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・番外編・お兄ちゃんは過保護【その後のお話】
24.グラウンドで
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何故か今、私はグラウンドに居る。
澪が練習試合を見てみたいと言ったからだ。
最近野球を題材にした小説を読んで、実際の試合を見に行きたくなったらしい。じゃあ札幌ドームに日ハマの試合を見に行こうよ、と提案したらそこまで本格的に時間を割きたい訳じゃない、と断られた。相変わらず澪は率直だ。
「妙な風の吹き回しだな」
ネット越しに勇気が私に話し掛けて来た。何だか嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか。
「澪の付き合いだもん」
「もっと見に来ればいいのに。今度公式試合も応援に来いよ」
「それずっと屋外でしょ?暑そうだなぁ。1人で行くの嫌だし」
「鈴木と来ればいーじゃん。な?鈴木」
「気が向いたらね」
「頼むよ」
むむっ。
もしかして勇気が誘いたいのは、澪なのかな?
私に声を掛けて遠回しに澪をおびき寄せる作戦では……なんて、うがった見方をしてしまう。今までそんな風に考えた事も無かったのに。一度そういう視点で見てしまうと、全てが繋がって見えてしまうのは何故なのか。
そう言えば澪も急に野球に興味を持つなんて―――素っ気ない対応しているけど、ひょっとして澪の方も勇気のこと……気になっている?
何だかモヤモヤして来てしまう。
自分だけ仲間はずれ、みたいな。
私はやっぱりお邪魔虫?それとも2人を取り持つアイテム?なんて卑屈な考えがチラチラ浮かんで来る。
「おい、眉間に皺寄ってるぞ」
「え」
「俺の活躍、余所見して見逃すんじゃねーぞ」
「試合出れるの?」
「ったく関心薄いな。レギュラーだよ、ショートで2番」
すると、普段表情を崩さない澪が眉を上げた。
「へえ、まだ2年生なのにレギュラーなの。ショートって意外に機敏なのね」
「『意外に』は余計だ」
勇気が笑った顔に、ドキリとする。
ショートがどの位置を差しているか、機敏だと言う判断を澪が何をもってしているのか私にはさっぱりだった。何だか正体不明のモヤモヤがまた胸に湧き上がって来そうになる。
除け者にされそうな危機感なのだろうか。
ダメダメ、違う。また間違えちゃう。
野球用語が分からないなら、澪や勇気に教えて貰えばいい。また満タンの飲み物のお替りを取って来るような、明後日の方向には走りたくない。
だけど2人が親密になって。
私が邪魔ものになったら。
たった2人しかいない友達を失っちゃうのかなぁ……なんて、どうしても憂鬱な気持ちになってしまう。
「凛?どした」
いつの間にか勇気が私を覗き込むように、フェンスに顔を近づけている。
「凛?」
澪も心配そうに私を見ている。
いつも2人はこうして私を気遣ってくれる。
なのに私は自分の事ばかり考えているんだって、この時気が付いた。
モヤモヤはしょうがない。寂しいのもしょうがない。だけど。
「ううん、何ともないよ。勇気が本当に活躍できるのか心配になってさ、随分大きな口きくから」
そう言ってアハハと笑うと、澪は安心したように僅かに表情を緩め、勇気はフッと余裕の笑顔に戻った。
「まあ、見てろって。あ、最後までいろよ、一緒に帰ろうぜ」
「勇気が本当に活躍するなら、最後まで見るよ」
「言ったな!その言葉ちゃんと守れよ!」
そう言って、勇気は手を上げてチームの方へ走って行った。
その背中を何となく見ていると、ふと視線を感じた。
女子マネージャーのあの子が、真顔でこちらをジッと見ているのに気が付いた。
数秒目があって―――それからフイッと逸らされた。
澪が練習試合を見てみたいと言ったからだ。
最近野球を題材にした小説を読んで、実際の試合を見に行きたくなったらしい。じゃあ札幌ドームに日ハマの試合を見に行こうよ、と提案したらそこまで本格的に時間を割きたい訳じゃない、と断られた。相変わらず澪は率直だ。
「妙な風の吹き回しだな」
ネット越しに勇気が私に話し掛けて来た。何だか嬉しそうに見えるのは気のせいだろうか。
「澪の付き合いだもん」
「もっと見に来ればいいのに。今度公式試合も応援に来いよ」
「それずっと屋外でしょ?暑そうだなぁ。1人で行くの嫌だし」
「鈴木と来ればいーじゃん。な?鈴木」
「気が向いたらね」
「頼むよ」
むむっ。
もしかして勇気が誘いたいのは、澪なのかな?
私に声を掛けて遠回しに澪をおびき寄せる作戦では……なんて、うがった見方をしてしまう。今までそんな風に考えた事も無かったのに。一度そういう視点で見てしまうと、全てが繋がって見えてしまうのは何故なのか。
そう言えば澪も急に野球に興味を持つなんて―――素っ気ない対応しているけど、ひょっとして澪の方も勇気のこと……気になっている?
何だかモヤモヤして来てしまう。
自分だけ仲間はずれ、みたいな。
私はやっぱりお邪魔虫?それとも2人を取り持つアイテム?なんて卑屈な考えがチラチラ浮かんで来る。
「おい、眉間に皺寄ってるぞ」
「え」
「俺の活躍、余所見して見逃すんじゃねーぞ」
「試合出れるの?」
「ったく関心薄いな。レギュラーだよ、ショートで2番」
すると、普段表情を崩さない澪が眉を上げた。
「へえ、まだ2年生なのにレギュラーなの。ショートって意外に機敏なのね」
「『意外に』は余計だ」
勇気が笑った顔に、ドキリとする。
ショートがどの位置を差しているか、機敏だと言う判断を澪が何をもってしているのか私にはさっぱりだった。何だか正体不明のモヤモヤがまた胸に湧き上がって来そうになる。
除け者にされそうな危機感なのだろうか。
ダメダメ、違う。また間違えちゃう。
野球用語が分からないなら、澪や勇気に教えて貰えばいい。また満タンの飲み物のお替りを取って来るような、明後日の方向には走りたくない。
だけど2人が親密になって。
私が邪魔ものになったら。
たった2人しかいない友達を失っちゃうのかなぁ……なんて、どうしても憂鬱な気持ちになってしまう。
「凛?どした」
いつの間にか勇気が私を覗き込むように、フェンスに顔を近づけている。
「凛?」
澪も心配そうに私を見ている。
いつも2人はこうして私を気遣ってくれる。
なのに私は自分の事ばかり考えているんだって、この時気が付いた。
モヤモヤはしょうがない。寂しいのもしょうがない。だけど。
「ううん、何ともないよ。勇気が本当に活躍できるのか心配になってさ、随分大きな口きくから」
そう言ってアハハと笑うと、澪は安心したように僅かに表情を緩め、勇気はフッと余裕の笑顔に戻った。
「まあ、見てろって。あ、最後までいろよ、一緒に帰ろうぜ」
「勇気が本当に活躍するなら、最後まで見るよ」
「言ったな!その言葉ちゃんと守れよ!」
そう言って、勇気は手を上げてチームの方へ走って行った。
その背中を何となく見ていると、ふと視線を感じた。
女子マネージャーのあの子が、真顔でこちらをジッと見ているのに気が付いた。
数秒目があって―――それからフイッと逸らされた。
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