Dark past

sasanoha

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#3_2

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 「どこに行ったんだろう………」

 私は、その晩ずっと魁斗を探していた。
 どこにもいない。お店にも、家にも、街中にも、林のなかにも、どこにも……

 知り合いにも連絡してみたけれど、全然見つからない。魁斗が居ないと、依頼とか出来ないんだけど…

 その日は秋の終わり頃で、少し寒かった。
 つくづく、マフラーを着けていてよかったと思う。

 魁斗、一体どこに行ったんだろう……?

 「そこの君」

 「…あれ、どちら様ですか?」

 「君…可愛いね。今夜どう?奢るよ?」

 あ~~。こういうの初めてかも!

 「自分が可愛いのは分かってるんで。大丈夫です。」

 「ふーん、別にいいんじゃない?こういう時ぐらい、さ。ねね。どうかな?」

 「あ、ほんとに結構なんで…」

 「せっかく僕が誘ってあげてるのに断るの?え、奢るのに?なんで?そんなに嫌?」

 あーーー、確かに、少しめんどくさいかも。

 「いや、別にそんな訳じゃないんですけど、そんなことしてる暇がないっていうか」

 「あっそう。…でも君、いい身体してるよねぇ。」

 こうして見るとやっぱり怖いなぁ。夜の街。

 「そんなことないですよ。」

 「いやいや、それは……なかなかの逸材だよ。ちょっと、ついてきてくれるかな?」

 「嫌です」

 「いいから」

 「嫌だって言ってるじゃないですか!!!」

 ……危ない。手が出るところだった。

 「ってめぇ、何してくれてんだ!!」

 あ、出てた。

 「あっごめんなさい。特に、その、別に…いや、悪気があった訳じゃ…」

 「ふざけんなッ!!!いいか……俺を殴った事は高くつくからな。身体できっちり払えよ……」

 「それはお断りです」

 さっさと逃げよう。殴り合いとかに発展したら、大変な事になるし……マフラーも汚れちゃうし……

 「そういうのは一人でやって下さいね~」

 そう告げて、とりあえず走って逃げてみた。




 「大丈夫そうだね……はあ…はあ………やっぱ街を歩くのはコスパ悪いなぁ……屋根走った方がラクだね、やっぱり……はあ…はあ…」



 「大丈夫?」

 「……いえ、ご心配なく……ん?」

 目の前には、私をさっき殺した張本人がいた。


 「そっか、それならよかった。また来たよ。西崎 刹那さん。」

 「あなたは…魁斗の友達とかいう……」

 「そうだよ。」



 「おっと危ない。やめてよ、急に殴り掛かるなんて。」

 気がつくと手が出ていた。よくない癖だな…にしても、なんでこんなところに…いや、そんなことはどうでもいい。

 「魁斗はどこ?あなたがさらったんでしょ?」

 「攫ったなんて、そんな言い方ないだろう?いやはや、君にも来て欲しくて、さ。」


 「…なんですって?」

 なんだか変な言い方。場所を教えてくれるわけでもなく、自分についてこい、って?

 「いやだから、僕が魁斗に会わせてあげるから、ね?
 それに、来てくれないと……」

 「来てくれないと?」

 「いや…ちょっと妄想してただけ。こっちに来ないと、魁斗が死んじゃうよってね」

 「何をしようとしているか分かっているの?それにあなた、さっき私の事殺したじゃない。」


 「まあまあ。そんなに怒らないでよ。とりあえず、ついてきて欲しいんだ。」

 「そんなの、信じられるわけ…」

 「魁斗が死んじゃうよ?」

 「……………」

 なんてタチの悪いやり方なんだろう…こんなの怪しすぎるし……

 「どうする?」

 「……しょうがないよね…」


 そうして、ついて行く事にした。行く場所も分からず、相手の目的も分からないまま。とても不安だった……
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