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新妻・卯月の仙台暮らし
2.暇なんです。
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暇です。
休日はまだ良い。仕事しがちだと言っても、同じ空間に丈さんは存在するしご飯も一緒に食べられる。
だけど平日はやることが無い。試しに雑巾片手にアチコチ拭き掃除でもしてみる―――が、ほとんど汚れていない部屋の掃除はすぐに終わってしまう。何故ならママがハウスキーピングを定期的に利用しているから、汚れが溜まらないのだ。
一応、専業主婦(見習い)ですから!とハウスキーパーを断ろうとしたのだけれど、保証人であるママに却下されてしまった。
曰く、維持管理にちゃんとお金を掛けた方が、のちのち賃貸契約を解消する時に有利なんだとか。それに私の脇の甘い性質をよく見抜いている。全く出来ないと言う訳じゃないけれど、掃除や片付けが苦手なのだ。いや、苦手なつもりは無いのよ……ただ見る人が見ると粗があるってだけで。
ママが言うには、彼女も本質的には私と一緒で大雑把なのだそう。だからこそ、出来ないことは諦めてアウトソーシングし、心配事を元からシャットアウトするんだって。脳と言うのはパソコンのハードディスクみたいなもので、意識していなくても気になることがあればその分メモリが使われている状態で、使える脳力やパフォーマンスが下がるのだとか。
だから家事などお金で解決できる些事は出来る限り人に任せ、処理能力に余地を残してその分本分である仕事に集中するのだそう。結果的にそれが一番コストが掛からず済む―――のだとか。
しかしそれは彼女のようにお仕事で活躍している、仕事に特別な価値がある人間が言えることだと思う。私は平凡な派遣社員……もとい、元・派遣社員。そりゃ、真面目に無駄口も叩かず仕事に取り組んでいたし、不真面目で適当なキラキラ女子よりは仕事はこなしていたと思う。だけど彼女達が本気を出したら勝てないかもしれないって思っていた。つまり自分の出来る限り頑張ってはいるけれども、凄く出来る人間と言う訳では無い。それに丈さんみたいに仕事も出来て、身の回りもキッチリしている人と比べたら……うん、これ悩み始めたらキリが無い事なので、この辺でもう止めよう……!自虐ループ禁止!
結局何が言いたいのかと言うと―――
暇!暇なんです……!
贅沢な愚痴ですよね。ええ、分かっているんです。
でもね、そんな寂しくて暇な私と平日遊んでくれる筈の、私を癒してくれる筈の存在が姿を見せてくれないんです。
そう、うータンがなかなかケージから出て来てくれないの!天岩戸のお話みたいに、私の温かい太陽になるハズの姫様が、私の孤独を慰めてくれる筈の彼女がお出ましになってくれないんです……。ううう……悲し過ぎる。うータンだって、こんなに遠くまで移動したの初めてだし、なかなか気持ちが落ち着かないって言うのもあると思う。そう、本当に仕方が無いことなのだ……だけど、私だって知合いの全くいない新しい土地で心細い。
でもこんな贅沢な悩みと言うか愚痴、忙しい丈さんの前で零せない。そこまで落ちぶれたくないのよ、せめて邪魔だけはしたくないの。
ママとパパは当然お仕事で忙しい。いや、パパはきっと私が泣きついたら時間を作ってくれる。だけどあんまり愚痴って、せっかく好印象になりかけている丈さんの印象を悪くしたくない。おじいちゃんも農作業で忙しいしなぁ……心配掛けたくないし。
よし、そうだ!吉竹さんに連絡しよう!忙しかったら悪いからメールかメッセージで……。
私は早速うータンのケージの写真を撮った。それから『吉竹さん元気?私はうータンが遊んでくれなくて、暇です(T_T)』と若干弱気なメッセージ付きで送ってみた。すると数秒後ピロン!と返信が。
わー嬉しい!持つべきものは友達!なんてイソイソ、スマホをチェックした。
『元気だよ。亀田部長はどうしたの?』
『なかなか仕事が忙しくって帰りが遅いんだ』
ちょうど仕事を終えて帰宅するくらいの時間だ。直ぐ返信してくれたところを見ると余裕があるかもしれない。そう考えて直ぐに返信してみた。すると今度は少し間が合って、二十秒ほどたってから返信が来た。思いも寄らない返答に思わずカッと目を見開いてしまう。
『女じゃない?』
ぐわっ……と何かが込み上げて来た!
な、なにを根拠にそんな……!まさか本社にまた変な噂が入っているとか?丈さんを信じていない訳じゃないけど、思わせ振りな返信にモヤモヤしながら返事を返す。
『何で?そんなの、ないけど』
『部長は迫られるの、慣れてそうだからね~』
更に不安を煽る不穏な台詞のあとに、何故か亀が尻尾を振ってるスタンプが。
うっ……それは前科があるだけに、内心否定できない。うっかり無防備な笑顔とか見せてるかも?それを見てギャップでキュンキュンしちゃう部下の子とかいるかもなぁ……直属じゃ無ければ厳しい所も見えないし、丁寧で素敵な上司に見えるし。何よりカッコイイし。
だけどこの口振りでは変な噂が届いているとか、そう言う訳ではなさそうだ。キツイ冗談だなぁ、と溜息を吐いているとピロン!と追加メッセージが。
『電話とかないの?接待だって聞いていたのに「奥様ですか?彼、今シャワー浴びてます」とか、ドラマティックなの』
『ないってば!』
『なんだ面白く無ーい!なんかあったら教えてね(´∀`*)ウフフ』
『教えないし、ずっとそんなのナイから!ヽ(`Д´)ノプンプン』
―――どっと疲れてしまった。
吉竹さん、ネタにする気満々だ!
愚痴を言う相手、完全に間違えた~!!
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
吉竹さんがガツガツしていて、すみません<(_ _)>
ちょうどネタに詰まっていたらしいです。
お読みいただき、ありがとうございました!
休日はまだ良い。仕事しがちだと言っても、同じ空間に丈さんは存在するしご飯も一緒に食べられる。
だけど平日はやることが無い。試しに雑巾片手にアチコチ拭き掃除でもしてみる―――が、ほとんど汚れていない部屋の掃除はすぐに終わってしまう。何故ならママがハウスキーピングを定期的に利用しているから、汚れが溜まらないのだ。
一応、専業主婦(見習い)ですから!とハウスキーパーを断ろうとしたのだけれど、保証人であるママに却下されてしまった。
曰く、維持管理にちゃんとお金を掛けた方が、のちのち賃貸契約を解消する時に有利なんだとか。それに私の脇の甘い性質をよく見抜いている。全く出来ないと言う訳じゃないけれど、掃除や片付けが苦手なのだ。いや、苦手なつもりは無いのよ……ただ見る人が見ると粗があるってだけで。
ママが言うには、彼女も本質的には私と一緒で大雑把なのだそう。だからこそ、出来ないことは諦めてアウトソーシングし、心配事を元からシャットアウトするんだって。脳と言うのはパソコンのハードディスクみたいなもので、意識していなくても気になることがあればその分メモリが使われている状態で、使える脳力やパフォーマンスが下がるのだとか。
だから家事などお金で解決できる些事は出来る限り人に任せ、処理能力に余地を残してその分本分である仕事に集中するのだそう。結果的にそれが一番コストが掛からず済む―――のだとか。
しかしそれは彼女のようにお仕事で活躍している、仕事に特別な価値がある人間が言えることだと思う。私は平凡な派遣社員……もとい、元・派遣社員。そりゃ、真面目に無駄口も叩かず仕事に取り組んでいたし、不真面目で適当なキラキラ女子よりは仕事はこなしていたと思う。だけど彼女達が本気を出したら勝てないかもしれないって思っていた。つまり自分の出来る限り頑張ってはいるけれども、凄く出来る人間と言う訳では無い。それに丈さんみたいに仕事も出来て、身の回りもキッチリしている人と比べたら……うん、これ悩み始めたらキリが無い事なので、この辺でもう止めよう……!自虐ループ禁止!
結局何が言いたいのかと言うと―――
暇!暇なんです……!
贅沢な愚痴ですよね。ええ、分かっているんです。
でもね、そんな寂しくて暇な私と平日遊んでくれる筈の、私を癒してくれる筈の存在が姿を見せてくれないんです。
そう、うータンがなかなかケージから出て来てくれないの!天岩戸のお話みたいに、私の温かい太陽になるハズの姫様が、私の孤独を慰めてくれる筈の彼女がお出ましになってくれないんです……。ううう……悲し過ぎる。うータンだって、こんなに遠くまで移動したの初めてだし、なかなか気持ちが落ち着かないって言うのもあると思う。そう、本当に仕方が無いことなのだ……だけど、私だって知合いの全くいない新しい土地で心細い。
でもこんな贅沢な悩みと言うか愚痴、忙しい丈さんの前で零せない。そこまで落ちぶれたくないのよ、せめて邪魔だけはしたくないの。
ママとパパは当然お仕事で忙しい。いや、パパはきっと私が泣きついたら時間を作ってくれる。だけどあんまり愚痴って、せっかく好印象になりかけている丈さんの印象を悪くしたくない。おじいちゃんも農作業で忙しいしなぁ……心配掛けたくないし。
よし、そうだ!吉竹さんに連絡しよう!忙しかったら悪いからメールかメッセージで……。
私は早速うータンのケージの写真を撮った。それから『吉竹さん元気?私はうータンが遊んでくれなくて、暇です(T_T)』と若干弱気なメッセージ付きで送ってみた。すると数秒後ピロン!と返信が。
わー嬉しい!持つべきものは友達!なんてイソイソ、スマホをチェックした。
『元気だよ。亀田部長はどうしたの?』
『なかなか仕事が忙しくって帰りが遅いんだ』
ちょうど仕事を終えて帰宅するくらいの時間だ。直ぐ返信してくれたところを見ると余裕があるかもしれない。そう考えて直ぐに返信してみた。すると今度は少し間が合って、二十秒ほどたってから返信が来た。思いも寄らない返答に思わずカッと目を見開いてしまう。
『女じゃない?』
ぐわっ……と何かが込み上げて来た!
な、なにを根拠にそんな……!まさか本社にまた変な噂が入っているとか?丈さんを信じていない訳じゃないけど、思わせ振りな返信にモヤモヤしながら返事を返す。
『何で?そんなの、ないけど』
『部長は迫られるの、慣れてそうだからね~』
更に不安を煽る不穏な台詞のあとに、何故か亀が尻尾を振ってるスタンプが。
うっ……それは前科があるだけに、内心否定できない。うっかり無防備な笑顔とか見せてるかも?それを見てギャップでキュンキュンしちゃう部下の子とかいるかもなぁ……直属じゃ無ければ厳しい所も見えないし、丁寧で素敵な上司に見えるし。何よりカッコイイし。
だけどこの口振りでは変な噂が届いているとか、そう言う訳ではなさそうだ。キツイ冗談だなぁ、と溜息を吐いているとピロン!と追加メッセージが。
『電話とかないの?接待だって聞いていたのに「奥様ですか?彼、今シャワー浴びてます」とか、ドラマティックなの』
『ないってば!』
『なんだ面白く無ーい!なんかあったら教えてね(´∀`*)ウフフ』
『教えないし、ずっとそんなのナイから!ヽ(`Д´)ノプンプン』
―――どっと疲れてしまった。
吉竹さん、ネタにする気満々だ!
愚痴を言う相手、完全に間違えた~!!
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吉竹さんがガツガツしていて、すみません<(_ _)>
ちょうどネタに詰まっていたらしいです。
お読みいただき、ありがとうございました!
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