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捕まった後のお話
2.落ち着きません。 <亀田>
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『捕まった後のお話』は視点を幾つか変えてお届けします。
今話は亀田視点となります。短めです。
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席に戻って行く大谷の背中を見て、俺はもう一度溜息を吐いた。
大谷……彼女が何を考えていたのかまでは分からなかったが……あの上機嫌な笑みを見て思わずグラッと来てしまい、俺は何度も気を引き締め直さなければならなかった。
俺にしか分からないかもしれないが、明らかに今までと大谷の態度が違う。いつも職場で指示を出す時の大谷は、眉を寄せて緊張した面持ちで真剣に頷いていた。それなのに今はすっかりほにゃりと柔らかな雰囲気を醸し出していて……正直厳しい事を言うのを躊躇ってしまう俺がいる。
俺は―――おかしい。
仕事は仕事。プライベートはプライベート。
そうやって分けるのが当たり前だと思っていた。若い頃、課内の派遣の子と付き合う事になった同僚が職場でイチャイチャしているのを目にした時は『ここは仕事場だぞ?遊んでないで仕事しろ!』と腹立たしくなり舌打ちしてしまったものだが―――今、俺は少しでも気を緩めると奴と同じ態度を取ってしまいそうな危うい状態だ。
思わず溜息が漏れてしまう。
いかん、いかん。集中集中!
俺は首を振って雑念を振り払い、取りあえず目の前の課題に取り掛かるべくPCに目を戻したのだった。
今話は亀田視点となります。短めです。
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席に戻って行く大谷の背中を見て、俺はもう一度溜息を吐いた。
大谷……彼女が何を考えていたのかまでは分からなかったが……あの上機嫌な笑みを見て思わずグラッと来てしまい、俺は何度も気を引き締め直さなければならなかった。
俺にしか分からないかもしれないが、明らかに今までと大谷の態度が違う。いつも職場で指示を出す時の大谷は、眉を寄せて緊張した面持ちで真剣に頷いていた。それなのに今はすっかりほにゃりと柔らかな雰囲気を醸し出していて……正直厳しい事を言うのを躊躇ってしまう俺がいる。
俺は―――おかしい。
仕事は仕事。プライベートはプライベート。
そうやって分けるのが当たり前だと思っていた。若い頃、課内の派遣の子と付き合う事になった同僚が職場でイチャイチャしているのを目にした時は『ここは仕事場だぞ?遊んでないで仕事しろ!』と腹立たしくなり舌打ちしてしまったものだが―――今、俺は少しでも気を緩めると奴と同じ態度を取ってしまいそうな危うい状態だ。
思わず溜息が漏れてしまう。
いかん、いかん。集中集中!
俺は首を振って雑念を振り払い、取りあえず目の前の課題に取り掛かるべくPCに目を戻したのだった。
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