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しおりを挟む「どこに行ったんだろう………」
私は、その晩ずっと魁斗を探していた。
どこにもいない。お店にも、家にも、街中にも、林のなかにも、どこにも……
知り合いにも連絡してみたけれど、全然見つからない。魁斗が居ないと、依頼とか出来ないんだけど…
その日は秋の終わり頃で、少し寒かった。
つくづく、マフラーを着けていてよかったと思う。
魁斗、一体どこに行ったんだろう……?
「そこの君」
「…あれ、どちら様ですか?」
「君…可愛いね。今夜どう?奢るよ?」
あ~~。こういうの初めてかも!
「自分が可愛いのは分かってるんで。大丈夫です。」
「ふーん、別にいいんじゃない?こういう時ぐらい、さ。ねね。どうかな?」
「あ、ほんとに結構なんで…」
「せっかく僕が誘ってあげてるのに断るの?え、奢るのに?なんで?そんなに嫌?」
あーーー、確かに、少しめんどくさいかも。
「いや、別にそんな訳じゃないんですけど、そんなことしてる暇がないっていうか」
「あっそう。…でも君、いい身体してるよねぇ。」
こうして見るとやっぱり怖いなぁ。夜の街。
「そんなことないですよ。」
「いやいや、それは……なかなかの逸材だよ。ちょっと、ついてきてくれるかな?」
「嫌です」
「いいから」
「嫌だって言ってるじゃないですか!!!」
……危ない。手が出るところだった。
「ってめぇ、何してくれてんだ!!」
あ、出てた。
「あっごめんなさい。特に、その、別に…いや、悪気があった訳じゃ…」
「ふざけんなッ!!!いいか……俺を殴った事は高くつくからな。身体できっちり払えよ……」
「それはお断りです」
さっさと逃げよう。殴り合いとかに発展したら、大変な事になるし……マフラーも汚れちゃうし……
「そういうのは一人でやって下さいね~」
そう告げて、とりあえず走って逃げてみた。
「大丈夫そうだね……はあ…はあ………やっぱ街を歩くのはコスパ悪いなぁ……屋根走った方がラクだね、やっぱり……はあ…はあ…」
「大丈夫?」
「……いえ、ご心配なく……ん?」
目の前には、私をさっき殺した張本人がいた。
「そっか、それならよかった。また来たよ。西崎 刹那さん。」
「あなたは…魁斗の友達とかいう……」
「そうだよ。」
「おっと危ない。やめてよ、急に殴り掛かるなんて。」
気がつくと手が出ていた。よくない癖だな…にしても、なんでこんなところに…いや、そんなことはどうでもいい。
「魁斗はどこ?あなたがさらったんでしょ?」
「攫ったなんて、そんな言い方ないだろう?いやはや、君にも来て欲しくて、さ。」
「…なんですって?」
なんだか変な言い方。場所を教えてくれるわけでもなく、自分についてこい、って?
「いやだから、僕が魁斗に会わせてあげるから、ね?
それに、来てくれないと……」
「来てくれないと?」
「いや…ちょっと妄想してただけ。こっちに来ないと、魁斗が死んじゃうよってね」
「何をしようとしているか分かっているの?それにあなた、さっき私の事殺したじゃない。」
「まあまあ。そんなに怒らないでよ。とりあえず、ついてきて欲しいんだ。」
「そんなの、信じられるわけ…」
「魁斗が死んじゃうよ?」
「……………」
なんてタチの悪いやり方なんだろう…こんなの怪しすぎるし……
「どうする?」
「……しょうがないよね…」
そうして、ついて行く事にした。行く場所も分からず、相手の目的も分からないまま。とても不安だった……
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