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【第一章 17番目の婚約者、男爵令息は王弟殿下に溺愛される】
責任と許容
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陛下が隣国から帰ってきた数日後。私達は陛下の執務室に呼び出されていた。スウォン殿下と一緒に陛下の前へ立つと、陛下は確認していた書類から視線を上げた。
「お前達は、自分達のしたことが分かっているのか?」
「申し訳ありません」
「兄上、悪いのは私です。先日、執務室に来た時に私が一目惚れしてしまって……」
「それで、こそこそ二人で会ってたのか? 私も大概だが、スウォンは手を出すのが早いよな」
「え?」
私が驚いて思わず隣にいるスウォン殿下を見ると、彼は私を見て慌てていた。
「私にとっての運命は、エレノアただ一人です。兄上と一緒になるより、幸せにしてみせます! だから……」
「確かに、17番目の妃になるより、第2王子の妃の方がいいよな。今回の婚約は、私も同意したとはいえ、宰相と大臣が勝手に決めたことだ。正直に言うと、娘と同い年の子に手を出すのは、罪悪感があった」
「……そうなのですか?」
「ああ。私は、世継ぎを産んでもらわなければならないからな。ただ、まだ会っていなかったとはいえ、国王の婚約者に手を出した事については、責任を取ってもらわなければならない」
「陛下! それでしたら私に責任を取らせてください」
卒業パーティーの時に、私がうなずかなければよかったのだ。私は震えながら頭を下げた。
「素直な、いい子だな――惜しいことをしたかもな」
「……」
陛下は笑うと真顔に戻り、私達を見据えて言った。
「開発途中で頓挫した王家直轄の領地がある。臣籍降下して、そこで国の防壁となり、二人で隣国を見張ってはもらえないだろうか?」
「まさか休戦協定した隣国との境目にある領地ですか? 名前は確か……」
「サクフォン領だ」
サクフォン領――戦地で手柄を立て、サクフォン辺境伯となった人物は、領地を開拓途中に病に倒れ、亡くなったと聞いている。
「屋敷や、研究所はそのまま残っているだろう。好きに使っていいぞ。もともと、隣国との国境強化に向けて、辺境伯領に魔術師を何人か配置しようと思っていたんだ。ちょうど良かったよ」
陛下は微笑んでいたが、目元は笑っていない気がした。私は怖くなって隣にいるスウォン殿下を盗み見たが、微笑まれてしまった。
「お前、騎士団はどうするんだ?」
「団長の座は、副団長のウィンラッドに譲りますよ」
「全くお前は――昔から、そんな感じだな」
「すみません」
「いいよな、2番目は」
「……」
「……」
最後の一言は聞かなかったことにした私達は、執務室を出て来た道を戻った。廊下の曲がり角を曲がると、自然とため息が漏れた。
「兄上に許してもらえて良かったよ」
「はい、本当に」
私達二人が抱き合っていると、後ろで咳払いをされてしまい、人がいたことに驚いて振り返ると、そこには年若い青年が立っていた。青年は私と同じ銀髪をしていて、人目を引く容姿をしていた。
「スウォン殿下、真っ昼間から抱擁とは──お暇なんですか?」
「いや、これは……」
「後で私の執務室へ来てください。陛下がいらっしゃらなかった分、仕事が溜まってるんです」
「分かりました」
銀髪の青年は、踵を返すと足早に廊下を去っていった。
「今の方、誰ですか?」
「あれは、宰相だ。公爵家の嫡男と言うことで、引退した宰相の代わりに、一昨年採用されたんだが──何故か、いつもイライラしてるんだよね」
「え? 今の方が宰相閣下なのですか?」
「エレノア、気になるのかい?」
「いいえ。ただ、お若いなと……」
私が何と言って良いのか分からずに視線を泳がせていると、殿下に肩を掴まれ、近距離で見つめられた。
「あの……」
「お仕置きだな」
「え?」
「後で私の部屋に来るように」
「はい」
スウォン殿下は嬉しそうに微笑むと、私に触れるだけのキスをして、宰相閣下の後を追いかけて行ったのだった。
「お前達は、自分達のしたことが分かっているのか?」
「申し訳ありません」
「兄上、悪いのは私です。先日、執務室に来た時に私が一目惚れしてしまって……」
「それで、こそこそ二人で会ってたのか? 私も大概だが、スウォンは手を出すのが早いよな」
「え?」
私が驚いて思わず隣にいるスウォン殿下を見ると、彼は私を見て慌てていた。
「私にとっての運命は、エレノアただ一人です。兄上と一緒になるより、幸せにしてみせます! だから……」
「確かに、17番目の妃になるより、第2王子の妃の方がいいよな。今回の婚約は、私も同意したとはいえ、宰相と大臣が勝手に決めたことだ。正直に言うと、娘と同い年の子に手を出すのは、罪悪感があった」
「……そうなのですか?」
「ああ。私は、世継ぎを産んでもらわなければならないからな。ただ、まだ会っていなかったとはいえ、国王の婚約者に手を出した事については、責任を取ってもらわなければならない」
「陛下! それでしたら私に責任を取らせてください」
卒業パーティーの時に、私がうなずかなければよかったのだ。私は震えながら頭を下げた。
「素直な、いい子だな――惜しいことをしたかもな」
「……」
陛下は笑うと真顔に戻り、私達を見据えて言った。
「開発途中で頓挫した王家直轄の領地がある。臣籍降下して、そこで国の防壁となり、二人で隣国を見張ってはもらえないだろうか?」
「まさか休戦協定した隣国との境目にある領地ですか? 名前は確か……」
「サクフォン領だ」
サクフォン領――戦地で手柄を立て、サクフォン辺境伯となった人物は、領地を開拓途中に病に倒れ、亡くなったと聞いている。
「屋敷や、研究所はそのまま残っているだろう。好きに使っていいぞ。もともと、隣国との国境強化に向けて、辺境伯領に魔術師を何人か配置しようと思っていたんだ。ちょうど良かったよ」
陛下は微笑んでいたが、目元は笑っていない気がした。私は怖くなって隣にいるスウォン殿下を盗み見たが、微笑まれてしまった。
「お前、騎士団はどうするんだ?」
「団長の座は、副団長のウィンラッドに譲りますよ」
「全くお前は――昔から、そんな感じだな」
「すみません」
「いいよな、2番目は」
「……」
「……」
最後の一言は聞かなかったことにした私達は、執務室を出て来た道を戻った。廊下の曲がり角を曲がると、自然とため息が漏れた。
「兄上に許してもらえて良かったよ」
「はい、本当に」
私達二人が抱き合っていると、後ろで咳払いをされてしまい、人がいたことに驚いて振り返ると、そこには年若い青年が立っていた。青年は私と同じ銀髪をしていて、人目を引く容姿をしていた。
「スウォン殿下、真っ昼間から抱擁とは──お暇なんですか?」
「いや、これは……」
「後で私の執務室へ来てください。陛下がいらっしゃらなかった分、仕事が溜まってるんです」
「分かりました」
銀髪の青年は、踵を返すと足早に廊下を去っていった。
「今の方、誰ですか?」
「あれは、宰相だ。公爵家の嫡男と言うことで、引退した宰相の代わりに、一昨年採用されたんだが──何故か、いつもイライラしてるんだよね」
「え? 今の方が宰相閣下なのですか?」
「エレノア、気になるのかい?」
「いいえ。ただ、お若いなと……」
私が何と言って良いのか分からずに視線を泳がせていると、殿下に肩を掴まれ、近距離で見つめられた。
「あの……」
「お仕置きだな」
「え?」
「後で私の部屋に来るように」
「はい」
スウォン殿下は嬉しそうに微笑むと、私に触れるだけのキスをして、宰相閣下の後を追いかけて行ったのだった。
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