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第6話 そして朝が来た
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――あれ? ……暗い。
寝てた? 私、寝たの? ベッド?
いや、布団の質が違う。ふっかふか。
ああ、イベントの演出ね。たぶん最後に”夢落ちエンディング”があるんだ。
……にしても、まぶしいな。
うっすらと瞼を開けると、紫がかった光が差し込んでいた。
ステンドグラスの窓。天蓋付きのベッド。
天井の模様まで手彫りで、見覚えのない豪奢な空間。
「おはようございます、魔女様」
声がして、そっとカーテンが開かれる。
「え」
見たことのないメイド服。
映画の中みたいな、クラシックなロングスカート。
そして、長い――耳。
「……え、ちょ、待って。その耳……」
「はい、エルフでございます。どうぞお仕度を」
「エルフでございます、じゃないのよ!?」
ちょっと待って、リアルすぎる。
接着剤の跡もないし、動いてるし、ピクピクしてるし!
「魔女様、本日より王宮にて、”永夜の妃”として正式にご挨拶がございます」
「え、なにそれ……いや、待って!昨日、なんか王とか……え、妃!?!」
「はい。夜の王の永遠の伴侶として。おめでとうございます」
おめでとうございます、じゃないのよ!?!?!?
私はガバッと起き上がった。
鏡が、目の前にある。
そこに映っていたのは――昨日の“トリートの魔女”。
長い栗髪、金の瞳。――見知らぬ、若い女の顔。
自分の学生時代を思わせる顔だちだが、まるで加工フィルタを通したような美少女。
彩度の高い栗色の髪に、透けるような金の瞳。
「……若返ってる。というか、美化されてる……?
……え、ちょ、ちょっと。スマホ……」
探してもない。バッグもない。ICカードも、財布もない。
「……ネット〇リックスの撮影じゃ、ない?」
メイドが首を傾げた。
「それは……魔法の文献の名前でしょうか?」
「いやいやいや、ちがっ、まって、まって……!」
頭の中でぐるぐる回る。
AR? プロジェクション? CG合成? フルダイブ式VR?
――ない。どれにも該当しない。
鏡の中の自分を二度見して、ようやく理解した。
「まさか、異世界転生とか、そういう……?」
声に出した瞬間、鳥肌が立った。
え、私、本気で言った?
ありえないでしょ、そんなの。
ドアの向こうに、昨夜の”夜の王”が立っていた。
その微笑が、やけにやわらかくて。
見た瞬間、脳が変な音を立てた。
「おはよう、我が妃。
祝福の夜は、どうだった?」
「……っっっあのっ、昨日のは――」
「夢ではない。
貴女が”トリート”を選んだ時から、すべてが現実になったのだ」
「……まって。私、昨夜の、阿呆だよね。
ノリで、『じゃあトリートで!』って言ったよね?」
誰か、殴って。全力で止めてほしかった。
イベントだと思って、完全にノリで……!
侍女たちが穏やかに微笑む。
「すでに“トリックの呪い”は解け、この夜の国は救われました。
貴女は偉業を果たされたのです」
「……え、あ、はい? いや、そんな大それたことしてないんですけど!?
寝ただけで世界救ったの?」
それでも侍女たちは、恭しく頭を下げた。
まるで、すべてが当然であるかのように。
「なら……もう、元の世界に戻ってもいいんじゃ……?」
かすれた声で言う。
一瞬の沈黙。
侍女たちは顔を見合わせ、そっと目を伏せた。
「行かせぬ」
低く、響く声。
私の心臓が、思わず”ひゅっ”と鳴った。
「……は?」
「お前は“トリート”を選んだ。
”贈り物を受け入れる者”として、この夜に永く留まる運命だ」
彼の金の瞳が、月光を受けて淡く光る。
その視線は、やさしく、しかし逃げ場のないほど強かった。
「私は真実を聞いたのだ。お前が”この夜を受け入れる”と。
それは、我が永遠の花嫁になるという意味」
「……いや、いやいやいや! そういう意味で言ったんじゃ……!」
必死で否定する私をよそに、
夜の王は静かに微笑んだ。
あの、理不尽なまでに整った顔で。
「恐れることはない。お前の時間は、ここから始まるのだ」
そう言って、夜の王は手を差し出した。
白く長い指先が、淡い光をまとって揺れる。
温かいのに、どこか底知れない――まるで、触れた瞬間に何かを吸い取られそうな気配。
喉が、きゅっと鳴った。
(……これ、絶対やばいやつじゃん)
(でも、取らなかったら……それはそれで、もっとやばい気がする)
「……えっと、その……手を、取らなかったら?」
夜の王は、ゆるやかにまばたきをした。
黄金の瞳が、静かに私を映す。
「ならば――お前を閉じ込めよう。
夜が終わらぬこの城に。
いずれ心が我に傾くまで」
「……っえ、ええ!!!?」
にっこりと微笑むその顔が、完璧に美しくて、なおさら怖い。
完全に優しい監禁のトーン。
逃げられない系の、やばいやつ。
「いずれ分かる。選択は、どちらにせよ同じところへ辿り着く。
――お前はこの夜のものとなる」
背筋に、ぞくりと冷たいものが走った。
光を帯びた手が、わずかに近づく。
でも、その温もりの奥に潜むものを、私は直感的に理解していた。
これは契約だ。
これを取った瞬間、もう二度と戻れない。
けれど、取らなければ――この夜の王は、私を閉じ込める。
永遠に。
(どっちにしても、詰んでるじゃん……)
笑うしかなかった。
ほんの冗談のつもりだった「トリートで!」が、
こんな理不尽な二択を呼ぶなんて、誰が想像しただろう。
――差し出された手が、静かに、私の眼前に降りてくる。
「……えっと、あの、確認なんですけど。
もしトリックを選んでたら、どうなってたんです?」
夜の王の唇が、ゆるやかに笑みを描いた。
「夜の客として迎えられ、朝までに魂を喰われていただろう」
「……はい!?え、そっちのが完全バッドじゃん!!
あぶなっ……てか、説明なしで二択迫るのやめてよ!?!?」
夜の王は、そんな私の狼狽を愉しむように、指先で私の髪をすくった。
「やはり、貴女は愛しい。トリートを選び、この夜を受け入れた”新たな魔女”。
我が王妃として、永遠に隣に――」
「いや、いや、いや!!永遠とか、ちょっと、長期契約すぎる!!!」
……誰か、本当に昨日の私を殴って止めて。
あのノリで言ったトリートで!が、人生最大の契約になるなんて、聞いてない!!
寝てた? 私、寝たの? ベッド?
いや、布団の質が違う。ふっかふか。
ああ、イベントの演出ね。たぶん最後に”夢落ちエンディング”があるんだ。
……にしても、まぶしいな。
うっすらと瞼を開けると、紫がかった光が差し込んでいた。
ステンドグラスの窓。天蓋付きのベッド。
天井の模様まで手彫りで、見覚えのない豪奢な空間。
「おはようございます、魔女様」
声がして、そっとカーテンが開かれる。
「え」
見たことのないメイド服。
映画の中みたいな、クラシックなロングスカート。
そして、長い――耳。
「……え、ちょ、待って。その耳……」
「はい、エルフでございます。どうぞお仕度を」
「エルフでございます、じゃないのよ!?」
ちょっと待って、リアルすぎる。
接着剤の跡もないし、動いてるし、ピクピクしてるし!
「魔女様、本日より王宮にて、”永夜の妃”として正式にご挨拶がございます」
「え、なにそれ……いや、待って!昨日、なんか王とか……え、妃!?!」
「はい。夜の王の永遠の伴侶として。おめでとうございます」
おめでとうございます、じゃないのよ!?!?!?
私はガバッと起き上がった。
鏡が、目の前にある。
そこに映っていたのは――昨日の“トリートの魔女”。
長い栗髪、金の瞳。――見知らぬ、若い女の顔。
自分の学生時代を思わせる顔だちだが、まるで加工フィルタを通したような美少女。
彩度の高い栗色の髪に、透けるような金の瞳。
「……若返ってる。というか、美化されてる……?
……え、ちょ、ちょっと。スマホ……」
探してもない。バッグもない。ICカードも、財布もない。
「……ネット〇リックスの撮影じゃ、ない?」
メイドが首を傾げた。
「それは……魔法の文献の名前でしょうか?」
「いやいやいや、ちがっ、まって、まって……!」
頭の中でぐるぐる回る。
AR? プロジェクション? CG合成? フルダイブ式VR?
――ない。どれにも該当しない。
鏡の中の自分を二度見して、ようやく理解した。
「まさか、異世界転生とか、そういう……?」
声に出した瞬間、鳥肌が立った。
え、私、本気で言った?
ありえないでしょ、そんなの。
ドアの向こうに、昨夜の”夜の王”が立っていた。
その微笑が、やけにやわらかくて。
見た瞬間、脳が変な音を立てた。
「おはよう、我が妃。
祝福の夜は、どうだった?」
「……っっっあのっ、昨日のは――」
「夢ではない。
貴女が”トリート”を選んだ時から、すべてが現実になったのだ」
「……まって。私、昨夜の、阿呆だよね。
ノリで、『じゃあトリートで!』って言ったよね?」
誰か、殴って。全力で止めてほしかった。
イベントだと思って、完全にノリで……!
侍女たちが穏やかに微笑む。
「すでに“トリックの呪い”は解け、この夜の国は救われました。
貴女は偉業を果たされたのです」
「……え、あ、はい? いや、そんな大それたことしてないんですけど!?
寝ただけで世界救ったの?」
それでも侍女たちは、恭しく頭を下げた。
まるで、すべてが当然であるかのように。
「なら……もう、元の世界に戻ってもいいんじゃ……?」
かすれた声で言う。
一瞬の沈黙。
侍女たちは顔を見合わせ、そっと目を伏せた。
「行かせぬ」
低く、響く声。
私の心臓が、思わず”ひゅっ”と鳴った。
「……は?」
「お前は“トリート”を選んだ。
”贈り物を受け入れる者”として、この夜に永く留まる運命だ」
彼の金の瞳が、月光を受けて淡く光る。
その視線は、やさしく、しかし逃げ場のないほど強かった。
「私は真実を聞いたのだ。お前が”この夜を受け入れる”と。
それは、我が永遠の花嫁になるという意味」
「……いや、いやいやいや! そういう意味で言ったんじゃ……!」
必死で否定する私をよそに、
夜の王は静かに微笑んだ。
あの、理不尽なまでに整った顔で。
「恐れることはない。お前の時間は、ここから始まるのだ」
そう言って、夜の王は手を差し出した。
白く長い指先が、淡い光をまとって揺れる。
温かいのに、どこか底知れない――まるで、触れた瞬間に何かを吸い取られそうな気配。
喉が、きゅっと鳴った。
(……これ、絶対やばいやつじゃん)
(でも、取らなかったら……それはそれで、もっとやばい気がする)
「……えっと、その……手を、取らなかったら?」
夜の王は、ゆるやかにまばたきをした。
黄金の瞳が、静かに私を映す。
「ならば――お前を閉じ込めよう。
夜が終わらぬこの城に。
いずれ心が我に傾くまで」
「……っえ、ええ!!!?」
にっこりと微笑むその顔が、完璧に美しくて、なおさら怖い。
完全に優しい監禁のトーン。
逃げられない系の、やばいやつ。
「いずれ分かる。選択は、どちらにせよ同じところへ辿り着く。
――お前はこの夜のものとなる」
背筋に、ぞくりと冷たいものが走った。
光を帯びた手が、わずかに近づく。
でも、その温もりの奥に潜むものを、私は直感的に理解していた。
これは契約だ。
これを取った瞬間、もう二度と戻れない。
けれど、取らなければ――この夜の王は、私を閉じ込める。
永遠に。
(どっちにしても、詰んでるじゃん……)
笑うしかなかった。
ほんの冗談のつもりだった「トリートで!」が、
こんな理不尽な二択を呼ぶなんて、誰が想像しただろう。
――差し出された手が、静かに、私の眼前に降りてくる。
「……えっと、あの、確認なんですけど。
もしトリックを選んでたら、どうなってたんです?」
夜の王の唇が、ゆるやかに笑みを描いた。
「夜の客として迎えられ、朝までに魂を喰われていただろう」
「……はい!?え、そっちのが完全バッドじゃん!!
あぶなっ……てか、説明なしで二択迫るのやめてよ!?!?」
夜の王は、そんな私の狼狽を愉しむように、指先で私の髪をすくった。
「やはり、貴女は愛しい。トリートを選び、この夜を受け入れた”新たな魔女”。
我が王妃として、永遠に隣に――」
「いや、いや、いや!!永遠とか、ちょっと、長期契約すぎる!!!」
……誰か、本当に昨日の私を殴って止めて。
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