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新妻・卯月の仙台暮らし
15.風邪をひきました。
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久し振りの投稿再開します。
いつのまにか一月以上もブランクが…(@_@)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
息がアツい。珍しく風邪をひいてしまったからだ。
おばあちゃんが畑で育てた有機野菜をモリモリ食べて育ち、おじいちゃんに倣って早寝早起き生活を送って来た私は幼い頃から超健康優良児……!滅多に風邪などひかない子供だった。小中学校では皆勤賞、クラスにインフルエンザが流行した時もノロウィルスが流行した時もピンピンしていた。その後も会社勤めを始めた最初こそ多少体調を崩したものの、徐々にペースを掴んで病欠知らずの生活を取り戻した。以来まる一日伏せるほど具合が悪くなったことなんてない。
昨日の夜、寝る前に喉に微妙な違和感があった。今思うと風邪のひき始めだったんだろう。
てっきり買い物の帰り道、長町駅前にあるお店で激辛タンタンメンを食べたせいだと決めつけていた。辛過ぎて喉に余韻が残っているんだな、とばかり思っていた。一般的な四川担々麺じゃなくて、神奈川県川崎市のご当地フードらしい。ずっと気になっていたお店だった。買い物帰りにとうとう我慢できなくなって飛び込んだんだ。
辛いスープにツルツルの中華麺、その上に溶き卵とニンニクと挽肉がたっぷり乗っていて、一番人気のトッピングの納豆も追加した。「う、うまぁ……」と思わず口から洩れていた。大量の汗を掻きながらガツガツ食べてしまった。何となくタイミングが合わなくて、お昼抜きだったから余計にがっついちゃったのかもしれない。
それから歩いて家に帰り、荷物を片付けたりうータンのお世話したり……と忙しく働いていたら、いつの間にか汗が引いているのに気が付いた。
うん。あれが原因かも。……それともその後シャワーを浴びてから、髪をちゃんと乾かさなかったせいかな……?
翌朝の台所で朝御飯どうしよう……なんてボンヤリしていた。きっと熱のせいで頭があまり働いていなかったんだろう。朝起きたばかりでまだ寝巻替わりのルームウエアのまま、何だか体がだるいような気はしていたけれど、それが体調が悪いせいだとは思わなかった。
朝イチでシャワーを浴びて来た丈さんが、そんな風にぼんやりしている私に近付いて来た。鋭い視点を私の顔に向けて、無言でジッと見つめて来る。彼の大きな掌が不意に私の首元に滑り込んで来た時はドキリとした。
真剣な眼差しに心臓が跳ねる。塗れた前髪が額に下りていて、会社仕様とはまた違った魅力を放っていて……少し野性的って言うか、何だかいつもより若く見えるって言うか……。
(えっ、朝からナニを……?!)
なんてドキドキして背の高い彼を見上げていたら、丈さんは眉を寄せてこう呟いたのだった。
「やっぱり……熱がある」
「え?」
「熱いし……脈も早い。朝御飯はいいから、今日はもう寝てろ」
「ええ?!」
そう言えばドキドキと言うより、ドッドッ……と音が頭に響くくらい脈が速くなっていた。そうか、私は熱があるのか……と、言われて初めて気が付いた。あっ!だから喉に違和感があったのかも……?!
しかしせっかく丈さんの貴重な休み!一日ずっと寝てるなんてもったい無さすぎる……!新婚生活を満喫する予定だったのに……!
当の私が熱に気が付かなかったくらいだし、そんな大事にしなくても大丈夫じゃない?私は仕事しているワケじゃないんだから、丈さんが会社に行っている日に改めてゆっくり休めばいいんだし……今日ぐらい一緒に楽しみたい……!!きっと少々無理したって大丈夫なはず……!
「だっ……大丈夫だよ。ご飯くらい作れるし……」
「俺がやる」
「だって、丈さんお仕事で疲れてるし……」
「大丈夫だ」
「あ!そうだ牧草届いたって伊都さんから連絡あったんだった!じゃあ、ちょっとだけ寝て……具合良くなったら、午後出掛けようか!」
「駄目だ」
見上げる丈さんは目を細めて、キッパリと私に言い切った。
「風邪はひき始めが肝心なんだ。今日は一日、ゆっくり休め」
「うう……でも、今日せっかく丈さんのお休みなのに……」
「……」
縋るように丈さんのシャツを掴んだ。こんな風に駄々をこねてしまう時点で、その時の自分は普通の状態じゃないって、冷静になった後なら分かるんだけど。この時は頭がボウッとして理性が聞かない状態で、我儘を言い募ってしまった。
すると突然体がフワっと浮いた。
「ぅわっ……!」
「捕まってろ」
私は丈さんに軽々と抱き上げられていた。
「丈さんっ……!」
しかし恋愛小説定番のお姫様抱っこでは無く、縦抱っこ……と言うか、お子様みたいに腕に担ぎ挙げられてしまっている。私の背は女性としては一般的な高さだと思う。だから異様に天井が近い。
た、高いよ……!視界がっ……!
単純に怖くなって、反射的に首元にしがみ付いた。そのままガッシリと抱えられて、強制的に寝室へ連行されてしまう。途中梁に頭が掠りそうになってヒヤヒヤしたが、何とかぶつからずによけることが出来た。
寝室のベッドに優しく―――それこそ子供を扱うように降ろされて、薄い布団を掛けられる。
「後でおかゆでも持ってくるが……まず水でも飲むか?」
ここまで来て、漸く諦めが付いた。見上げる丈さんは、視線で人を射殺す暗殺者か……!と言うほどに厳しい表情だ。
ううう……この様子じゃやっぱりお出掛けなんて許して貰え無いだろうな。
「うん……出来れば葛根湯も飲みたい」
大人しく布団に収まって、頷くと―――ホッとしたように『ヒットマン』が表情を緩めた。
「分かった、待ってろ」
その笑顔を目にして、やっと理解した。
ヒットマンのような厳しい表情で、聞き分けの悪い私に怒っているのかと思っていた。怒っていたんじゃなくて―――丈さんは私を心配していたんだ。
ああ、顔がアツい。
この熱はもしかして、風邪のせいばかりじゃないかもしれない。
いつのまにか一月以上もブランクが…(@_@)
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息がアツい。珍しく風邪をひいてしまったからだ。
おばあちゃんが畑で育てた有機野菜をモリモリ食べて育ち、おじいちゃんに倣って早寝早起き生活を送って来た私は幼い頃から超健康優良児……!滅多に風邪などひかない子供だった。小中学校では皆勤賞、クラスにインフルエンザが流行した時もノロウィルスが流行した時もピンピンしていた。その後も会社勤めを始めた最初こそ多少体調を崩したものの、徐々にペースを掴んで病欠知らずの生活を取り戻した。以来まる一日伏せるほど具合が悪くなったことなんてない。
昨日の夜、寝る前に喉に微妙な違和感があった。今思うと風邪のひき始めだったんだろう。
てっきり買い物の帰り道、長町駅前にあるお店で激辛タンタンメンを食べたせいだと決めつけていた。辛過ぎて喉に余韻が残っているんだな、とばかり思っていた。一般的な四川担々麺じゃなくて、神奈川県川崎市のご当地フードらしい。ずっと気になっていたお店だった。買い物帰りにとうとう我慢できなくなって飛び込んだんだ。
辛いスープにツルツルの中華麺、その上に溶き卵とニンニクと挽肉がたっぷり乗っていて、一番人気のトッピングの納豆も追加した。「う、うまぁ……」と思わず口から洩れていた。大量の汗を掻きながらガツガツ食べてしまった。何となくタイミングが合わなくて、お昼抜きだったから余計にがっついちゃったのかもしれない。
それから歩いて家に帰り、荷物を片付けたりうータンのお世話したり……と忙しく働いていたら、いつの間にか汗が引いているのに気が付いた。
うん。あれが原因かも。……それともその後シャワーを浴びてから、髪をちゃんと乾かさなかったせいかな……?
翌朝の台所で朝御飯どうしよう……なんてボンヤリしていた。きっと熱のせいで頭があまり働いていなかったんだろう。朝起きたばかりでまだ寝巻替わりのルームウエアのまま、何だか体がだるいような気はしていたけれど、それが体調が悪いせいだとは思わなかった。
朝イチでシャワーを浴びて来た丈さんが、そんな風にぼんやりしている私に近付いて来た。鋭い視点を私の顔に向けて、無言でジッと見つめて来る。彼の大きな掌が不意に私の首元に滑り込んで来た時はドキリとした。
真剣な眼差しに心臓が跳ねる。塗れた前髪が額に下りていて、会社仕様とはまた違った魅力を放っていて……少し野性的って言うか、何だかいつもより若く見えるって言うか……。
(えっ、朝からナニを……?!)
なんてドキドキして背の高い彼を見上げていたら、丈さんは眉を寄せてこう呟いたのだった。
「やっぱり……熱がある」
「え?」
「熱いし……脈も早い。朝御飯はいいから、今日はもう寝てろ」
「ええ?!」
そう言えばドキドキと言うより、ドッドッ……と音が頭に響くくらい脈が速くなっていた。そうか、私は熱があるのか……と、言われて初めて気が付いた。あっ!だから喉に違和感があったのかも……?!
しかしせっかく丈さんの貴重な休み!一日ずっと寝てるなんてもったい無さすぎる……!新婚生活を満喫する予定だったのに……!
当の私が熱に気が付かなかったくらいだし、そんな大事にしなくても大丈夫じゃない?私は仕事しているワケじゃないんだから、丈さんが会社に行っている日に改めてゆっくり休めばいいんだし……今日ぐらい一緒に楽しみたい……!!きっと少々無理したって大丈夫なはず……!
「だっ……大丈夫だよ。ご飯くらい作れるし……」
「俺がやる」
「だって、丈さんお仕事で疲れてるし……」
「大丈夫だ」
「あ!そうだ牧草届いたって伊都さんから連絡あったんだった!じゃあ、ちょっとだけ寝て……具合良くなったら、午後出掛けようか!」
「駄目だ」
見上げる丈さんは目を細めて、キッパリと私に言い切った。
「風邪はひき始めが肝心なんだ。今日は一日、ゆっくり休め」
「うう……でも、今日せっかく丈さんのお休みなのに……」
「……」
縋るように丈さんのシャツを掴んだ。こんな風に駄々をこねてしまう時点で、その時の自分は普通の状態じゃないって、冷静になった後なら分かるんだけど。この時は頭がボウッとして理性が聞かない状態で、我儘を言い募ってしまった。
すると突然体がフワっと浮いた。
「ぅわっ……!」
「捕まってろ」
私は丈さんに軽々と抱き上げられていた。
「丈さんっ……!」
しかし恋愛小説定番のお姫様抱っこでは無く、縦抱っこ……と言うか、お子様みたいに腕に担ぎ挙げられてしまっている。私の背は女性としては一般的な高さだと思う。だから異様に天井が近い。
た、高いよ……!視界がっ……!
単純に怖くなって、反射的に首元にしがみ付いた。そのままガッシリと抱えられて、強制的に寝室へ連行されてしまう。途中梁に頭が掠りそうになってヒヤヒヤしたが、何とかぶつからずによけることが出来た。
寝室のベッドに優しく―――それこそ子供を扱うように降ろされて、薄い布団を掛けられる。
「後でおかゆでも持ってくるが……まず水でも飲むか?」
ここまで来て、漸く諦めが付いた。見上げる丈さんは、視線で人を射殺す暗殺者か……!と言うほどに厳しい表情だ。
ううう……この様子じゃやっぱりお出掛けなんて許して貰え無いだろうな。
「うん……出来れば葛根湯も飲みたい」
大人しく布団に収まって、頷くと―――ホッとしたように『ヒットマン』が表情を緩めた。
「分かった、待ってろ」
その笑顔を目にして、やっと理解した。
ヒットマンのような厳しい表情で、聞き分けの悪い私に怒っているのかと思っていた。怒っていたんじゃなくて―――丈さんは私を心配していたんだ。
ああ、顔がアツい。
この熱はもしかして、風邪のせいばかりじゃないかもしれない。
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