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六話
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何時間歩いただろうか、私はようやくあのとき来た丘にたどり着いた。過去に来たときは馬に乗っていたからすぐについてような記憶があるけれど、徒歩だと当然だがかなり時間がかかった。その間ずっと薄着のままで外気にさらされてい体は、すでにガクガクと震えている。
「ああ、昔のまま」
その場所は、記憶の中にある景色と少しも変わっていなかった。丘の上に寝転び、見上げる星空も昔見たものと違わず、信じられないほどに美しい。数多の光が落ちてきそうなくらい大きくキラキラと輝いている。
自然と、ハドリーとここで過ごした時の記憶が頭の中に蘇ってきた。
ハドリーからの誘いで馬に乗ってこの場所まで来た私たちは、二人で地面に仰向けになってしばらく夜空を見上げていた。夜空に下に二人きり。あまりにもロマンチックなシチュエーションに照れてしまって口数が少なくなった私の横で、彼は起き上がって、言ったのだ。
「聞いてほしいことがあるんだ」
その声色から真剣なものを感じ取った私は同じく起き上がって姿勢を正し、彼の横に座った。ちらりと彼の方に視線を向けると、じっとこちらを見ていた彼とバッチリ目が合ってしまった。月明かりに照らされてきらめくその瞳から目がそらせず、じっと見つめあった。
「僕は、君のことがとても好きだ。これからも君といろいろなことを話したりどこかに出かけたりして、一緒に過ごしたいと思う……恋人として。ジョアン、僕の恋人になってはくれないだろうか」
私の目を怖いくらい真剣に見つめながら一語一語丁寧な発音で、静かに告げられた言葉。それを私は本当に嬉しくて、返事もできず思わず泣き出してしまった。そんな私を彼は何も言わず、優しく抱きしめてくれたのだった。懐かしい記憶。心の奥に日が灯ったようで、これで一人寒くて震える夜を過ごすことはないのかもしれないと思った。
実際は……どうだったかな。でも、彼はずっと私に対して誠実で、一緒にいてくれて……寂しさなんて感じる暇はなかったように思う。今日だってそう。今日だって、さっきまでは寒くてたまらなかったけれど……。
だけどなんだか、今は不思議と寒くなくなってきた。何だかひどく眠いし上手くものが考えられないけれど、幸せな気分だ。
こんな風に終わりを迎えられるのなら、そう悪くはないかも。なんて。
──だけど、本当はハドリー、あなたとともに生きて行きたかったな。
満天の星空の下、私はそっと目を閉じる。
薄れゆく意識の中、私の体を抱き寄せる体温を、感じた気がした。
「ああ、昔のまま」
その場所は、記憶の中にある景色と少しも変わっていなかった。丘の上に寝転び、見上げる星空も昔見たものと違わず、信じられないほどに美しい。数多の光が落ちてきそうなくらい大きくキラキラと輝いている。
自然と、ハドリーとここで過ごした時の記憶が頭の中に蘇ってきた。
ハドリーからの誘いで馬に乗ってこの場所まで来た私たちは、二人で地面に仰向けになってしばらく夜空を見上げていた。夜空に下に二人きり。あまりにもロマンチックなシチュエーションに照れてしまって口数が少なくなった私の横で、彼は起き上がって、言ったのだ。
「聞いてほしいことがあるんだ」
その声色から真剣なものを感じ取った私は同じく起き上がって姿勢を正し、彼の横に座った。ちらりと彼の方に視線を向けると、じっとこちらを見ていた彼とバッチリ目が合ってしまった。月明かりに照らされてきらめくその瞳から目がそらせず、じっと見つめあった。
「僕は、君のことがとても好きだ。これからも君といろいろなことを話したりどこかに出かけたりして、一緒に過ごしたいと思う……恋人として。ジョアン、僕の恋人になってはくれないだろうか」
私の目を怖いくらい真剣に見つめながら一語一語丁寧な発音で、静かに告げられた言葉。それを私は本当に嬉しくて、返事もできず思わず泣き出してしまった。そんな私を彼は何も言わず、優しく抱きしめてくれたのだった。懐かしい記憶。心の奥に日が灯ったようで、これで一人寒くて震える夜を過ごすことはないのかもしれないと思った。
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だけどなんだか、今は不思議と寒くなくなってきた。何だかひどく眠いし上手くものが考えられないけれど、幸せな気分だ。
こんな風に終わりを迎えられるのなら、そう悪くはないかも。なんて。
──だけど、本当はハドリー、あなたとともに生きて行きたかったな。
満天の星空の下、私はそっと目を閉じる。
薄れゆく意識の中、私の体を抱き寄せる体温を、感じた気がした。
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