Dark past

sasanoha

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 あの日、私は恋をした。
 頭が良くて、優しくて、イケメンで、かっこよくて、でも少し欠けた所があって……

 めちゃくちゃモテそうだなって思ってた。2月とか、チョコ沢山貰ってそうだった。実際貰ってた。

 でも、やっぱり卒業の日はやって来てしまった。早かった高校生活。あの彼と毎日顔を合わせて挨拶して、言葉を交わす日々も終わってしまう……


 後悔だけは残したくなかった。


 思い切って、卒業式の1日前に告白した。けれど…

 「…ごめん。やっぱ、俺じゃ君とはつり合わない。もっと相応しい人間と居るべきだ。気持ちは、とってもありがたいけどな……」

 「…そう。」

 やっぱり、片想いだった。その日は泣いた。卒業式より泣いた。

 彼が優しくて…とっても、優しくて。

 私の事、「君」とか言っちゃって。

 本当にかっこよくて。

 ………………

 彼と、永遠に一緒に居たい。ずっと一緒なら、ずっと幸せになれると思う。


 でも、面白くない人生なんて嫌。あの世じゃなくて、この世で生きていたい。

 だから、不死身になる方法を探した。


 もちろん、そんなのはなかった。でも、せめて…

 彼とは一緒に死にたい、なんて思った。


 卒業式の日。

 「やっぱり、お別れなんて寂しいじゃん。」

 「…ああ。」

 「…………もう少し、そばにいてくれない?」


 その時、何かが、変わった。

 「…別に、それなら構わないが?」

 あれ。昨日はこんな感じじゃなかった。おかしい。喉が痛い。泣きそうとかじゃない。本当に…口から血が出そうなくらい…

 「……お、おい、嘉寺、大丈夫か?」

 「…え?」

 喉を触ったら、指先に血が付いた。手の甲に、赤い液体が落ちた。鉄の匂いがして、クラクラする。

 「だ、誰か救急車……!」

 視界がボヤけて、魁斗君が……揺らいでいる………

 これが、意識が遠のくってヤツ?



 その日、彼はずっと私のそばにいてくれた。

 病室で、私をじっと見つめていた。

 「…起きたか」

 「……かい、と、くん……」

 周りには友達も居た。ああ、心配かけちゃったんだな……

 「ずっと一緒に、いて欲しいの……」

 そう呟くと、また喉に痛みが走った…

 「何も言うなよ、もう。死にそうだったんだからな……今日はずっとそばに居てやるよ…しょうがないからな。」

 私今、一番幸せかも…………
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