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捕まりました。<亀田視点>
5.お邪魔しました。
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「やっぱうさぎの毛繕いは最高ですね~。ずうっと見ていたくなっちゃう!」
「それは同感だな」
うータンがふさふさの前足で顔を洗っている様子を二人で眺めていた。何時間でも眺めていたいような愛らしい光景だ。そして、こうして大谷の家で大谷とうータンを愛でたり、それをネタにとりとめのない会話を交わしていると、いつの間にか俺の胸には『帰りたくない』と言う思いが湧き上がってしまう。
しかし断腸の思いで一瞬目を瞑り、それから俺は腕時計に目を落とした。
ああ……やはりもうこんな時間か。
楽しい時間が過ぎるのは早い。
しかし本来であれば、大谷をアパートに送り届けた時点でおさらばする予定だったんだ。家に上げて貰えた事を『幸運』と思い、感謝しなければならないよな。
アパートの前に辿り着いた時「うータンに会って行きますか?」と、気を使って大谷が提案してくれた。大谷には世話になりっぱなしだし、夕方とは言えもうとっぷりと辺りは昏い。本来なら『今日は有難う、楽しかった』と告げてスマートに帰るのが正しい選択な筈だ。筈なのだが……俺の口は、簡単に了承の言葉を発してしまっていた。
「……もう遅いな。名残惜しいがそろそろ出た方が良いな」
隣の大谷を見ると、不思議そうな表情でパチパチと瞬きを繰り返している。
そう言えば、いつもは大谷が何か言い出すギリギリまで居座ってうータンと戯れていたな……と思い出す。これでは鬱陶しいと思われても仕方無いだろう。普段大谷に偉そうな事ばかり言っている癖に、言っている本人がこれじゃあ、な。
フと可笑しさが込み上げて来て、思わず口元が緩む。
今日は本当に楽しかった。あんまり楽しくて―――往生際悪く大谷の家に居座ってうータンと戯れ、楽しくうさぎネタで盛り上がってしまった。おそらく俺を心配してくれたと思われる大谷のお膳立てにまんまと乗っかって―――今日は心の底からリフレッシュする事が出来たのだ。本当に……大谷のその気持ちは有難く感じている。そんな純粋に心配してくれる部下に対して、邪な思いをつい抱いてしまう馬鹿なおっさんだが、せめて最後はキチンと礼を尽くして去る事にしよう。
「大谷、今日は有難うな。俺が気落ちしているから、元気づけようとしてくれたんだろ?」
「あ、えっと」
真意をズバリと言いあてられて、戸惑う大谷が可愛くて仕方がない。
バレバレなのにな。あーこれで、好きになるなって方が無理だろ。
しかしまさか上司のおっさんにちょっと親切に振る舞ったぐらいで、そんな目で見られているなんて思ってもいないんだろうな。元々大谷はいやいや対応していたんだ。流されてくれるのを良い事に、俺はそこに付け込んでいた訳で……これは三好に責められても仕方ないな。
三好に企画課でのセクハラの話を聞いた時は、新しい担当課長である俺を睨みつけるほど年下の部下に執拗に執着する比留間課長の気持ちが全く理解できなかったが―――分かりたく無いのに分かってしまった。俺も大谷の家に違う男が来てうさぎを愛でている、なんて知った日には二人に男女関係が無くたって嫉妬でソイツを睨みつけるくらいはしてしまうかもしれない。
あ、でも俺は比留間課長と違って既婚者では無いし、付き合っている彼女もいないからな。健全と言えば健全か……ま、相手にされていなければ、こんな事言ってみても虚しいだけだけど。
だけどちょっとくらい、近しい『仲の良い』存在として大谷が俺を認識してくれているのなら。こんな風に少しだけ触れても―――構わないのではないだろうか。
俺は大谷の頭に手を伸ばし、ポンポンと力を入れずに撫でてみた。
これくらいの接触は許してくれ。
じゃないと、体の中に渦巻いている行き場のない想いが―――破裂してしまいそうな気がしたから。
「それは同感だな」
うータンがふさふさの前足で顔を洗っている様子を二人で眺めていた。何時間でも眺めていたいような愛らしい光景だ。そして、こうして大谷の家で大谷とうータンを愛でたり、それをネタにとりとめのない会話を交わしていると、いつの間にか俺の胸には『帰りたくない』と言う思いが湧き上がってしまう。
しかし断腸の思いで一瞬目を瞑り、それから俺は腕時計に目を落とした。
ああ……やはりもうこんな時間か。
楽しい時間が過ぎるのは早い。
しかし本来であれば、大谷をアパートに送り届けた時点でおさらばする予定だったんだ。家に上げて貰えた事を『幸運』と思い、感謝しなければならないよな。
アパートの前に辿り着いた時「うータンに会って行きますか?」と、気を使って大谷が提案してくれた。大谷には世話になりっぱなしだし、夕方とは言えもうとっぷりと辺りは昏い。本来なら『今日は有難う、楽しかった』と告げてスマートに帰るのが正しい選択な筈だ。筈なのだが……俺の口は、簡単に了承の言葉を発してしまっていた。
「……もう遅いな。名残惜しいがそろそろ出た方が良いな」
隣の大谷を見ると、不思議そうな表情でパチパチと瞬きを繰り返している。
そう言えば、いつもは大谷が何か言い出すギリギリまで居座ってうータンと戯れていたな……と思い出す。これでは鬱陶しいと思われても仕方無いだろう。普段大谷に偉そうな事ばかり言っている癖に、言っている本人がこれじゃあ、な。
フと可笑しさが込み上げて来て、思わず口元が緩む。
今日は本当に楽しかった。あんまり楽しくて―――往生際悪く大谷の家に居座ってうータンと戯れ、楽しくうさぎネタで盛り上がってしまった。おそらく俺を心配してくれたと思われる大谷のお膳立てにまんまと乗っかって―――今日は心の底からリフレッシュする事が出来たのだ。本当に……大谷のその気持ちは有難く感じている。そんな純粋に心配してくれる部下に対して、邪な思いをつい抱いてしまう馬鹿なおっさんだが、せめて最後はキチンと礼を尽くして去る事にしよう。
「大谷、今日は有難うな。俺が気落ちしているから、元気づけようとしてくれたんだろ?」
「あ、えっと」
真意をズバリと言いあてられて、戸惑う大谷が可愛くて仕方がない。
バレバレなのにな。あーこれで、好きになるなって方が無理だろ。
しかしまさか上司のおっさんにちょっと親切に振る舞ったぐらいで、そんな目で見られているなんて思ってもいないんだろうな。元々大谷はいやいや対応していたんだ。流されてくれるのを良い事に、俺はそこに付け込んでいた訳で……これは三好に責められても仕方ないな。
三好に企画課でのセクハラの話を聞いた時は、新しい担当課長である俺を睨みつけるほど年下の部下に執拗に執着する比留間課長の気持ちが全く理解できなかったが―――分かりたく無いのに分かってしまった。俺も大谷の家に違う男が来てうさぎを愛でている、なんて知った日には二人に男女関係が無くたって嫉妬でソイツを睨みつけるくらいはしてしまうかもしれない。
あ、でも俺は比留間課長と違って既婚者では無いし、付き合っている彼女もいないからな。健全と言えば健全か……ま、相手にされていなければ、こんな事言ってみても虚しいだけだけど。
だけどちょっとくらい、近しい『仲の良い』存在として大谷が俺を認識してくれているのなら。こんな風に少しだけ触れても―――構わないのではないだろうか。
俺は大谷の頭に手を伸ばし、ポンポンと力を入れずに撫でてみた。
これくらいの接触は許してくれ。
じゃないと、体の中に渦巻いている行き場のない想いが―――破裂してしまいそうな気がしたから。
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