【R18】蜜を求める牢獄

ロマネスコ葵

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第一章 出会いと別れ

6 優しい人? ※微

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***

「――――ベル。……あ、れ、ベル……さん?」

 いない。彼の姿が。
 急いで起き上がったけれど、見渡してもどこにも彼の姿は無かった。
 シーツは何故かベッドから外されていて、ご飯と一緒にグチャグチャにされていた。洗ってもらわなきゃ……にしても、どうしてこんな事に?
 彼はどこ?

 寒い……。彼の温もりが無くなったからか。
 すると、下の方からドロっとした液が溢れる感覚がした。

「えっ……」

 指で確認する。粘っこい何かが私の指に纏わり付く。 
 白い……。

「んっ……」

 少し弄っただけでも、刺激が強くて思わず声が。
 もしかして……私……、シちゃったのかな……?
 でも、そんな記憶が無くて。――――あっ。

『すげえ綺麗……痛くない? んっ……ふ、もう、無理……』
 
 彼の乱れた声を思い出す。
 でも、それ以降は何も。……私、途中で気絶してしまったのか?

「この白いのは……彼の? 私の?」

 指先についた、てりっとした白い液体からは、何の匂いもしなかった。
 ベルのかな……。

「夢じゃ、ないんだ……」

 けれど、彼の姿は無くて。


「彼に何かされませんでしたか?」
「ひゃっ!?」

 鉄格子の先には兵士が居た。私のよく知るうるさい兵士ではない。優しい青年のような声だった。
 その兵士は鉄仮面をズラしたおかげで、赤い瞳を見ることができた。
 ……もしかして、よく後ろからついてきてる人? 彼の瞳には見覚えがあった。
 ベルのような血に染まった色。けれど彼の目つきはベルよりも垂れ下がっているような気がする。

「驚くのも、無理はないか。僕は乱暴にしないよ」

 仮面を外すと、涼しげな蒼い髪が。少し黒を加えたような色だった。
 鉄の防具を着ていたのでガタイが良いように見えてたけれど、首から上はほっそりとしていて、好青年のように見えた。
 ――――ああ、絵本で見た王子様みたいな顔。こんな人がここで働いているなんて。

「あの、何か……?」
「昨日渡した夕食の分が、203に荒らされて食べれる状態じゃないと聞いてね」

 新しいのを持ってきた。と言って、彼は微笑んだ。
 三つに分かれたプレートに前菜、パン、カップに入ったスープと丁寧に分けられている。ついでにミルクとスプーンまで一緒に持って来てくれた。

「それに、いつもは全部まとめられてて食べにくかったでしょ。悪いね」
「あ、ありがとう、ございます……」
「ちゃんと手は拭いてからね」

 彼は私に真っ白な布を鉄格子の間から手渡した。
 もしかして、指先の白い液に気づいた?

「あっ!! これは……」

 言い訳も浮かばず、急いで手を拭く。
 バレてない、バレてない。

 ――そういえば、ベルの番号は203だったよね?

「あの、203は……?」
「城のために働きに出てるよ。君を除いて、ここの受刑者たちはフリーで労働に出ているんだ」
「フリー……という事は、お給料が出ないのですね。どうして私は除外なのでしょうか?」
「その通り。君はまだここに来て日数も少ないからね。そろそろ面接を受けることになるだろう。君に最適な仕事を与えてくれるはず」
「……そう、ですか」

 彼は扉を開けると、私の前までご飯を持って来てくれた。

「はい。朝食」

 ―――ああ、今は朝なんだ。最近は、今が朝なのか昼なのかは、兵士の言葉で判断している。

「ありがとうございます……」
「彼には気をつけて。実は、僕はこの移動に反対してたんだ」
「えっ?」

 移動って、ベルが私と一緒の牢に移った話?
 
「彼に何かされたら教えて。話を通してあげる」
「分かりました」

 二、三秒ほど沈黙が続いたけれど、彼は満足したのか私から離れて扉を閉めた。じゃあね、とでも言うかのように手を振って、ここを後にした。
 なんだか、気さくに声をかけてくれて良い人だった……。ご飯もまともに食べられる状態にしてくれて。うぅ、思わず腹の虫が。

「……いただきます」

 恐る恐るスープを口にすると、熱々で驚いた。いつもなら冷めてるのに。
 出来たてだ。パンもふわふわとした食感で、バターの甘い香りがする。
 これは、あの兵士さんのおかげ……? 前菜だけでもベルの分として取っておこうか。

 いつ、戻って来てくれるかな……。
 私の膣が、何故かスースーとして落ち着かなかった。


***

「ってえ! 何すんだよ」
「大人しくしろ! 今日も変装してサボってただろう。お前のせいでまた一人ケガ人が出たじゃないか!」
「俺じゃねえな。俺以外にももっと立派な犯罪者がいるだろ」
「はっ、いい加減にしろ。こんな姑息な手口を使うのは203、お前しかいない」
「決めつけやがって」

 ――――ベル?
 ベルがいつもの兵士と言い争ってる声がして、目が覚める。
 ベルは兵士によって牢屋に突き飛ばされて、壁に頭を打ってしまった。

「っくそ。無能な兵士には分からねえだろうから、俺が見つけてやるよ。その犯人ってやつを」
「できるもんならな」

 こんな状況でも歯向かうなんて……強者過ぎる。
 争いが終わると、兵士はその場を離れて二人だけの空間に戻った。

「はーー、いっってぇ……」

 またしても、ベルの額から血が流れ出てしまっていた。
 私がどうにかしなきゃ。そういえば先程の優しい兵士から綺麗な布を貰ったのを思い出す。

「大丈夫ですか……? 痛そう。これで拭きますね。あと、ベルさん何も食べてないかと思って、少しご飯を残しておいたんです。ミルクもありますよ」

 ベッドから抜けてベルに寄り添う。白い布で軽く彼の額に当てた。布は彼の血で染まり、赤黒く滲んでいく。

「……ありがとう。何だよ急に? いい加減その気になってくれた?」

 ベルの目はいつも通りのジト目だけれど、何だか顔が赤いような気がする。

「ちがっ……それは、まだ」
、ね。で、それは?」

 ベルがミルクの入った銀のボトルに指差す。

「えと……ミルクが、入ってます」
「じゃ、それ貰おうかな。口移しで」
「…………!」
「駄目なの? お互い許した仲じゃん。そんなに嫌?」

 やっぱり、私はベルとシちゃったんだ……。
 顔が熱くなってくる。もう、そんなふうに言われたら恥ずかしくて。
 
「違いまふ……」

 少量のミルクを含みながら、彼に反発する。
 ベルは壁に背をつけ、私を膝へと誘い込んだ。そうして私の背に手をあてて、ゆっくりと圧をかけてくる。
 ああ、またベルの唇に。

「んっ……」

 私のミルクで染みた舌と彼の舌を絡める。ミルクの味が口の中いっぱいに広がって、今までになかった気持ちよさで、下の方がじんわりと熱を帯びたような気がした。
 ちゅ……ちゅ、ぢゅる…と、私の舌に吸い付く。キスしたのと同時に閉じていた瞼を開けると、彼の目と合った。

「ベル、さん……今日も、とても気持ちいいです……」
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