BL異世界溺愛シリーズ『異世界ルーヴル』

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【第五章 辺境伯爵令息は婚約者である王子殿下を溺愛する】

伯爵令息の到着

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 次の日の朝。朝早く起きた私は、顔を洗った後にメイクをしてもらうと、インクであごに偽のほくろを書いてもらった。自分で言うのも何だが、ほくろをつけると壁に飾ってある肖像画のハリス殿下と私は、瓜二つだ。


「基本的には、お部屋から出ないようにと言われております。申し訳ありませんが、こちらで朝食をお召し上がりください」


 食事を出したメイドに頭を下げられ、丁寧な扱いに慣れていない私は、戸惑ってしまう。


「じゅ、十分です。ありがとうございます」


 パンとスープの朝食を食べ終えると、私はベッドに横になり病人のふりをした。何もすることがなくて退屈だったが、横になっていると次第に眠くなってきた――眠りに落ちる寸前、廊下から誰かが怒鳴る声が聞こえた。


「お待ちくださいっ……。侍医から絶対に誰も近づけてはならないと言われております。レオンハルト様に万が一の事があれば、私達は死んでもお詫びしきれません」


「そのようなことを言うな。死んではならん――私が、いいと言っているのだ」


 声はだんだん大きくなり、部屋の扉が開け放された。


「な、何事ですか?」


 私は咳き込むふりをしながら身体を起こした。メイクで顔を青白くしてもらっているので、少しは具合が悪そうに見えるはずだ。


「婚約者が重病に冒されているというのに、見舞わない奴がいるか? それこそ、問題だと思う」


「感染したら大変です。レオンハルト様、お引取りください」


 小さい頃に会ったきりだと言っていたので、大丈夫なのだろうと思っていたが、間近で顔を見られてドキドキしてしまう。


「思ったより、元気そうで安心した。おいっ、そこの……。俺は元気になるまで、毎日見舞いに来るからな? 2週間とかいう、期間は関係ない」


 レオンハルト様は、そう言い捨てると部屋を出て行った。私はメイドと二人、顔を青くしたのだった。



※※※※※



「大変申し訳ありません」


 午後になってから、トルネスさんが私の部屋へ謝りに来ていた。


「頭を上げてください」


「それで、その──大変申し上げにくいのですが……」


「伯爵令息が帰るまでは、城にいてくださいとかでしょう? 一度、乗りかかった船ですし……」


「申し訳ありません。延長分は必ずお支払いします」


「私が思うに、話に聞いたレオンハルト様と少々違う印象を受けたのですが……」


「それがその……。私どもにも、よく分からないのです。普段は温厚な方なのですが、もしかしたら何か勘づいているのかもしれません」


「そうですか……」


 もし何か気づかれたりしていたら、色々と厄介だ。ボロを出さないように、気をつけなければ――昨日より胃が締めつけられるように痛くなった私は、夕食にお粥を食べて、そのまま眠りについたのだった。


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