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捕まった後のお話
1.彼氏が出来ました。 <大谷>
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亀田と大谷が付き合う事になった、その後のお話です。
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初めて『彼氏』が出来ました!
そう『彼氏(仮)』でも『彼氏(?)』でもなく、正真正銘の!本物の!ちゃんと「付き合ってくれ」と正面切ってド直球で告白され「お願いします」と返事をした誤解でも勘違いでも無い彼氏です……!
ふ……ふふふ……あ、涎が。いかんいかん。
タイピングの速度も上がる上がる。相変わらず職場では厳しい態度を崩さない亀田課長だけれども、ボサボサ頭で寝惚けている可愛い所を知っているからどんなに低い声を出されたって、全く気にならなーい!現に今も赤ペン指導中なんですが……赤いボールペンを持つ大きな手を見ていると、この手が私の頬を包んでそれから……なーんて、思い出してしまってニヤニヤが止まらない。
「聞いているのか?」
「え」
「大谷、今俺は何と言った?」
「え、ええと……」
ハーっと溜息を吐かれて気が付く。
あれあれ?あ……私全然聞いて無かった……?!
「す、すいません……!」
「……いいか、もう一回言うからよく聞けよ」
「は、はいっ……お願いします!」
うわーん!駄目だっ!色ボケだぁあ!
浮かれすぎててフワフワしちゃってるっ……!
職場でビシッとカッコ良くスーツを着こなし、銀縁眼鏡の下の怜悧な視線を光らせている亀田課長に、いつの間にか見惚れてしまっていた。あぁ、私の『彼氏』カッコいいなぁ……なんて。
クスン。呆れられちゃったかなぁ……。
亀田課長、職場では全然変わらないんだもん。
私だけなのかなぁ、こんな風に浮かれているのって。
……そうだよね、亀田課長にとっては私が初めての彼女じゃない。
もう三十八歳だしね、そりゃそうだよね。かつて付き合った相手が何人くらいいたのか、これまで皆の話を聞き流していたから正確には知らないんだけど……一人とか二人では無い筈。
余裕だよなぁ。
私みたいに浮かれ捲って、無意識に見惚れちゃうなんて―――ないんだろうなぁ。
「……」
うー……よしっっ!!
亀田課長にもっと好きになって貰えるよう、少なくとも呆れられて振られないよう、もっとお仕事頑張ろう……!
私は握りこぶしをギュッと握り込んだ。
「……だ。ここも、一段ズレてるから直してくれ。直ったら左端一か所止めで七部」
「あ、はい。直した後一度チェックしますか?」
「いい、大谷に任せる」
『大谷に任せる』……『任せる』……『任せる』……
亀田課長の低い声が私の耳に木霊した。
「お任せくださいっ……七部ですね!」
私はビシッと姿勢を正し、いつになく声に力を込めて返事をした。私の眼力と勢いに気圧されたように、亀田課長は目を見開き一拍遅れて口を開いた。
「おお……頼むぞ」
「はいっ!」
私はニッコリ笑って。それからクルリと背を向け張り切って自分の席に戻ったのだった。
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初めて『彼氏』が出来ました!
そう『彼氏(仮)』でも『彼氏(?)』でもなく、正真正銘の!本物の!ちゃんと「付き合ってくれ」と正面切ってド直球で告白され「お願いします」と返事をした誤解でも勘違いでも無い彼氏です……!
ふ……ふふふ……あ、涎が。いかんいかん。
タイピングの速度も上がる上がる。相変わらず職場では厳しい態度を崩さない亀田課長だけれども、ボサボサ頭で寝惚けている可愛い所を知っているからどんなに低い声を出されたって、全く気にならなーい!現に今も赤ペン指導中なんですが……赤いボールペンを持つ大きな手を見ていると、この手が私の頬を包んでそれから……なーんて、思い出してしまってニヤニヤが止まらない。
「聞いているのか?」
「え」
「大谷、今俺は何と言った?」
「え、ええと……」
ハーっと溜息を吐かれて気が付く。
あれあれ?あ……私全然聞いて無かった……?!
「す、すいません……!」
「……いいか、もう一回言うからよく聞けよ」
「は、はいっ……お願いします!」
うわーん!駄目だっ!色ボケだぁあ!
浮かれすぎててフワフワしちゃってるっ……!
職場でビシッとカッコ良くスーツを着こなし、銀縁眼鏡の下の怜悧な視線を光らせている亀田課長に、いつの間にか見惚れてしまっていた。あぁ、私の『彼氏』カッコいいなぁ……なんて。
クスン。呆れられちゃったかなぁ……。
亀田課長、職場では全然変わらないんだもん。
私だけなのかなぁ、こんな風に浮かれているのって。
……そうだよね、亀田課長にとっては私が初めての彼女じゃない。
もう三十八歳だしね、そりゃそうだよね。かつて付き合った相手が何人くらいいたのか、これまで皆の話を聞き流していたから正確には知らないんだけど……一人とか二人では無い筈。
余裕だよなぁ。
私みたいに浮かれ捲って、無意識に見惚れちゃうなんて―――ないんだろうなぁ。
「……」
うー……よしっっ!!
亀田課長にもっと好きになって貰えるよう、少なくとも呆れられて振られないよう、もっとお仕事頑張ろう……!
私は握りこぶしをギュッと握り込んだ。
「……だ。ここも、一段ズレてるから直してくれ。直ったら左端一か所止めで七部」
「あ、はい。直した後一度チェックしますか?」
「いい、大谷に任せる」
『大谷に任せる』……『任せる』……『任せる』……
亀田課長の低い声が私の耳に木霊した。
「お任せくださいっ……七部ですね!」
私はビシッと姿勢を正し、いつになく声に力を込めて返事をした。私の眼力と勢いに気圧されたように、亀田課長は目を見開き一拍遅れて口を開いた。
「おお……頼むぞ」
「はいっ!」
私はニッコリ笑って。それからクルリと背を向け張り切って自分の席に戻ったのだった。
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