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捕まった後のお話
3.お邪魔します。 <大谷>
しおりを挟む亀田課長から『うさぎツアー』のお返しに何処か連れて行って欲しい所は無いか、と聞かれ私は即答した。
「課長のおウチに行きたいです」
「そう言えば、来た事無かったな」
いつも課長はうータンに会いに私の部屋を訪ねてくれた。だけど私は課長のおウチが何処にあるかさえ知らなかった。
「……面白いモンは何も無いぞ」
と言いつつも、課長は二つ返事で頷いてくれた。
課長のおウチは会社にものすごく近かった。
「もしかして歩いて通っているんですか?」
「十分もかからないからな」
会社に入社した後直ぐにおばあちゃんが亡くなって、相続した古い一軒家を処分して会社の傍の中古マンションを購入したそうだ。何でも大層古い家で一人で管理するのは難しかったらしい。クッキーみたいなタイル張りの落ち着いた感じのマンションを、課長は古いだけだぞ、と言うけれど私のアパートなんかより随分立派で思わず溜息が出た。
「すごい」
「そうか?まあ、たまたまペット可マンションだったのは良かったな。今度うータンと一緒に遊びにくれば良い」
「なんと、うータンに別荘が……!」
私が冗談でそう言うと課長は楽しそうに笑った。ウケてくれてちょっと嬉しい。
2DKのお部屋はバルコニー付き。中は予想通りスッキリと片付いていた。
「わぁ、バルコニーだ!結構広いですね」
「向かいのマンションしか見えないぞ」
割と狭めの路地に面してるから九階とは言え確かに眺めが良いわけじゃない。だけど向かいのマンションの階段室が見えるくらいで、他人の視線を気にしなくても大丈夫そうだ。
「うーん、ここにうータンを放ちたいです」
「バルコニーにか?」
「囲いがあれば運動できそう」
「以前住んでた一軒家なら小さい庭があったんだがな。どうせならうータンに土を掘らせてやりたいが」
確かに偶に敷材をカリカリ掘っているうータンを見ると、思うまま本能のまま掘らせてあげたいと私も思う。
「でも、トンネル掘って逃げちゃうかもしれません」
おじいちゃんの家のうさぎ小屋も、上を見る限りは分からないがあれでなかなかどうしてちゃんとした脱走防止用の深いコンクリートの基礎を打ってあるのだ。
「……それは困るな」
「今度連れて来た時バルコニーに仮の囲い作っても良いですか?家から材料持ってきます」
「ああ、それなら俺が用意しておこう」
「え?それは申し訳ないから良いですよ」
「……うータンにも気兼ねなく遊びに来て欲しいからな。」
ちょっと照れくさそうに言う亀田課長と、思わず顔を見合わせて笑ってしまった。
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