平凡地味子ですが『魔性の女』と呼ばれています。

ねがえり太郎

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後日談 黛家の妊婦さん1

(142)翔太と一緒6

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(141)話の続きの小話です。


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食事を摂りそびれたと言う龍一にシュウマイを温め、一夜漬けとパックの味噌汁で手早く夕食を用意する。そして龍一がダイニングテーブルで夕食を食べている間、七海は説明書を横目に翔太とドローンを操作に挑戦してみる事にした。が、これがなかなか難しい。



「あっ動いた……!」



ヴィーン!と小さな機械が蝉みたいに飛び上がった。



バシッ……!



―――かと思うと天井に直撃し、アッと言う間に墜落してしまう。

「あー……」
「おちたぁ」

何度か試したが、簡単そうに見えて意外と制御が難しい。翔太にコントローラーを預けて説明書を再確認していると、食事を終えた龍一がタブレットを片手に二人のもとへ歩み寄って来た。どうやらネット動画で使用方法を調べてくれたらしい。ラグにぺたりと座っている翔太の隣、七海の反対側に腰を下ろしてこう言った。

「貸してみなさい」

そして翔太からコントローラーを受け取ると、二、三度試しただけで直ぐに要領を掴んでしまった。ドローンが天井にぶつかる事なく、ハチドリのようにホバリングしたまま空中に浮かぶのを目にした二人は歓声を上げる。

「うわぁ!」
「すごい……!」

翔太は目を輝かせながらピョンと立ち上がり、両手を上げた。その隣で七海は、龍一のあまりの器用さに目を丸くする。

「お義父さん、ラジコン得意なんですか?」

思わず尋ねると、空中に浮いたドローンに視線を当てながら、龍一は無感動に否定した。

「いや、初めてだ」
「ええ……っ!は、初めて?!」

(これで……?!)

衝撃を受けて七海は龍一を凝視する。その表情はいつも通り静か過ぎて、何の感慨も読み取れそうもない。
熟練のパイロットのように事も無げにコントローラーを操作する龍一。その手によって小さなドローンはスイーッと高度を保ったまま居間を一周し、ゆっくりと翔太の方へ降りて来た。翔太がそれを追うように両掌を伸ばす。すると、ポトリとその小さな掌の上に、同じくらい小さな機体が着地した。



「すげー!」
「ホント……スゴイです」



狂喜する翔太と、魂が抜けたように口を開けてその様子を見守る七海。翔太の掌からドローンを摘まみ上げ、龍一は小さなパイロットにコントローラーを引き継いだ。

「やってみろ。コントローラーじゃなく、コイツをちゃんと見ながらゆっくり動かすんだ。慎重にな」
「……うん!」

翔太はシッカリと頷くと、真剣な面持ちでコントローラーを握りしめた。



七海は小さな新人パイロットとベテランの風格を纏う新人教官の遣り取りを目を細めて見守った。それからふっと微笑むとダイニングに移動し、キッチンの後片付けに取り掛かる。手を動かしつつ、二人の微笑ましい姿を時折眺め……想像した。

父親とはあまり接点がない、と黛は言っていたが、案外覚えていないような小さな頃、こんな風に相手をして貰っていたのかもしれない。

龍一が手慣れた様子で翔太を扱う様子を見て、七海は小さな黛が父親に尊敬の視線を向ける様子を思い浮かべたのだった。


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お読みいただき、誠に有難うございました。

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