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第一章 出会いと別れ
2 彼の狙いは? ※微
しおりを挟む「……お言葉ですが何かの勘違いでは?」
恐る恐る確認をとる。
運命の人、とは? 魔気がある=運命の人? うーん、何故……? でも、どこかで聞いたことあるような。
「そんなはずない。俺はお前が牢獄に入った時から目をつけてた」
そして彼は相手より自分を信じる人、かぁ……。
彼は立ち上がり、そう話しながら私のベッドにのしかかって来る。彼との距離はもうゼロに近い至近距離で、鼻が触れ合いそうになるくらい距離を縮めてきた。
キッとした眉に凛とした赤い目。パッと見はくっきりとした顔つき……のように見える。肌もとても綺麗な褐色で、そこらの下級とはかけ離れた美しさ。
こんな人が私みたいな人に目をつけるなんて、有り得るのかな? うーん、待って。女としてではなくて、その魔気とやらに目をつけてるのか。
「私、は、下級の人間……です。そんな、求められるほど、大したものは持っていません」
両手で彼の肩を押して突き放したいところだけれど……今の私にはできない。彼の額から垂れた一滴の血は、私の胸に落ちていった。
「それでいい。下級なら、敵が減って済むからな」
確かに下級は汚れた人間なので、誰も手出しはしてこないと思う。
「敵って、私を狙う人? そんな人いるはずないです! 貴方だけですよ」
「そう? じゃ、俺にとってはラッキーな話だ」
彼の吐息が首筋にかかる。少し息が荒いようにも感じた。
何なの、この人……?? 狂気でしかない。
私は今まで、上級、中級の女性と比べられ男に蔑まされてきた。男らに指を差されて自分より上の女と笑われた事もあった。
だから……不思議と彼が私を求めてくれていて、恐怖もあるがどこか違和感が残った。
「あの、どうか離れて頂けませんか? 血が、怖くて……」
「血?」
あぁ、これか。というように、彼は自分の血に気づいたようだった。手首で血を拭い、彼はお構いなしのような表情で再び私に目を向ける。
「こんなのでビビってんの? 正気かよ。噂で聞いた話だと、王妃の形見を盗んだのはアンタらしいじゃないか? ……信じられないな」
「わ、私は……あれが国にとって、大事なものだとは知らなかったんです……。だから私は、ただ……」
「ふうん、知らなかったのか」
んで、続けて? と、彼は離れるどころか、私の首筋を嗅いできた。
そこから、ドロッとした生暖かい感触が筋をつたっていく。
「ひゃっ!?」
痛くはない。甘噛みなのか歯があたる。ゆっくりと舌を這わせたり、吸い付いてきた。
「あの、嫌っ……!! なんで?? 私なんか汚――」
私には全くもって無縁だと思っていた状況。こんな下級の私を? どうして? 今まで汚い者として扱われてきたから尚更。この人は気にしないの……?
「はは、お嬢さんの為にどれだけ殺してきたと思ってる? 気づいてなかったのかもしれないが。みーーんな、お前のことを狙ってたよ」
彼が言うに、私がこの牢屋に入る前に私は彼の元の牢屋を通ったらしい。確かに何人もいたのを覚えている。その中に彼がいることには気づかなかったけれど……。皆、私を見て欲が湧いたらしい。彼もその中の一人で、彼は私を求め牢屋の中で人を殺しては移動を繰り返したという。
彼を大勢の中にいれるのは危険だと。だから兵士は彼を私一人の場所へ移したほうが良いと判断したのではないかと思う。
こういう状況になるとは……もう、想定内だったのか。というか、狙いだったんだ。
私の身の危険なんて、国からしたらどうでもいい事なのかもしれない。兵士らは、一刻も早く彼をどうにかしたかったとしか……思えない。
「………203さ、んっ? お願い、もうやめ、むっ……」
強引でも、柔らかな彼の唇の感触が私の唇に押し付けられる。
彼の舌が口の中へ。私の舌と絡ませてくる。私の警戒を解こうとしているのか、私を無理やり寝かせて、子を宥めるかのように私の頭を撫でた。
唇が離れると、トロトロになった唾液の糸が引いた。
「本来であれば、あと五年後には俺も此処をおさらばできたんだ。けれどお前が来てから我慢が治まらなくなった」
彼はもう、ほぼ終身刑の立場にあると言う。しかし彼の余裕な表情と笑みに、同情すらもできなかった。
「私と、こうする為に、ですか?」
「そうだよ。俺でよかったな? 他の奴らはもっとイカれた奴ばっかだよ」
貴方もそうだ、とは言えず。
「――にしても、なんでお前の口の中はこんなに甘いんだろうな。ん。もっと……いい?」
「あ、やっ……あのっ……」
「ベルって呼んで? 今は特別なんだから」
貪るように、また口づけをして、私の舌を探すかのように絡ませて、じゅるじゅると音を立てながら舌を吸われた。
203――いや、ベル。特別な時間ってなんだろう? 抵抗したとしても、誰かが助けてくれるわけでもない。諦めの気持ちもちょっとずつ湧いてきて、段々と力が抜けてきた。
痛いことさえ、されなければ。優しくして頂けるのであれば……と、どこか期待をしている自分がいた。
「ほら、足開いて?」
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