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新妻・卯月の仙台暮らし
1.新婚生活の始まりです。
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『丈さん』こと、亀田を追って仙台にやって来た新妻、卯月の日常のお話です。
お茶請け話として楽しんでいただけると嬉しいです( ^^) _旦~~
注!)卯月の妄想があいかわらず微妙です。なのに恋愛色も薄めです。ヤマもオチも無いのんべんだらりとしたおまけ話になると思います。ドラマチックもハラハラも全くありません。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
栄転で一足先に支店に移った丈さんを追って、この春私は仙台の地に足を踏み入れた。ずっとママが住んでいたから遊びに来たことはある。だけど本格的に暮らすのは初めての経験だ。
そしてそして……!愛しの旦那さまと、夫婦として一緒に暮らすのもこれがはじめて!そう夢にまで見た、待ちに待った甘~い『新・婚・生・活』の始まり始まり~!
仕事は二人の生活に慣れるまで暫く探さないつもりだ。だって憧れの専業主婦……!料理だって洗濯だって掃除だって家庭に関わることを一手に引き受けて、かいがいしく彼の世話を焼き忙しい彼を支える立派な妻になるのが私の当面の目標……!
そんでもってある日、丈さんが照れたようにこう言うの。
「困ったな、俺は卯月がいなくちゃ何も出来ない男になってしまった」
なーんて、なーんて……!
……などという他愛無い妄想でグフグフ笑っていられたのは、ほんの短い間のことだった
丈さんは朝は早く出て、夜遅く帰って来る。
役職があがると何故だか飲み会が増える、らしい。ひょっとして新しい職場だから慣れないうちは断りづらいと言う理由もあるかもしれない。部長に昇進してから実際のところ、本社にいる頃より会社にいる時間は減っているそうだ。働き方改革!なんて言って労働時間の縮小をうたっている手前、管理職は率先してなるべく定時に出社するようにしているんだって。それでも残業はあって、だから早く帰れる日は社内や取引先の人と会食で埋まってしまうらしい。
会社にいる時間は限られていて、ほとんど会議や打ち合わせ、受け持ちの部下との遣り取りに費やしてしまう。だから必然的に自分の情報収集や勉強、それからスケジュールの調整やメールチェックなど個人的な仕事は自宅で行うことになるそうだ。早朝、それこそ日が昇る前からから起き出して、彼は皆に見えないところでコツコツ働いているのだ。休日も同様で忙しく、仕事絡みで出掛けることもあったりする。そんな感じなので彼のプライベートは無きに等しい。……と言うかこれまでもこういう生活だったのかもしれない。私と会う時は、わざわざ時間を作ってくれていたのだろう。
つまるところ何が言いたいのかと言うと―――丈さんはものすごーく、忙しい。
更に言うと、器用でシッカリしている彼の世話を、誰かが焼く必要などほとんどない。彼は彼で完結した生活を送ることが出来る。つまり―――私はただ、彼の稼ぎで安穏と暮らしている役に立たない存在、と言うわけで。
寂しいなぁ……と思いつつも、せめて邪魔だけはしたくないと息をひそめて暮らす日々だ。だから今日も不足品を手に入れるために、一人で買い物に行くことにする。
「ちょっと、駅前まで行って来るね」
するとノートパソコンに集中していた丈さんが、パッと顔を上げた。
「買い物に行くのか?付き合うからちょっと待ってくれ」
などと私を気遣って腰を上げ出掛ける準備を始めようとする。しかし丈さんの顔色は冴えない。寝不足で血の気の引いた顔でそう言うから、慌ててしまった。
「大丈夫だよ。この辺りは『紘子さん』が居た時に来たことがあるから」
丈さんの前で『ママ』と呼ぶのが恥ずかしくて『マっ……じゃなくて、お母さん』などと言い直していた。だけど丈さんが『紘子さん』と呼ぶようになってから、その呼び方が移ってしまったのだ。同居当初、丈さんが私のママをどう呼ぼうかと迷っていた時に『紘子でいいわよ』とバッサリ言い放たれたとのこと。ちなみに彼は私のパパのことは『大谷さん』と呼んでいる。確かに『お義父さん』と呼ぶには年が近過ぎるし『晴明さん』も親密過ぎて、妙な感じだ。そう考えると妥当な呼び方なのかもしれない。
「でも、荷物もあるだろう」
「少し足りない物を買うだけだから重くないよ。それより買い物付き合う時間があったら、ちょっとでも横になって!顔色悪いから心配だよ」
丈さんを宥めて漸く納得してもらう。すると「すまないな」と申し訳なさそうに謝ってくれる。いや、私のほうが本当に申し訳ないよ。
何せ忙しい丈さんと違って私はニート……いや、専業主婦なのだ。専業主婦ったって忙しい人も世の中にはたくさんいると思う。だけど私は『ニート』と言い間違ってしまうくらい、忙しさとは無縁の生活を送っている。
丈さんは子どもの頃からおばあちゃんと二人暮らしで、おばあちゃんが亡くなってからはずっと独り暮らしだった。だから家のことは何でも出来て、本当に手が掛からない。まずそもそも、散らかさない。それからその都度手際良く、短時間で物事を処理してしまう。―――そんな処は職場で見ていた、完璧な亀田課長そのものだ。仕事は完璧でも私生活は適当って人もいると思う。だけど丈さんはどちらも同じようにこなせる人だったのだ……!まぁ、何となく予想は付いていたんだけどね。いつ行っても部屋は綺麗だったし、さらっと美味しいパスタを作ってくれたり……。でもここまで手を挟む余地がないとは想像していなかった。
彼の役に立ちたいと思っているのに、私が手を出す前に何もかもが終わっていることが大半だ……!ううっ、これじゃ『専業主婦』とは言えない!ニートですよ!……いや、ヒモかも?ホント、ヒモと言っても過言ではない状態だ。
私がやる!と主張したから、かろうじて料理だけは完全に私の担当になったのだけれど―――これもきっと、私がやるより丈さんが作った方が美味しく、手際よく出来るんだろうなって思うこともしばしばだ。少し手の掛かる料理を終えた後のキッチンなんか、ごちゃごちゃになってしまって後片付けがそりゃあもう大変なのだ。これが丈さんだったらなぁ……彼には何度か手料理をご馳走して貰ったけど、料理が終わる頃には何故か既にキッチンがすっきり片付いているんだよね。ずぼらな私には辿り着けない領域ですよ……!家庭料理に検定があったら、きっと丈さんは二段とかで私は三級程度(一応最低限はできているはず……との希望的観測を込めて)と判断されるに違いない。
ところで、こんなキッチリしていかにもA型!に見える丈さんだけど。付き合ってから知ったのだが、なんと彼の血液型は私と同じO型なのだ。まさに衝撃の真実……!
悲しい事に、私がずぼらなのもミスが多くておっちょこちょいなのも―――血液型の所為じゃなくて、単に私自身に非があるのだと証明されてしまった。
今もし存在意義を問われたとしたら―――ピンチです!
つたない所も新婚だから許されるだろう?そう思われる方もいるかもしれません。しかし甘い!甘すぎる……!我が家には可愛さでナンバーワンを誇るうータンがいるのです……!新婚家庭では、料理が下手でも家事が下手でもそれなりに懸命に取り組む妻が可愛いらしい、なーんてラブラブな状況があるから主婦業が未熟でも許される、はず!なのにその可愛さは私では無くうータンの担当分野なのだ……!
可愛さでは完膚なきに姫様に負けてしまう!いや、むしろ自らひれ伏してしまう!
だとしたら―――私は主婦として役に立つしかないでしょうよ!なのになのに……全く役に立てている気がしない……!
こんなんじゃいつか愛想を尽かされるかもしれない。危機感を感じた私は、せめて担当の料理だけでも頑張ろうと、無謀にも思い切ったレシピにチャレンジすべく、聞いた事も無いような調味料を手に入れる為に買い出しに出掛けるのであった……!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして更にキッチンがゴチャゴチャになりました、とさ。
卯月が理想の、完璧主婦になれる日は遠いかもしれません(^^;)
※『家庭料理技能検定』と言う資格が実際存在するそうです。難易度によって一級~五級まで。当然、段位はありません。卯月は現実の検定のことは知らない設定です。
お茶請け話として楽しんでいただけると嬉しいです( ^^) _旦~~
注!)卯月の妄想があいかわらず微妙です。なのに恋愛色も薄めです。ヤマもオチも無いのんべんだらりとしたおまけ話になると思います。ドラマチックもハラハラも全くありません。
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栄転で一足先に支店に移った丈さんを追って、この春私は仙台の地に足を踏み入れた。ずっとママが住んでいたから遊びに来たことはある。だけど本格的に暮らすのは初めての経験だ。
そしてそして……!愛しの旦那さまと、夫婦として一緒に暮らすのもこれがはじめて!そう夢にまで見た、待ちに待った甘~い『新・婚・生・活』の始まり始まり~!
仕事は二人の生活に慣れるまで暫く探さないつもりだ。だって憧れの専業主婦……!料理だって洗濯だって掃除だって家庭に関わることを一手に引き受けて、かいがいしく彼の世話を焼き忙しい彼を支える立派な妻になるのが私の当面の目標……!
そんでもってある日、丈さんが照れたようにこう言うの。
「困ったな、俺は卯月がいなくちゃ何も出来ない男になってしまった」
なーんて、なーんて……!
……などという他愛無い妄想でグフグフ笑っていられたのは、ほんの短い間のことだった
丈さんは朝は早く出て、夜遅く帰って来る。
役職があがると何故だか飲み会が増える、らしい。ひょっとして新しい職場だから慣れないうちは断りづらいと言う理由もあるかもしれない。部長に昇進してから実際のところ、本社にいる頃より会社にいる時間は減っているそうだ。働き方改革!なんて言って労働時間の縮小をうたっている手前、管理職は率先してなるべく定時に出社するようにしているんだって。それでも残業はあって、だから早く帰れる日は社内や取引先の人と会食で埋まってしまうらしい。
会社にいる時間は限られていて、ほとんど会議や打ち合わせ、受け持ちの部下との遣り取りに費やしてしまう。だから必然的に自分の情報収集や勉強、それからスケジュールの調整やメールチェックなど個人的な仕事は自宅で行うことになるそうだ。早朝、それこそ日が昇る前からから起き出して、彼は皆に見えないところでコツコツ働いているのだ。休日も同様で忙しく、仕事絡みで出掛けることもあったりする。そんな感じなので彼のプライベートは無きに等しい。……と言うかこれまでもこういう生活だったのかもしれない。私と会う時は、わざわざ時間を作ってくれていたのだろう。
つまるところ何が言いたいのかと言うと―――丈さんはものすごーく、忙しい。
更に言うと、器用でシッカリしている彼の世話を、誰かが焼く必要などほとんどない。彼は彼で完結した生活を送ることが出来る。つまり―――私はただ、彼の稼ぎで安穏と暮らしている役に立たない存在、と言うわけで。
寂しいなぁ……と思いつつも、せめて邪魔だけはしたくないと息をひそめて暮らす日々だ。だから今日も不足品を手に入れるために、一人で買い物に行くことにする。
「ちょっと、駅前まで行って来るね」
するとノートパソコンに集中していた丈さんが、パッと顔を上げた。
「買い物に行くのか?付き合うからちょっと待ってくれ」
などと私を気遣って腰を上げ出掛ける準備を始めようとする。しかし丈さんの顔色は冴えない。寝不足で血の気の引いた顔でそう言うから、慌ててしまった。
「大丈夫だよ。この辺りは『紘子さん』が居た時に来たことがあるから」
丈さんの前で『ママ』と呼ぶのが恥ずかしくて『マっ……じゃなくて、お母さん』などと言い直していた。だけど丈さんが『紘子さん』と呼ぶようになってから、その呼び方が移ってしまったのだ。同居当初、丈さんが私のママをどう呼ぼうかと迷っていた時に『紘子でいいわよ』とバッサリ言い放たれたとのこと。ちなみに彼は私のパパのことは『大谷さん』と呼んでいる。確かに『お義父さん』と呼ぶには年が近過ぎるし『晴明さん』も親密過ぎて、妙な感じだ。そう考えると妥当な呼び方なのかもしれない。
「でも、荷物もあるだろう」
「少し足りない物を買うだけだから重くないよ。それより買い物付き合う時間があったら、ちょっとでも横になって!顔色悪いから心配だよ」
丈さんを宥めて漸く納得してもらう。すると「すまないな」と申し訳なさそうに謝ってくれる。いや、私のほうが本当に申し訳ないよ。
何せ忙しい丈さんと違って私はニート……いや、専業主婦なのだ。専業主婦ったって忙しい人も世の中にはたくさんいると思う。だけど私は『ニート』と言い間違ってしまうくらい、忙しさとは無縁の生活を送っている。
丈さんは子どもの頃からおばあちゃんと二人暮らしで、おばあちゃんが亡くなってからはずっと独り暮らしだった。だから家のことは何でも出来て、本当に手が掛からない。まずそもそも、散らかさない。それからその都度手際良く、短時間で物事を処理してしまう。―――そんな処は職場で見ていた、完璧な亀田課長そのものだ。仕事は完璧でも私生活は適当って人もいると思う。だけど丈さんはどちらも同じようにこなせる人だったのだ……!まぁ、何となく予想は付いていたんだけどね。いつ行っても部屋は綺麗だったし、さらっと美味しいパスタを作ってくれたり……。でもここまで手を挟む余地がないとは想像していなかった。
彼の役に立ちたいと思っているのに、私が手を出す前に何もかもが終わっていることが大半だ……!ううっ、これじゃ『専業主婦』とは言えない!ニートですよ!……いや、ヒモかも?ホント、ヒモと言っても過言ではない状態だ。
私がやる!と主張したから、かろうじて料理だけは完全に私の担当になったのだけれど―――これもきっと、私がやるより丈さんが作った方が美味しく、手際よく出来るんだろうなって思うこともしばしばだ。少し手の掛かる料理を終えた後のキッチンなんか、ごちゃごちゃになってしまって後片付けがそりゃあもう大変なのだ。これが丈さんだったらなぁ……彼には何度か手料理をご馳走して貰ったけど、料理が終わる頃には何故か既にキッチンがすっきり片付いているんだよね。ずぼらな私には辿り着けない領域ですよ……!家庭料理に検定があったら、きっと丈さんは二段とかで私は三級程度(一応最低限はできているはず……との希望的観測を込めて)と判断されるに違いない。
ところで、こんなキッチリしていかにもA型!に見える丈さんだけど。付き合ってから知ったのだが、なんと彼の血液型は私と同じO型なのだ。まさに衝撃の真実……!
悲しい事に、私がずぼらなのもミスが多くておっちょこちょいなのも―――血液型の所為じゃなくて、単に私自身に非があるのだと証明されてしまった。
今もし存在意義を問われたとしたら―――ピンチです!
つたない所も新婚だから許されるだろう?そう思われる方もいるかもしれません。しかし甘い!甘すぎる……!我が家には可愛さでナンバーワンを誇るうータンがいるのです……!新婚家庭では、料理が下手でも家事が下手でもそれなりに懸命に取り組む妻が可愛いらしい、なーんてラブラブな状況があるから主婦業が未熟でも許される、はず!なのにその可愛さは私では無くうータンの担当分野なのだ……!
可愛さでは完膚なきに姫様に負けてしまう!いや、むしろ自らひれ伏してしまう!
だとしたら―――私は主婦として役に立つしかないでしょうよ!なのになのに……全く役に立てている気がしない……!
こんなんじゃいつか愛想を尽かされるかもしれない。危機感を感じた私は、せめて担当の料理だけでも頑張ろうと、無謀にも思い切ったレシピにチャレンジすべく、聞いた事も無いような調味料を手に入れる為に買い出しに出掛けるのであった……!
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そして更にキッチンがゴチャゴチャになりました、とさ。
卯月が理想の、完璧主婦になれる日は遠いかもしれません(^^;)
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