73 / 375
捕獲されまして。<大谷視点>
49.泊めました。
しおりを挟む
朝です。
眩しさで目が覚めた。いつもと違う位置に寝ていたからか、カーテンの隙間から入る光が私の瞼を直撃していたのだ。
ふふふ……ふふふふ……
忍び笑いをする私。隣にはスヤスヤ眠っているイケメン。
ふふふ……ふふふふ……
何にも。なーんにもありませんでした……。
心の中でわちゃわちゃ騒ぎまくり言い訳を募らせ、亀田課長の前で挙動不審になりまくった昨晩。課長は先に眠ったりなんかしていなかった。ケージの中のうータンと何かお話していましたね、私がお風呂から出た時は。それから「電気……消しますね」なんて私がちょっと強張った声で言って。布団に潜り込んでドキドキ高鳴る胸に『しずまれ~しずまれ~』なんて言いながら、微動だにせず固まっていた。で、ですね。全くお隣から音沙汰がないわけですよ……で、とうとう痺れを切らせた私はソロリと亀田課長の方を窺った。暗闇に慣れた目で見ると、こちらに背を向けているんですよ。あれ?って思ってね。意を決してムクリと起き上がり、近づいて覗き込むと……寝てたんですよ。スーヤスヤと……。
え、寝てんの?
それなら、さっき私がお風呂から出て来る前に寝てれば……ねえ?良かったのにねえ。
気を持たせるだけ持たせやがって……っ!いやいやいや、違う。きっと課長は気を使って、先に寝るのはダメだって思って待っててくれたんですよ。ちゃんと「おやすみ」って挨拶しないとね、泊めて貰ったからには。
アハハハ……。
本当になーんにもありませんでした。案の定ですよ、そうですよね。据え膳だからって、あの真面目な亀田課長がうっかり手を出す筈、ある訳ないじゃないですか。部下だしねぇ、派遣だしねぇ?!つーか、あれだ。単に好みじゃないってだけかも。
そうだよねー。何か小耳に挟んだ限りでは、課長の元の彼女って美人さんばっかりだったって言ってたような……私みたいなねぇ、地味な女に食指なんか動かないよねぇ?!
「ハーァ……」
布団の上に体を起こし溜息を吐く。つい音量が大きくなってしまったかもしれない。隣に寝ていた亀田課長の体がモゾモゾと動き出した。それから目をゴシゴシと擦って……パチパチと瞬きをする。それからクルリと私の方に顔を向けてボンヤリした顔で呟いた。
「おはよう」
「お、おはようございます……」
うっ……かわいい。
ああ、駄目だ。すっかり私、自分で掘った落とし穴に嵌りこんでしまったらしい―――それも、ずっぽりと。すっごく課長の寝起き姿が可愛く見えてしまう。ボサボサに絡まった短い髪も、うっすらと生えた無精髭も。油断しまくっている姿に胸がキュンキュンしてしまう……っ!
だ、だめだ……っ!もう耐えられないっ!
「か、課長!」
「ん……?」
課長が布団から体を起こして、改めてこちらを向いた。まだボンヤリとした様子でゆっくりと瞬きを繰り返し、頭を掻いている。それからうーんと伸びをして、くわあっと欠伸をした。
うっ……破壊力あり過ぎだよっ……!!
亀田課長、こんな無防備でよく無事に生き残ってこれたなっ……!
今までの彼女達は何て勿体無い事を。何でこんな可愛い人と別れたんだろう?……って、恋愛フィルター掛かりまくりなのかな?私トチ狂ってる?今何か熱病みたいなモノに脳が侵されているだけ???
じゃあ、ひょっとして少し冷静になったら―――この熱は冷めてしまうのかな?
嫌だ……!一瞬の熱でも良いから、この情熱を通り過ぎるままに逃したく無い。
昨日何も無かったって事で、もう失恋確定なのは分かっている。
もしかして今までのように仲の良い『うさトモ』でいられないかもしれないって事も……。
でも、これは私にとって、本当に本気の初めての恋なんだ。
一過性でも良い。この瞬間、胸に込み上げている熱いモノを、今口に出さなければ―――きっと私は一生後悔するだろう。
「課長!」
「……うん」
私は掛け布団をガバッと押し退け、その場に正座し課長に向き直った。
課長も眠たげながらも、私に付き合って掛け布団を避けてこちらに胡坐で向き直る。
『好きです!付き合って下さい……!』
そう言おうとしていたのに。
「抱いて下さい……!」
ああっ!口が滑ったぁ―――!!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次話、『捕獲されまして』最終話です。(本日11時更新予定)
眩しさで目が覚めた。いつもと違う位置に寝ていたからか、カーテンの隙間から入る光が私の瞼を直撃していたのだ。
ふふふ……ふふふふ……
忍び笑いをする私。隣にはスヤスヤ眠っているイケメン。
ふふふ……ふふふふ……
何にも。なーんにもありませんでした……。
心の中でわちゃわちゃ騒ぎまくり言い訳を募らせ、亀田課長の前で挙動不審になりまくった昨晩。課長は先に眠ったりなんかしていなかった。ケージの中のうータンと何かお話していましたね、私がお風呂から出た時は。それから「電気……消しますね」なんて私がちょっと強張った声で言って。布団に潜り込んでドキドキ高鳴る胸に『しずまれ~しずまれ~』なんて言いながら、微動だにせず固まっていた。で、ですね。全くお隣から音沙汰がないわけですよ……で、とうとう痺れを切らせた私はソロリと亀田課長の方を窺った。暗闇に慣れた目で見ると、こちらに背を向けているんですよ。あれ?って思ってね。意を決してムクリと起き上がり、近づいて覗き込むと……寝てたんですよ。スーヤスヤと……。
え、寝てんの?
それなら、さっき私がお風呂から出て来る前に寝てれば……ねえ?良かったのにねえ。
気を持たせるだけ持たせやがって……っ!いやいやいや、違う。きっと課長は気を使って、先に寝るのはダメだって思って待っててくれたんですよ。ちゃんと「おやすみ」って挨拶しないとね、泊めて貰ったからには。
アハハハ……。
本当になーんにもありませんでした。案の定ですよ、そうですよね。据え膳だからって、あの真面目な亀田課長がうっかり手を出す筈、ある訳ないじゃないですか。部下だしねぇ、派遣だしねぇ?!つーか、あれだ。単に好みじゃないってだけかも。
そうだよねー。何か小耳に挟んだ限りでは、課長の元の彼女って美人さんばっかりだったって言ってたような……私みたいなねぇ、地味な女に食指なんか動かないよねぇ?!
「ハーァ……」
布団の上に体を起こし溜息を吐く。つい音量が大きくなってしまったかもしれない。隣に寝ていた亀田課長の体がモゾモゾと動き出した。それから目をゴシゴシと擦って……パチパチと瞬きをする。それからクルリと私の方に顔を向けてボンヤリした顔で呟いた。
「おはよう」
「お、おはようございます……」
うっ……かわいい。
ああ、駄目だ。すっかり私、自分で掘った落とし穴に嵌りこんでしまったらしい―――それも、ずっぽりと。すっごく課長の寝起き姿が可愛く見えてしまう。ボサボサに絡まった短い髪も、うっすらと生えた無精髭も。油断しまくっている姿に胸がキュンキュンしてしまう……っ!
だ、だめだ……っ!もう耐えられないっ!
「か、課長!」
「ん……?」
課長が布団から体を起こして、改めてこちらを向いた。まだボンヤリとした様子でゆっくりと瞬きを繰り返し、頭を掻いている。それからうーんと伸びをして、くわあっと欠伸をした。
うっ……破壊力あり過ぎだよっ……!!
亀田課長、こんな無防備でよく無事に生き残ってこれたなっ……!
今までの彼女達は何て勿体無い事を。何でこんな可愛い人と別れたんだろう?……って、恋愛フィルター掛かりまくりなのかな?私トチ狂ってる?今何か熱病みたいなモノに脳が侵されているだけ???
じゃあ、ひょっとして少し冷静になったら―――この熱は冷めてしまうのかな?
嫌だ……!一瞬の熱でも良いから、この情熱を通り過ぎるままに逃したく無い。
昨日何も無かったって事で、もう失恋確定なのは分かっている。
もしかして今までのように仲の良い『うさトモ』でいられないかもしれないって事も……。
でも、これは私にとって、本当に本気の初めての恋なんだ。
一過性でも良い。この瞬間、胸に込み上げている熱いモノを、今口に出さなければ―――きっと私は一生後悔するだろう。
「課長!」
「……うん」
私は掛け布団をガバッと押し退け、その場に正座し課長に向き直った。
課長も眠たげながらも、私に付き合って掛け布団を避けてこちらに胡坐で向き直る。
『好きです!付き合って下さい……!』
そう言おうとしていたのに。
「抱いて下さい……!」
ああっ!口が滑ったぁ―――!!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
次話、『捕獲されまして』最終話です。(本日11時更新予定)
0
あなたにおすすめの小説
彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中
桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。
やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。
「助けなんていらないわよ?」
は?
しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。
「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。
彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
先輩に退部を命じられた僕を励ましてくれたアイドル級美少女の後輩マネージャーを成り行きで家に上げたら、なぜかその後も入り浸るようになった件
桜 偉村
恋愛
みんなと同じようにプレーできなくてもいいんじゃないですか? 先輩には、先輩だけの武器があるんですから——。
後輩マネージャーのその言葉が、彼の人生を変えた。
全国常連の高校サッカー部の三軍に所属していた如月 巧(きさらぎ たくみ)は、自分の能力に限界を感じていた。
練習試合でも敗因となってしまった巧は、三軍キャプテンの武岡(たけおか)に退部を命じられて絶望する。
武岡にとって、巧はチームのお荷物であると同時に、アイドル級美少女マネージャーの白雪 香奈(しらゆき かな)と親しくしている目障りな存在だった。
そのため、自信をなくしている巧を追い込んで退部させ、香奈と距離を置かせようとしたのだ。
そうすれば、香奈は自分のモノになると錯覚していたから。
武岡の思惑通り、巧はサッカー部を辞めようとしていた。そこに現れたのが、香奈だった。
香奈に励まされてサッカーを続ける決意をした巧は、彼女のアドバイスのおかげもあり、だんだんとその才能を開花させていく。
一方、巧が成り行きで香奈を家に招いたのをきっかけに、二人の距離も縮み始める。
しかし、退部するどころか活躍し出した巧にフラストレーションを溜めていた武岡が、それを静観するはずもなく——。
「これは警告だよ」
「勘違いしないんでしょ?」
「僕がサッカーを続けられたのは、君のおかげだから」
「仲が良いだけの先輩に、あんなことまですると思ってたんですか?」
先輩×後輩のじれったくも甘い関係が好きな方、スカッとする展開が好きな方は、ぜひこの物語をお楽しみください!
※基本は一途ですが、メインヒロイン以外との絡みも多少あります。
※本作品は小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
王弟が愛した娘 —音に響く運命—
Aster22
恋愛
弟を探す旅の途中、身分を隠して村で薬師として生きていたセラは、
ハープの音に宿る才を、名も知らぬ貴族の青年――王弟レオに見初められる。
互いの立場を知らぬまま距離を縮めていく二人。
だが、ある事件をきっかけに、セラは彼の屋敷で侍女として働くことになり、
知らず知らずのうちに国を巻き込む陰謀へと引き寄せられていく。
人の生まれは変えられない。
それでも、何を望み、何を選ぶのかは、自分で決められる。
セラが守ろうとするものは、弟か、才か、それとも――
キャラ設定・世界観などはこちら
↓
https://kakuyomu.jp/my/news/822139840619212578
悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?
いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー
これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。
「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」
「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」
冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。
あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。
ショックで熱をだし寝込むこと1週間。
目覚めると夫がなぜか豹変していて…!?
「君から話し掛けてくれないのか?」
「もう君が隣にいないのは考えられない」
無口不器用夫×優しい鈍感妻
すれ違いから始まる両片思いストーリー
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました【完結】
iru
恋愛
第19回 恋愛小説大賞エントリーしています。ぜひ1票お願いします。
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる