俺のねーちゃんは人見知りがはげしい

ねがえり太郎

文字の大きさ
161 / 211
・番外編・お兄ちゃんは過保護【その後のお話】

18.私の気持ち

しおりを挟む
お母さん特製の豆乳レアチーズケーキは絶品だ。
だけど上の空で作業していたから、何だかすごく時間が掛かってしまった。

かなりの時間、2人をほったらかしてしまった。
しかも妙な空気を残したまま。
宿題は終わっただろうか?終わっていたら―――2人は何をしているだろう?

そう言えばお兄ちゃんが怒った状況と、今の状況はまるでそっくりだと言う事に気が付いた。
いや、家に私もお母さんもいるからピッタリ同じと言う訳では無いのだが……

部屋に私と同い年の男女が2人切りで籠っている。

おまけに澪は飛び切り綺麗な女の子だ。
勇気も人気のある男子で。
2人は親し気で通じ合っていて―――あれ?これって恋愛に発展してもおかしくない状況じゃない??

これは危ない……かもしれない。

どうしよう……扉を開けたら、2人がキスとかしていたら。

いや、ノックをすれば良いよね?
そうすれば最悪の状況は免れる。

『最悪?』澪と勇気がイチャイチャしている所が?
いや、悪いって訳じゃなくて―――2人とも私の大切な友達で。だけど何だかモヤモヤするのは……2人がお互いに特別な相手になったら。

私ってお邪魔虫じゃない??
そしたら私のいない所で2人で会ったりするようになっちゃうの??

そんな想像が私の胸を締め付けた。
寂しさやら、孤独感やら―――それ以外の訳の分からないモヤモヤした黒い気持ちが私の足首を掴んで離さない。私は自分の部屋だと言うのに、その扉の前でお盆を持ったまま動けなくなってしまった。



ガチャリ。



すると目の前の扉が突然開いて、勇気がヌッと顔を出した。

ビッックウ!と私の肩も跳ねたが、そこに私が立ち竦んでいると思っていなかったらしい勇気も「わっ!」と叫んだ。暫くお互いドキドキする心臓を静めながら睨み合う。すると先に平静を取り戻した勇気が、再び口を開いた。

「何してんの」
「えっと、オヤツを……」
「お!これ蓉子さんが作ったヤツだな?やったこれ大好き……って、突っ立ってないで中入れよ」

そう言って勇気は私の手からお盆を奪った。

「えっと……いいの?」

お邪魔じゃ……ない?

「何言ってんだ?」

勇気は首を捻って、私の言葉をサラリと流し部屋に戻った。
私は何となく肩を落として、その後に続く。

「オヤツ食べたかったらしいよ」
「そうなんだ。まだタップリ残っているに『飲み物貰って来る』って言って戻らないから、どうしたのかと思ったよ。お腹空いてたんだね」

ホッとしたように、胸に手をあて微笑む澪はとっても美しい。
これは惚れる。勇気じゃなくても。
だって、今私も惚れた。ズッキュンって胸が高鳴ったもの。

「う、うん……そう」
「食べよーぜ。俺、宿題終わったし。終わってないの凜だけだからな」

揶揄うように言う勇気に私は「なにおうっ!」と形だけ反抗して見せる。アハハと笑う勇気にドキリとした。

あれ?

勇気ってこんなだったっけ??

何だかスッゴく『男子』だな。と思った。
スラリとした澪と並ぶと、体格の良さが際立つ気がする。
いつも見ているのに、気が付かなかった。

2人はすごくお似合いの男女だった。

私は途端に気持ちが萎んでしまって、上げた拳をフラリと下ろした。

「凛?なんかさっきから変だぞ?」

勇気が私を覗き込む。私は何だか泣きそうになったけど、首を振って笑った。



「お腹空いちゃって!宿題は後回しっ、早く食べよ!」



精一杯ニコリと笑って丸テーブルの前に腰を下ろしたのだった。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

英雄の番が名乗るまで

長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。 大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。 ※小説家になろうにも投稿

白い結婚は無理でした(涙)

詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。 明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。 白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。 小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。 現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。 どうぞよろしくお願いいたします。

恋人、はじめました。

桜庭かなめ
恋愛
 紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。  明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。  ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。 「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」 「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」  明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。  一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!  ※特別編9が完結しました!(2026.3.6)  ※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。  ※お気に入り登録、感想などお待ちしています。

思い出さなければ良かったのに

田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。 大事なことを忘れたまま。 *本編完結済。不定期で番外編を更新中です。

溺婚

明日葉
恋愛
 香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。  以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。  イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。 「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。  何がどうしてこうなった?  平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?

訳あり冷徹社長はただの優男でした

あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた いや、待て 育児放棄にも程があるでしょう 音信不通の姉 泣き出す子供 父親は誰だよ 怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳) これはもう、人生詰んだと思った ********** この作品は他のサイトにも掲載しています

さよなら、私の初恋の人

キムラましゅろう
恋愛
さよなら私のかわいい王子さま。 破天荒で常識外れで魔術バカの、私の優しくて愛しい王子さま。 出会いは10歳。 世話係に任命されたのも10歳。 それから5年間、リリシャは問題行動の多い末っ子王子ハロルドの世話を焼き続けてきた。 そんなリリシャにハロルドも信頼を寄せていて。 だけどいつまでも子供のままではいられない。 ハロルドの婚約者選定の話が上がり出し、リリシャは引き際を悟る。 いつもながらの完全ご都合主義。 作中「GGL」というBL要素のある本に触れる箇所があります。 直接的な描写はありませんが、地雷の方はご自衛をお願いいたします。 ※関連作品『懐妊したポンコツ妻は夫から自立したい』 誤字脱字の宝庫です。温かい目でお読み頂けますと幸いです。 小説家になろうさんでも時差投稿します。

処理中です...