借金を遺産相続した男爵令息は王子殿下に溺愛される/過去を失った運命の番は、公爵令息に溺愛される

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借金を遺産相続した男爵令息は王子殿下に溺愛される

発情※

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「嫌だっ──行かないでくれ。私はアルバートが好きだ。初日に言ったではないか。ずっと見ていたと」


 殿下の泣き出しそうな様子に、後ろでマルクスさんが微笑んでいた。ここは年上として諭してあげるべき所だろう。


「ギルバート殿下。私も殿下の事をお慕いしております。ですが、私はしがない男爵令息。これから、奥方を迎える殿下の足枷になってはいけません。もう二度と会えなくなる訳ではありませんし、笑ってお別れしましょう、殿下」


 私が微笑むと、殿下は胸の辺りを抑えて蹲っていた。様子がおかしいことに気がついた私は、座り込むと殿下の様子を伺った。


「大丈夫ですか、殿下?」


 マルクスさんは、私の側へ来ると小声で私に教えてくれた。


「アルバート様、殿下は──おそらくヒートが来たのではないかと」


「まさか?!」


 まさか、ギルバート殿下がオメガ性だとは思わなかった。私は思わず大きな声を出してしまい、自分で自分の口を塞いだ。


 オメガ性は今では減少しており、人口の1%もいないという。いても、発情期があり、体調を崩しやすいというだけで、他の人と変わりないと聞いていたので、殿下が何故こんなに苦しんでいるのか、分からなかった。


 御者の人に断りを入れると、私は殿下を横抱きにして運んだ。殿下は苦しそうに息をしながら、顔を顰めていた。


「殿下、もう少しでお部屋ですからね、頑張りましょう」


「うん」


 部屋に入って殿下をベッドに寝かせると、マルクスさんは殿下に薬を飲ませ、私にクリームを渡した。


「初めての発情期ですから、優しくして差し上げてください。殿ですからね」


「あのっ、これって・・・・・・」


 私は受け取ったクリームを指差すと、困り果てていた──話が見えない。


「閨用のクリームです。殿下はオメガ性ですから、必要ないとは思われますが、必要な時はお使いください」


「えっと、その──すみません。意味が分からなくて」


 私がそう言うと、マルクスさんは顔を赤くしながら言った。


「貴方と殿下が想いを添い遂げるという事です。私の父は宰相ですから、事情はお伝え出来ますが──ご存知だとは思いますが、オメガ性は一度発情してしまうと、男性の精を受け止めなければ、苦しい時間が一週間続きます。それはもう想像を絶する痛みだそうでして──と言うことで、殿下を早く楽にして差し上げてください」


「ええっ──あ、はい」


 マルクスさんは、それだけ言うと、そそくさと去って行った。


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