9 / 211
俺のねーちゃんは人見知りがはげしい【俺の事情】
◆ バスケ部員 地崎の証言
しおりを挟むバスケ部員 地崎視点です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
念願のバスケ部強豪校に入学が決まって、春休みからずっと練習に参加している。
今年はすげえ奴が入ったって、同中の先輩が噂していたから気になっていた。
そして、奴はホントにすげえ奴だった。
中体連の全道大会でいつも8強に入るチームに所属している、あの『森』だった。
まず、なんといっても最初に目を引くのはその外見だ。
少し透ける栗色の髪に、色素の薄い瞳。
「モデルか」っと突っ込みそうになるくらい整った精悍な顔つき。
180を超える身長と、バランスの良い手足。
何故か俺の中学の女子生徒にもファンがいた。確かハーフだとか何とか、聞いた事がある。あの髪は地毛らしい。
そして奴がすげえのは、外見なんか気にならなくなるくらいのバスケセンスだ。
体が大きいからポジションはセンターなのかと思いきや、何をやらせても上手い。多分、動体視力や視野の範囲が半端なく広いんだ。おまけに背筋が強え。空中戦で後からジャンプしたのに、一番最後までその空間に残っているのが、森だ。
俺だって中学ではエースだった。
しかし悔しいとか嫉妬を通り越して、ただ奴のプレーに見惚れてしまう事がある。
一方本人と話すと、コートの中では頼もしいのに、外に出るとイマイチ大物感が無い……。
何でだろう……?
お高くとまってなくて、性格が気さくだからか?お笑い好きだし、意外と単純でいい奴だし……。
それとも、あれか?……妙に細かいっていうか、タオルとか女子かっていうぐらいきちんと畳んで、人が見ていない隙に人のもキチっ……と端を揃えて置いている様子をこの間目撃してしまったからか?
女子にモテているって、自覚があんまり無いからか?
「バスケしか取り柄無い」って本人は言っていたけど(俺にしてみれば仮にそうだとしても、十分羨ましいが)観覧席に陣取っている女子生徒の大半が自分を見に来てるって気付いて無いのにも驚いたな。コート内ではあんなに、いろんな事を同時に把握してるのに。
それに女子マネで一番可愛いと評価の高い鴻池雛子に、明らかに特別扱いされているのに気付いて無かったって……どんだけ鈍いの?
……鴻池は森と同中で女子バス部員だったそうだ。森は「中学でほとんど話した事無いから、良く知らない」って言っていたけど、あれ絶対森を追ってこの高校に来てるよな。多分女子バスやめてマネになったのも、森目当て。
……しかし、あれだ。
今日、はっきりわかった。
奴に付き纏う、そこはかと無く漂う残念な雰囲気の正体に。
奴は『シスコン』だ……!
しかも、重症の。
高校生になって、おっそろし~い監督やコーチ、イカツイ先輩や部員が大勢いる中で。
しかもアイツは気付いて無いか知らんが、女子がいーっぱい注目している中で。
「ねえちゃ~ん!」
って、嬉しそうに観覧席の姉貴に手を振るって、奴は―――どんだけ、残念なんだ…!!
そういえば会話の端々に「姉貴がさ……」って、かろうじて言い方変えてるけどちょくちょく話題に出すし、今思うと彼女の話題を出すときほんのり頬を染めていたかもしれない。
見た目があまりに懸け離れているので、義理の姉弟だって言うのも頷ける。
それならば本来の『シスコン』というのと、ちょっと意味合いが違ってしまうのは理解するけれども。
森のあの、甘い口調にぞわっと鳥肌が立つのは、俺だけか?
奴の口から姉貴の話題が出る度、なんだか砂を吐きそうな衝動に駆られるのは。
しかもそのねーちゃんが、お菊人……コホン。もとい、和風な見かけでちんまくて、なんかあまり表情が無く、しかも最上級生と聞いたがどちらかというと高1か下手したら中学生でも通りそうな見た目で―――あまりにも森と遠い存在に見える。
森本人はといえば、性格も陽気で見た目もキラキラ~としてて、洋風。
森とねーちゃんと並んだら……。
違和感あるなぁ~外国人が中学生の女の子に悪い事しようとしてるって、誤解されるかもしれない。
早上がりの今日、更衣室でいつになく慌てて着替える森に声を掛けたら、どうやらその『ねーちゃん』と待合わせらしい。
毎日一緒に暮らしている姉貴相手に、どんだけ余裕ないの……?
間違いなくヤツは『どシスコン』だと、確信した瞬間だった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
白い結婚は無理でした(涙)
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
わたくし、フィリシアは没落しかけの伯爵家の娘でございます。
明らかに邪な結婚話しかない中で、公爵令息の愛人から契約結婚の話を持ち掛けられました。
白い結婚が認められるまでの3年間、お世話になるのでよい妻であろうと頑張ります。
小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
現在、筆者は時間的かつ体力的にコメントなどの返信ができないため受け付けない設定にしています。
どうぞよろしくお願いいたします。
恋人、はじめました。
桜庭かなめ
恋愛
紙透明斗のクラスには、青山氷織という女子生徒がいる。才色兼備な氷織は男子中心にたくさん告白されているが、全て断っている。クールで笑顔を全然見せないことや銀髪であること。「氷織」という名前から『絶対零嬢』と呼ぶ人も。
明斗は半年ほど前に一目惚れしてから、氷織に恋心を抱き続けている。しかし、フラれるかもしれないと恐れ、告白できずにいた。
ある春の日の放課後。ゴミを散らしてしまう氷織を見つけ、明斗は彼女のことを助ける。その際、明斗は勇気を出して氷織に告白する。
「これまでの告白とは違い、胸がほんのり温かくなりました。好意からかは分かりませんが。断る気にはなれません」
「……それなら、俺とお試しで付き合ってみるのはどうだろう?」
明斗からのそんな提案を氷織が受け入れ、2人のお試しの恋人関係が始まった。
一緒にお昼ご飯を食べたり、放課後デートしたり、氷織が明斗のバイト先に来たり、お互いの家に行ったり。そんな日々を重ねるうちに、距離が縮み、氷織の表情も少しずつ豊かになっていく。告白、そして、お試しの恋人関係から始まる甘くて爽やかな学園青春ラブコメディ!
※特別編9が完結しました!(2026.3.6)
※小説家になろう(N6867GW)、カクヨムでも公開しています。
※お気に入り登録、感想などお待ちしています。
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
溺婚
明日葉
恋愛
香月絢佳、37歳、独身。晩婚化が進んでいるとはいえ、さすがにもう、無理かなぁ、と残念には思うが焦る気にもならず。まあ、恋愛体質じゃないし、と。
以前階段落ちから助けてくれたイケメンに、馴染みの店で再会するものの、この状況では向こうの印象がよろしいはずもないしと期待もしなかったのだが。
イケメン、天羽疾矢はどうやら絢佳に惹かれてしまったようで。
「歳も歳だし、とりあえず試してみたら?こわいの?」と、挑発されればつい、売り言葉に買い言葉。
何がどうしてこうなった?
平凡に生きたい、でもま、老後に1人は嫌だなぁ、くらいに構えた恋愛偏差値最底辺の絢佳と、こう見えて仕事人間のイケメン疾矢。振り回しているのは果たしてどっちで、振り回されてるのは、果たしてどっち?
訳あり冷徹社長はただの優男でした
あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた
いや、待て
育児放棄にも程があるでしょう
音信不通の姉
泣き出す子供
父親は誰だよ
怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳)
これはもう、人生詰んだと思った
**********
この作品は他のサイトにも掲載しています
さよなら、私の初恋の人
キムラましゅろう
恋愛
さよなら私のかわいい王子さま。
破天荒で常識外れで魔術バカの、私の優しくて愛しい王子さま。
出会いは10歳。
世話係に任命されたのも10歳。
それから5年間、リリシャは問題行動の多い末っ子王子ハロルドの世話を焼き続けてきた。
そんなリリシャにハロルドも信頼を寄せていて。
だけどいつまでも子供のままではいられない。
ハロルドの婚約者選定の話が上がり出し、リリシャは引き際を悟る。
いつもながらの完全ご都合主義。
作中「GGL」というBL要素のある本に触れる箇所があります。
直接的な描写はありませんが、地雷の方はご自衛をお願いいたします。
※関連作品『懐妊したポンコツ妻は夫から自立したい』
誤字脱字の宝庫です。温かい目でお読み頂けますと幸いです。
小説家になろうさんでも時差投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる