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・番外編・お兄ちゃんは過保護【その後のお話】
34.私の気持ち 3
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真っ赤になったまま、私は気まずげに立ち上がった。
「何でもないよ―――今日疲れちゃった、私お風呂入って寝ようかな」
そのままお湯を入れに行くため浴室に向かおうとした。すると、お兄ちゃんも立ち上がって私の行く手を阻んだ。
「凛、話は終わって無いよ?」
ニコリと微笑み私の肩をガッシリと掴む。
逃げられない気配に、私は「うう……」と呻いてソッポを向いた。
「言いたくないんだもん」
「何で……言いたくないの?」
お兄ちゃんが大きな体を屈めて、ソッポを向いた私の顔を覗き込む。
私だってクラスの女子の中では結構大きい方だ。だけどお兄ちゃんは私よりずっとずっと大きい。つまり上から笑顔で覗き込まれると、もの凄い圧力を感じてしまい逆らい辛い事、この上ない。
でも言いたくない。
だって、全部全部私の身勝手な愚痴だ。
大事な二人しかいない友達に、置いてかれそう―――だから自立しなきゃって言う強がりの下で―――本当は嫌!大事な優しい人達から離れたく無い、置いてかないでって私の心は叫んでいた。それから「しょうがないなぁ」って笑って皆が私の願いを叶えくれればって……自分勝手な事を、望んでいる。
お兄ちゃんの口から私の台詞を改めて聞いた時、そんなケチでちっぽけな自分が目の前に浮かんで、恥ずかしくて堪らなくなったんだ。
私は更に不自然に首を曲げて、お兄ちゃんの追及から視線を逸らす。
そして逸らしたまま―――ポスンとお兄ちゃんの胸に飛び込んで、顔を押し付けた。
これで顔を見られなくて済む!とばかりに、ギュッと硬い体にしがみつく。
するとお兄ちゃんは黙って私の背に大きな掌をまわし、ゆっくりと撫でてくれる。
時折ポンポンと叩いてくれるのは、幼い頃寝かしつけてくれた名残なのか。
気を使ってお兄ちゃんは口には出さないけど―――お兄ちゃんにはオムツも替えて貰ったし、オネショの始末もして貰った。
だからここで私が強がって弱い部分や汚い気持ちを隠してみたって、本当は今更なのだ。
小学生で勇気に出会って連れ回された時、お兄ちゃんに泣きついて結局しがみついたまま眠っちゃったし、コワい漫画を読んで眠れなくなった夜は、我儘を言って眠るまでベッドの傍で手を握って貰った。悲しい事があるとグチャグチャに泣いて―――お兄ちゃんのシャツに鼻水を付けた事も一度や二度では無い……。
私は自分の過去を思い出し、フッと自嘲気味に嗤うと口を開いた。
「……私ね、独りになっちゃうのが怖いの」
「うん」
お兄ちゃんが私の頭に顔を寄せて頷く。耳では無く頭蓋骨に直接響く声が、心地良い。
「最近気づいたんだ。澪と勇気しか友達がいない私は、この先独りになったらやって行けないんじゃないかって。澪と同じ高校には行けないし、勇気もその内忙しくなって私の所に遊びに来る事も無くなる。お母さんも仕事があるでしょ?お兄ちゃんも結婚しちゃって独りになっちゃったら―――」
「……」
「―――ゲームばっかりやるようになって、オンラインの友達しかいなくなって、人見知りだから学校でも独りぼっちのままで、そのくせ寂しがりだから辛くなって高校に通えなくなって―――引き籠りまっしぐら、大人になっても親のお荷物で、独身のままお兄ちゃん夫婦の邪魔ばかりする小姑になっちゃうかもっって……!」
「……」
私のマシンガン妄想トークの途中から、お兄ちゃんが返事をしなくなった。
あれ?と思って顔を上げると―――微妙な表情でお兄ちゃんは私を見下ろしていた。
「凛」
静かな声で私の名を呼ぶお兄ちゃん。
「えっと、お兄ちゃん?」
お兄ちゃんは真顔で。私に噛んで含めるようにゆっくりと囁いた。
「それ……ぜっっったい、考え過ぎだから」
……呆れられてしまった。
「何でもないよ―――今日疲れちゃった、私お風呂入って寝ようかな」
そのままお湯を入れに行くため浴室に向かおうとした。すると、お兄ちゃんも立ち上がって私の行く手を阻んだ。
「凛、話は終わって無いよ?」
ニコリと微笑み私の肩をガッシリと掴む。
逃げられない気配に、私は「うう……」と呻いてソッポを向いた。
「言いたくないんだもん」
「何で……言いたくないの?」
お兄ちゃんが大きな体を屈めて、ソッポを向いた私の顔を覗き込む。
私だってクラスの女子の中では結構大きい方だ。だけどお兄ちゃんは私よりずっとずっと大きい。つまり上から笑顔で覗き込まれると、もの凄い圧力を感じてしまい逆らい辛い事、この上ない。
でも言いたくない。
だって、全部全部私の身勝手な愚痴だ。
大事な二人しかいない友達に、置いてかれそう―――だから自立しなきゃって言う強がりの下で―――本当は嫌!大事な優しい人達から離れたく無い、置いてかないでって私の心は叫んでいた。それから「しょうがないなぁ」って笑って皆が私の願いを叶えくれればって……自分勝手な事を、望んでいる。
お兄ちゃんの口から私の台詞を改めて聞いた時、そんなケチでちっぽけな自分が目の前に浮かんで、恥ずかしくて堪らなくなったんだ。
私は更に不自然に首を曲げて、お兄ちゃんの追及から視線を逸らす。
そして逸らしたまま―――ポスンとお兄ちゃんの胸に飛び込んで、顔を押し付けた。
これで顔を見られなくて済む!とばかりに、ギュッと硬い体にしがみつく。
するとお兄ちゃんは黙って私の背に大きな掌をまわし、ゆっくりと撫でてくれる。
時折ポンポンと叩いてくれるのは、幼い頃寝かしつけてくれた名残なのか。
気を使ってお兄ちゃんは口には出さないけど―――お兄ちゃんにはオムツも替えて貰ったし、オネショの始末もして貰った。
だからここで私が強がって弱い部分や汚い気持ちを隠してみたって、本当は今更なのだ。
小学生で勇気に出会って連れ回された時、お兄ちゃんに泣きついて結局しがみついたまま眠っちゃったし、コワい漫画を読んで眠れなくなった夜は、我儘を言って眠るまでベッドの傍で手を握って貰った。悲しい事があるとグチャグチャに泣いて―――お兄ちゃんのシャツに鼻水を付けた事も一度や二度では無い……。
私は自分の過去を思い出し、フッと自嘲気味に嗤うと口を開いた。
「……私ね、独りになっちゃうのが怖いの」
「うん」
お兄ちゃんが私の頭に顔を寄せて頷く。耳では無く頭蓋骨に直接響く声が、心地良い。
「最近気づいたんだ。澪と勇気しか友達がいない私は、この先独りになったらやって行けないんじゃないかって。澪と同じ高校には行けないし、勇気もその内忙しくなって私の所に遊びに来る事も無くなる。お母さんも仕事があるでしょ?お兄ちゃんも結婚しちゃって独りになっちゃったら―――」
「……」
「―――ゲームばっかりやるようになって、オンラインの友達しかいなくなって、人見知りだから学校でも独りぼっちのままで、そのくせ寂しがりだから辛くなって高校に通えなくなって―――引き籠りまっしぐら、大人になっても親のお荷物で、独身のままお兄ちゃん夫婦の邪魔ばかりする小姑になっちゃうかもっって……!」
「……」
私のマシンガン妄想トークの途中から、お兄ちゃんが返事をしなくなった。
あれ?と思って顔を上げると―――微妙な表情でお兄ちゃんは私を見下ろしていた。
「凛」
静かな声で私の名を呼ぶお兄ちゃん。
「えっと、お兄ちゃん?」
お兄ちゃんは真顔で。私に噛んで含めるようにゆっくりと囁いた。
「それ……ぜっっったい、考え過ぎだから」
……呆れられてしまった。
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