬間空気が凍りついて初めて自分の言葉が嫌味にしか聞こえないことに気がついたっけ。

「それに、学園では常に複数の男を侍らせているし……」

 侍らせ……!?
 学園に仲のいい男子生徒はいるけれど、全員ただの友人だ。一緒に行動したり話したりする事もあるが、そういう時は大抵女子の友達も一緒にいるし、やましいことなんて何もないのに。
 というか男性側も、婚約者のいる地味な女にあえて手を出そうとはしないと思う。なぜ「侍らせている」などと誤解されたのか謎だ。

「そしてこれが極め付けだが、彼女は何か失敗をした時、誤魔化すようにこちらを見てへらっと笑うのだ! うっかりつまづいたり、話す途中でかんだり、失言をしたときなんかに! 一度笑顔を向ければ私は頭が真っ白になって何も言えなくなるとわかってやっているのだ、まったくたちの悪い!」

 それまで淡々と話していたアランが急に口調を強めたので、びくりと体が跳ねた。こんな風に感情的な彼は初めて見る。
 なんだか……よくわからないところもあったけれど、つまり何か失敗してもヘラヘラしている態度が気に入らないってことみたいだ。そういえば、お母様にも「都合が悪くなったとき笑って誤魔化そうとするのはやめなさい」とよく注意されていたっけ、とメアリは思い出した。

 この件に関しては完全に自分が悪い。笑って誤魔化す癖は早急に治そう。メアリはそう決意した。

 これまでのふるまいについて思い返して反省していると、アランの友人のやや困惑したような声が聞こえてきた。どうやら、彼の話に違和感があったようだった。


「えっと、それって本当にお前の婚約者のメアリ・ハミルトンの話か? なんかイメージと違うっていうか、お前のいうことを疑うわけじゃないけど、何か誤解とか行き違いとか、あったりするんじゃ……」
「ふん、まあ慰めてくれるのはありがたいけど」
「いや慰めてるとかじゃ……」
「どうせ彼女とは結婚することになるんだから、ふるまいがどうあれなんとかうまくやっていかなきゃいけないってことはわかってるよ。単に愚痴を吐き出し違っただけだから、あまり気にしないでくれ」

 アランの語るメアリ像に疑問を抱いた様子の友人は慎重な意見を口にしたが、彼はその言葉を遮り、キッパリと言い切った。すると友人も「まあお前がそういうならいいか」ととりあえずは納得し、その話題はそこで終わりになった。
 生垣に身を隠したメアリは、試験対策に話題が移った二人の会話を背後に、先ほど聞いたあれこれについてぐるぐると思考を巡らせていた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※短編です。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4800文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

【完結】可愛くない、私ですので。

たまこ
恋愛
 華やかな装いを苦手としているアニエスは、周りから陰口を叩かれようと着飾ることはしなかった。地味なアニエスを疎ましく思っている様子の婚約者リシャールの隣には、アニエスではない別の女性が立つようになっていて……。

婚約破棄すると言われたので、これ幸いとダッシュで逃げました。殿下、すみませんが追いかけてこないでください。

桜乃
恋愛
ハイネシック王国王太子、セルビオ・エドイン・ハイネシックが舞踏会で高らかに言い放つ。 「ミュリア・メリッジ、お前とは婚約を破棄する!」 「はい、喜んで!」  ……えっ? 喜んじゃうの? ※約8000文字程度の短編です。6/17に完結いたします。 ※1ページの文字数は少な目です。 ☆番外編「出会って10秒でひっぱたかれた王太子のお話」  セルビオとミュリアの出会いの物語。 ※10/1から連載し、10/7に完結します。 ※1日おきの更新です。 ※1ページの文字数は少な目です。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年12月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、番外編を追加投稿する際に、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

王太子殿下に婚約者がいるのはご存知ですか?

通木遼平
恋愛
フォルトマジア王国の王立学院で卒業を祝う夜会に、マレクは卒業する姉のエスコートのため参加をしていた。そこに来賓であるはずの王太子が平民の卒業生をエスコートして現れた。 王太子には婚約者がいるにも関わらず、彼の在学時から二人の関係は噂されていた。 周囲のざわめきをよそに何事もなく夜会をはじめようとする王太子の前に数名の令嬢たちが進み出て――。 ※以前他のサイトで掲載していた作品です

裏切り者

詩織
恋愛
付き合って3年の目の彼に裏切り者扱い。全く理由がわからない。 それでも話はどんどんと進み、私はここから逃げるしかなかった。

婚約者に値踏みされ続けた文官、堪忍袋の緒が切れたのでお別れしました。私は、私を尊重してくれる人を大切にします!

ささい
恋愛
王城で文官として働くリディア・フィアモントは、冷たい婚約者に評価されず疲弊していた。三度目の「婚約解消してもいい」の言葉に、ついに決断する。自由を得た彼女は、日々の書類仕事に誇りを取り戻し、誰かに頼られることの喜びを実感する。王城の仕事を支えつつ、自分らしい生活と自立を歩み始める物語。 ざまあは後悔する系( ^^) _旦~~ 小説家になろうにも投稿しております。

愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。

石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。 ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。 それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。 愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。 この作品は他サイトにも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。

嘘つきな貴方を捨てさせていただきます

梨丸
恋愛
断頭台に上がった公爵令嬢フレイアが最期に聞いた言葉は最愛の婚約者の残忍な言葉だった。 「さっさと死んでくれ」 フレイアを断頭台へと導いたのは最愛の婚約者だった。 愛していると言ってくれたのは嘘だったのね。 嘘つきな貴方なんて、要らない。 ※投稿してから、誤字脱字などの修正やわかりにくい部分の補足をすることがあります。(話の筋は変わらないのでご安心ください。) 11/27HOTランキング5位ありがとうございます。 ※短編と長編の狭間のような長さになりそうなので、短編にするかもしれません。 1/2累計ポイント100万突破、ありがとうございます。 完結小説ランキング恋愛部門8位ありがとうございます。

処理中です...