悪役令嬢ですがバッドエンドを阻止するため、家出を試みたら、闇落ち王子を拾ってしまい、なぜか魔女と呼ばれるようになりました

うさぎ咲

文字の大きさ
4 / 32

3話 ようこそ!!モッフモフの神獣達!!

しおりを挟む
 え、え、えええええ!!!
 今私の目の前に立っているのは、犬耳のあるイケメンと、猫耳のある美少女。
 「ソフィ、すごいよ!すごいよ!!神獣が、人間に忠誠を誓うなんて、聞いたことないよ!!」
 「さすがソフィア様です」
 ちょっとちょっと!!私今、どうしようか考えているのに、スイとミアが横から口を挟むから、も~う、意味わかんくなっちゃったじゃん!?
 
 ではここで、妖精と精霊、そして神獣について一旦整理をしよう。
 えー、『妖精』はミニサイズの人間の姿をしたもので、10cm~15cmくらい。妖精はあまり人前に姿を現さず、気に入った人間の前だけに姿を現す。
 『精霊』は、動物の形をした妖精、みたいな。魔法学校とかで、全員『使い魔』契約をするらしい。最上位が竜で、他にも色々いるらしい。妖精も精霊も、全員『精霊女王』が主だが、契約を結ぶと、その人間が主となる。しかし、その人間が死亡した場合、主は精霊女王へと戻る。
 『神獣』は、妖精や精霊とは違ったもので、神聖な動物。地球でいうイエス様の動物バージョン、みたいな?そして、滅多に姿を現さない。100年間も姿を現さない神獣もいるらしい。1つの国に1体いればいいくらいで、守護獣もいるらしい。

 なんて考えを巡らせていると、
 「あ、もしかして、私達はお邪魔でしょうか・・・・・・」
 「はあ、そうなれば、帰るところもない私たちは、路地で餓死するのを待つ運命ですね」
 「そうですね、誰かが私たちを養ってくれたら、そんなことにはならないんですけど・・・・・・」
 そろそろ不安になってきたようだ。
 でもね、うん、かわいい子犬と子猫の姿に戻って、圧かけないでくれないかな?でも、餓死するなんて言われちゃったら、動物好きの私のプライドが許さないし・・・・・・

 「はあ。分かった。いいよ。ここにいても」
 そう言った瞬間、すぐに彼らは人間姿に戻る。
 「「本当ですか!!」」
 「うん。その代わり、動物の姿でいてくれる?私が癒されるし。でも、人間になったり、動物になったりしてたら、流石に変でしょう?」
 「そうですね」
 「わかりました!!」
 「よかった。あ、そういえば、名前を教えてくれる?」
 「「名前・・・・・・?」」
 「え、もしかして、ないの?ねえ、スイ、神獣って、名前ないの?」
 「えーっとね、神獣は簡単には生まれないから、めちゃくちゃ長生きしていて、大体名前はあるはずなんだけど」
 「あ、もしかして、名前あるけど、つけてほしい、とか?」
 図星だったらしい。急に顔を真っ赤にしてモジモジしている。でもそこも、かわいいと思ってしまう!!
 「わかった。ねえ、属性は何?」
 「私が雷です」
 「私は風です」
 えーっと、イケメンくんが雷で、かわい子ちゃんが風。
 「う~ん、じゃあ、あなたがライで、あなたがリーゼね」
 「ライ・・・・・・」
 「リーゼ・・・・・・」
 あ、いまいちだったかな?私、ネーミングセンスないから、ライは、雷そのまんまだし、リーゼは、突風という意味。スイの時もそうだったけど、全く思い浮かばないんだもん!!

 「「素晴らしい名前をありがとうございます!!」」
 「あ、そう?気に入ってくれた?ならよかった」
 気に入ってくれたらしい。よかった、本当に。
 「じゃあ、ライ、リーゼ、スイが先輩なんだから、敬ってよね!!スイ様って言ってもよろしいですわよ!!」
 「「わかりました!!スイ様!!」」
 あらあら、すいが先輩面してる。ていうか、小さなスイに、大きなライとリーぜが首(こうべ)を垂れているのが面白い。
 
 スイが、ここでの生活の心構えをライ達に説いていると
 「ソフィア様、そろそろご夕食の時間でございます」
 ミアが来て、そう伝える。
 「分かった。すぐ行く」
 
 ここでは、夕食は、|家族⦅あの人たち⦆と一緒に食べる。私は「え?私がいない方がいいんじゃないの?」と思ったのだが、別にいいそうだ。朝食と夕食のみで、昼食は違うが。
 ただ、私はこの時間が大っ嫌い。会話は私抜きで行うし、私に話を振ってきたと思ったら、馬鹿にするようなことしか言わないし。別にいいんだけど、ミアの悪口や、母の悪口を言われるのは、嫌だ。でも、逆らったら、家を追い出されちゃうから、適当にいうこと聞いてるだけだし。
 私は早く家出したいけど、まだこの世界のことを何も知らないし、知識や、ルール、マナー、何も知らない。もし家出した時のために、知っていることはたくさんある方がいい。だから、私は知りたいことだけ知って、後は、もう知らない。向こうにとっては、大人しくて扱いやすいな、とでも思っているだろうけど(知らんけど)都合よくて悪かったですね、って感じ。

 「申し訳ございません。お義母さま、お父様」
 「あら、私にはないのですか?それにしても遅かったですわね。お姉様。もうお先にいただいてしまいましたよ」
 すいませんね!!なぜかこの部屋は私の部屋からめちゃくちゃ遠いんですよ!!
 私が来てすぐに文句を言ってきたのは、2つ下の義妹アイティラ。カミラと同じ金色の髪に、父と同じ青色の目。それに加えて愛らしい容姿をしている。8歳のくせして、こんな悪口が言えるのは、絶対にカミラの教育ね。すごいよ、カミラ。私尊敬する。
 まあ、そんなことはどうでもいいや。ご飯をいただこう。めっちゃ美味しそうだもん!!
 「いただきます」
 この世界で「いただきます」はないから、聞こえない程度の小さな声で言う。
 あー、それにしてもめっちゃ美味しい。
 今日の献立は、なんか高級そうなパン、なんかよくわからないスープ、ローストビーフ、サラダ、その他色々、でございます、と。

 「それにしても、あなた、部屋に汚い動物を持ち込んだみたいですね」
 「まあ、そうなのですか、お母様」
 「ええ、アイティラはそんなことをしないのに。もしもアイティラが病気になってしまったらどうするのですか!!」
 「え?何か言いましたか?」
 
 私、食べるのに夢中すぎて、何にも聞いていませんでした。
 「・・・・・・っ。そうですか、聞こえませんでしたか。私は、汚い動物を拾ってきたあなたが、優しいですね、思っただけですよ。やはり、同じような境遇のものを、放っては置けない、とでも思ったのでしょう?」
 そして、カミラが半ギレ状態になる。
 「ええ、そうですよ。私の部屋で飼うことを、許してくださいますよね?」
 「ええ、いいですよ?ただ、絶対にあなたの部屋から外へ出さないでくださいね?あの動物達が持っている菌で、病気になったら嫌ですから」
 おおおおお。聞いた?神獣様に向かって、菌があるとか、汚いとか、ひどくない?
 「では、そろそろ失礼致します」
 食べ終わったら、私、すぐ退室します。
 「ああ、そうだった、ソフィア」
 大体ここで、今まで口を開かなかった父がしゃべる
 「明日、ラファエル様がいらっしゃるから、準備をしておきなさい」
 「ラファエル様が!?」
 「かしこまりました」
 どちらかというと、喜んでいるのはアイティラの方ですよ?
 ていうか、婚約決まって1週間でしょう?王太子って、暇なの?

 「あ~疲れた~」
 「ワンワン!!」
 「ニャンニャン!!」
 うっわ~
 「かわいい!!」
 明日ラファエルが訪ねてくるという話を聞いて、考えを巡らせて、ショート寸前だった私を出迎えてくれたのは、ライとリーゼ。しかも、子犬と子猫姿の!!
 「でしょでしょ?スイが指導したんだよ?スイを褒めて褒めて!!」
 「うわ~可愛い~」
 私、スイの言葉を無視して、ライとリーゼを抱っこする。さすがにまだ10歳だから、ふらついちゃったけど。
 「ねえ、ミア。今日から、ライとリーゼと一緒に寝てもいい?」
 「ええ、いいですよ?もうお休みになられますか?」
 「うん!!」
 
 ライとリーゼと一緒に、布団の中に潜り込む。
 それにしても、超モッフモフで、めちゃくちゃ癒される。
 「これからよろしくね、ライ、リーゼ」
 二人?をぎゅっと抱きしめたまま、すぐに眠りについた私。
 ライとリーゼが圧死しそうになっていることも知らずに・・・・・・。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜

具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、 前世の記憶を取り戻す。 前世は日本の女子学生。 家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、 息苦しい毎日を過ごしていた。 ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。 転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。 女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。 だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、 横暴さを誇るのが「普通」だった。 けれどベアトリーチェは違う。 前世で身につけた「空気を読む力」と、 本を愛する静かな心を持っていた。 そんな彼女には二人の婚約者がいる。 ――父違いの、血を分けた兄たち。 彼らは溺愛どころではなく、 「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。 ベアトリーチェは戸惑いながらも、 この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。 ※表紙はAI画像です

この世界に転生したらいろんな人に溺愛されちゃいました!

キムチ鍋
恋愛
前世は不慮の事故で死んだ(主人公)公爵令嬢ニコ・オリヴィアは最近前世の記憶を思い出す。 だが彼女は人生を楽しむことができなっかたので今世は幸せな人生を送ることを決意する。 「前世は不慮の事故で死んだのだから今世は楽しんで幸せな人生を送るぞ!」 そこからいろいろな人に愛されていく。 作者のキムチ鍋です! 不定期で投稿していきます‼️ 19時投稿です‼️

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

黒騎士団の娼婦

イシュタル
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

転生先は男女比50:1の世界!?

4036(シクミロ)
恋愛
男女比50:1の世界に転生した少女。 「まさか、男女比がおかしな世界とは・・・」 デブで自己中心的な女性が多い世界で、ひとり異質な少女は・・ どうなる!?学園生活!!

主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?

玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。 ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。 これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。 そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ! そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――? おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!? ※小説家になろう・カクヨムにも掲載

この世界、イケメンが迫害されてるってマジ!?〜アホの子による無自覚救済物語〜

具なっしー
恋愛
※この表紙は前世基準。本編では美醜逆転してます。AIです 転生先は──美醜逆転、男女比20:1の世界!? 肌は真っ白、顔のパーツは小さければ小さいほど美しい!? その結果、地球基準の超絶イケメンたちは “醜男(キメオ)” と呼ばれ、迫害されていた。 そんな世界に爆誕したのは、脳みそふわふわアホの子・ミーミ。 前世で「喋らなければ可愛い」と言われ続けた彼女に同情した神様は、 「この子は救済が必要だ…!」と世界一の美少女に転生させてしまった。 「ひきわり納豆顔じゃん!これが美しいの??」 己の欲望のために押せ押せ行動するアホの子が、 結果的にイケメン達を救い、世界を変えていく──! 「すきーー♡結婚してください!私が幸せにしますぅ〜♡♡♡」 でも、気づけば彼らが全方向から迫ってくる逆ハーレム状態に……! アホの子が無自覚に世界を救う、 価値観バグりまくりご都合主義100%ファンタジーラブコメ!

処理中です...