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第一章 出会いと別れ
8 リベラとの出会い。
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「い・や・よ!」
向かいに、おっきな胸……。
そして、私の隣には余裕そうな表情をしたベル。でも、テーブルに足を置くのはマナー違反のような気がする。
この人が、噂のダチ……ってやつ?
なんというか……お友達というより、うーん……??
「そこを何とかなぁ~」
不貞腐れたようにというか、なんだか他人事のように渋るベル。
そして、胸――――いや、彼女は……。
一つに結んだ長い茶髪が両胸に垂れ下がって、とてもきわどいワンピースを着ている。周りの目が彼女の胸にいってるような気がする。
そのワンピースは薄汚れた布ではあるけれど、胸元が今にも張り裂けそうなくらいにパツパツになっていた。そして、しっかりと谷間が垣間見える……。
そして此処は、恐らく食堂。
壁紙も剥がれかかっているし、中はとてもボロボロ。
今にも壊れそうな背もたれの無い椅子に、多くの受刑者が座って黙々と食べさせられる。食べ物の量は皆、統一。多くもなければ、少なくもない。
最初は、静かに食べろと兵士に言われて受刑者達は黙々と食べていたのに、誰かが問題を起こした途端、兵士がその人を連れて出て行ってしまった。それからはまるで酒場のようにざわつき始めた。皆は容赦なく声をかけようと、私の目の前にいる女性を狙っているようだけれど、何故だか誰もそこまで手を出さず留まっている。
もしかして……。ベルのおかげ?
「なんであたしが、アンタらのデートに協力しなきゃいけないわけ? 大体ベルは、この間まではあたしにベッタリだったじゃない! どういう心変わりなの? ましてや相手は下級って……侮辱してるとしか思えないわ」
彼女がテーブルを叩けば、ふるるんと胸がバウンドする。なんだか、お洋服の中に大きなボールが二つあるみたい……。
化粧がなくても、顔立ちはくっきりとしていて無駄な脂肪や浮腫がなく、スラッとしていた。お姫様みたい。うう……私とはかけ離れている。
「ここの奴らと一緒よ! 異性であれば誰でもいいと思ってる」
「ちょっと、落ち着けよ。そんな一方的な取引なんかじゃねえのは、お前だって分かってんだろ? リベラ」
彼女の名前は、リベラと言うのね……。彼らの関係は? 元、恋人同士とか?
感情を露わにするリベラと冷静なベル。ベルのそのツンとした態度は、リベラの心に火をつけるのでは? けれど、お互いに感情的になっても平行線が続くだけだから、彼女にはどうか落ち着いて貰わないと。
うーん、ここは私が何か落ち着くような、場を和ませるような空気を作らなきゃ。とても………怖いけど……。
「ん? ……何よ?」
リベラは鋭い目で私を睨みつけた。
「わ、私の、か、勝手な都合なんです。ご無理を言って、ほんとにごめんなさ――はぁ……駄目だ。緊張しちゃう……」
はっ。
今、声に?
「…………。ちょっと、何なのよこの子?」
「虐めんなよ、コイツはまだ十八なんだぞ」
「十八!? はぁぁぁ……」
溜息というより、驚きを表している?
「ちょ、あの……ベルさん、私の年齢、よくご存知でしたね。一体どこで」
「内緒」
「何イチャイチャしてんのよ! 年下を使うなんてベルも狡いわね。グチグチと言い難いじゃないのよ、もう!! …………んまぁ、あとは、報酬次第で手伝ってあげようかな……」
「ほら」
ゔ。どっから出してくんのよと、リベラは小声で言った。
ベルはポケットから放り投げるように渡す。リベラはそれを掴むと、不服そうな表情を見せながらも、話に乗ってくれそうな雰囲気を出した。
一体、何を渡したんだろう? 手のひらに収まるほどの大きさなのは確か。
「で? アンタは人を巻き込んでまで――おっと。……どこへ行きたいのよ?」
私が年下だからか、リベラのきつかった口調と態度が少し和らいだ。
「下町の様子を見に行きたいのです。あとは中級土地も」
「……そう」
「具体的に申し上げますと――」
「いいのいいの。なんとなーく、予想がつくから」
「そうですか……。あっ、私、リベラさんの為にヘデラの実をいくつかご用意します!」
そう言うと、今までムッス~としていたリベラの表情がハッと驚いた表情に代わり、テーブルに肘をついていたが浮き上がった。
「下級の割に、気が利くのね」
「そんな。私はベルさんが傍にいてくれるから、お伝えできた事です。ヘデラの実は見たことがないので……ベルさんにご案内して頂く事となりますが。ベルさんはそれで宜しいでしょうか?」
伝える順番を間違えた気がしてはいるけれど、つい、口に出してしまった。
ベル……嫌がるかな?
するとベルは話に乗ってくれて、こくりと頷いてくれた。
「つーわけだから、リベラは安全ルートを用意してくれないか?」
「……しょうがないわね……」
「安全ルート、ですか?」
ベルに事情を聞くと、兵士がよく通るルートがあるらしく、万が一の為にも怪しまれないように移動をしたいとの事でリベラに交渉したのだった。
リベラは何故そんな事が分かるのだろう? と、疑問に持つと、ベルは快く答えてくれた。リベラは見た目のおかげで男が寄ってたかってくるようで、それは兵士も同じだそうだ。今は監視管理官とも関係を持っているようで、情報が自分に回っているらしい。
――その人たちは、リベラに対して怪しんだりしないのだろうか? 色んな情報は直球でまわってくるのではなく、自然と入ってくるものなのか。
「絶対にヘマしないでよね」
リベラが念押しをする。
「さ。シャワー浴びよっと。……アンタも来る? 626」
私のボロボロのワンピースに、薄っすらと書かれている番号に気づいたのか、リベラは626と呼んだ。
「私もシャワーが使えるのですか?」
「当たり前よ! アタシが、ここでの過ごしやす~い生活の仕方を教えてあげる。ベル、ちょっとこの子借りるわよ」
「えっ……!! ……まぁ、手短にな」
「なによ、手短って。女は時間を沢山使うのに」
行こ! と、手を差し伸べるリベラに、私はそっと自分の手を重ねた。
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