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捕まった後のお話
48.捕獲しました。 <亀田>【最終話】
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「大谷」
俺は彼女に向き直り両手を取った。言葉だけでは足りない、絶対逃がしたくないと言う決意がおそらく自然と俺を促したのだ。
大谷はキョトンと、唐突な俺の行動を見守っている。
「いや、卯月」
「あ、はい」
条件反射のように返事をする大谷、いや卯月。
そう言えば俺は、彼女に名前で呼んで貰って置いて自分は恥ずかしいからと相手を名前を呼ぶ事さえ、地味に躱し続けていたのだった。大谷が何も言わないのを良い事に。
まずは言葉、それから態度で―――好意を示す。年上だろうが年下だろうが、上司だろうが部下だろうが、男だろうが女だろうが……そういう物を取っ払って一対一で向き合って。
どうしても伝えたい事がある。アレコレ予防線を張って自分を守っていないで、思いをちゃんと表に出して彼女に伝えたい。それをしないまま失うなんて―――そんな後悔など絶対にしたくない相手が目の前にいる。それは本当に貴重な機会なんだ。四十年近く生きて来て、やっと其処へ辿り着いた。
「卯月に俺のずっと傍に居て欲しい。だから……結婚して欲しい」
「……えっ……」
突然のプロポーズに絶句する卯月。
そこまで言ってから気付く。普通、話の途中でプロポーズってどうなんだ?……ちゃんといい雰囲気のレストランとか、綺麗な景色の場所とか……こういう時はシチュエーションに凝るものじゃないか?
篠岡の台詞があまりに図星過ぎて、焦りのあまり何の準備も無しに口に出してしまった。相手(じょせい)の気持ちに頓着しない為に振られてきた、今までの痛い記憶が蘇る。俺の相手に対する気持ちが強く無かった所為もあるが―――多分にこういう無頓着な所に愛想を尽かされたのではないだろうか。
大谷は暫くの間、固まっていた。
が―――パチパチと瞬きを繰り返した後……はにかんで目を伏せた。
「はい」
と目を伏せたままの大谷から、小さな返事が帰って来る。それは本当に小さな小さな声で、俺は自分が強く肯定の返事を願うばかりにうっかり幻聴を聞いてしまったのかと思うくらいのものだった。
「今なんて……」
情けない事に声が震えてしまう。すると、大谷は顔を上げて俺と目を合わせた。真面目な表情でゆっくりと、言葉を吟味するように慎重に言い直す。
「ええと、お受けします。よろしくお願いします。でも……イイんですか?私なんかで。まだ付き合いも浅いですし……」
「……」
言葉が喉で凍る。まさか直ぐに返事が貰えると思えて無かったので、逆に一瞬フリーズしてしまった。
しかし次の瞬間、途端にぐわっと熱いものが湧き出て来て―――思わず勢いよく、向き合った相手の小さな体を、ガシっと抱き締めてしまっていた。
「わっ……ぷ」
溜まらず声を上げる腕の中の大谷の頭に、頬を寄せる。
「ありがとう……」
大きく息を吐き―――それだけ漏らすのがやっとだった。
すると腕の中からモゾモゾと手を伸ばして、大谷……いや卯月が俺の背中に手を回し、顔を上げて極上の笑顔でニコリと笑ったのだ。
「後から後悔したって駄目ですよ。……返品不可ですから」
なんて拗ねたように可愛いコトを言うから。
俺の中で眠っていた休火山が爆発してしまったのかと思えるくらい、心臓がドクドクと波打ち体中が熱くなってしまった。
彼女には本当に反省していただきたい。普段必死で欲望を抑えつけている男を煽ったらどういう結果になるのかと言う想像力を身に着ける必要がある。
―――俺はニヤリと彼女に笑い返した。
まずはそれを今日、人生の先輩である俺から、彼女に散々教え込もうと思ったからだ。
【捕まった後のお話・最終話】
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『結婚まで』と言っておいて、結局プロポーズだけで終わってしまいました……!でもこの辺りが切りの良い所かな、と思うのでひとまず完結とさせていただきます。
まだ纏まっていないのですが書き残しエピソードが少し頭に残っているので、後々おまけとして追加するかもしれません。
今回かなり長期の間投稿ができず、間が空いてしまいました。
にも拘わらず、見放さずに続きを読んでいただいた方々には本当に感謝の気持ちしかありません。そしてそんな読者様のお陰で書き続けるモチベーションが湧いて来ます。
取りあえず一旦区切りの良い所で完結表示と致しますが、お話が纏まったらまた何か追加出来たら良いな、と考えております。
では改めて。ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました!
俺は彼女に向き直り両手を取った。言葉だけでは足りない、絶対逃がしたくないと言う決意がおそらく自然と俺を促したのだ。
大谷はキョトンと、唐突な俺の行動を見守っている。
「いや、卯月」
「あ、はい」
条件反射のように返事をする大谷、いや卯月。
そう言えば俺は、彼女に名前で呼んで貰って置いて自分は恥ずかしいからと相手を名前を呼ぶ事さえ、地味に躱し続けていたのだった。大谷が何も言わないのを良い事に。
まずは言葉、それから態度で―――好意を示す。年上だろうが年下だろうが、上司だろうが部下だろうが、男だろうが女だろうが……そういう物を取っ払って一対一で向き合って。
どうしても伝えたい事がある。アレコレ予防線を張って自分を守っていないで、思いをちゃんと表に出して彼女に伝えたい。それをしないまま失うなんて―――そんな後悔など絶対にしたくない相手が目の前にいる。それは本当に貴重な機会なんだ。四十年近く生きて来て、やっと其処へ辿り着いた。
「卯月に俺のずっと傍に居て欲しい。だから……結婚して欲しい」
「……えっ……」
突然のプロポーズに絶句する卯月。
そこまで言ってから気付く。普通、話の途中でプロポーズってどうなんだ?……ちゃんといい雰囲気のレストランとか、綺麗な景色の場所とか……こういう時はシチュエーションに凝るものじゃないか?
篠岡の台詞があまりに図星過ぎて、焦りのあまり何の準備も無しに口に出してしまった。相手(じょせい)の気持ちに頓着しない為に振られてきた、今までの痛い記憶が蘇る。俺の相手に対する気持ちが強く無かった所為もあるが―――多分にこういう無頓着な所に愛想を尽かされたのではないだろうか。
大谷は暫くの間、固まっていた。
が―――パチパチと瞬きを繰り返した後……はにかんで目を伏せた。
「はい」
と目を伏せたままの大谷から、小さな返事が帰って来る。それは本当に小さな小さな声で、俺は自分が強く肯定の返事を願うばかりにうっかり幻聴を聞いてしまったのかと思うくらいのものだった。
「今なんて……」
情けない事に声が震えてしまう。すると、大谷は顔を上げて俺と目を合わせた。真面目な表情でゆっくりと、言葉を吟味するように慎重に言い直す。
「ええと、お受けします。よろしくお願いします。でも……イイんですか?私なんかで。まだ付き合いも浅いですし……」
「……」
言葉が喉で凍る。まさか直ぐに返事が貰えると思えて無かったので、逆に一瞬フリーズしてしまった。
しかし次の瞬間、途端にぐわっと熱いものが湧き出て来て―――思わず勢いよく、向き合った相手の小さな体を、ガシっと抱き締めてしまっていた。
「わっ……ぷ」
溜まらず声を上げる腕の中の大谷の頭に、頬を寄せる。
「ありがとう……」
大きく息を吐き―――それだけ漏らすのがやっとだった。
すると腕の中からモゾモゾと手を伸ばして、大谷……いや卯月が俺の背中に手を回し、顔を上げて極上の笑顔でニコリと笑ったのだ。
「後から後悔したって駄目ですよ。……返品不可ですから」
なんて拗ねたように可愛いコトを言うから。
俺の中で眠っていた休火山が爆発してしまったのかと思えるくらい、心臓がドクドクと波打ち体中が熱くなってしまった。
彼女には本当に反省していただきたい。普段必死で欲望を抑えつけている男を煽ったらどういう結果になるのかと言う想像力を身に着ける必要がある。
―――俺はニヤリと彼女に笑い返した。
まずはそれを今日、人生の先輩である俺から、彼女に散々教え込もうと思ったからだ。
【捕まった後のお話・最終話】
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『結婚まで』と言っておいて、結局プロポーズだけで終わってしまいました……!でもこの辺りが切りの良い所かな、と思うのでひとまず完結とさせていただきます。
まだ纏まっていないのですが書き残しエピソードが少し頭に残っているので、後々おまけとして追加するかもしれません。
今回かなり長期の間投稿ができず、間が空いてしまいました。
にも拘わらず、見放さずに続きを読んでいただいた方々には本当に感謝の気持ちしかありません。そしてそんな読者様のお陰で書き続けるモチベーションが湧いて来ます。
取りあえず一旦区切りの良い所で完結表示と致しますが、お話が纏まったらまた何か追加出来たら良いな、と考えております。
では改めて。ここまでお読みいただき、誠にありがとうございました!
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