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第六話:静寂の朝、崩れぬ悪夢
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――目覚めは、最悪だった。
全身が鉛のように重く、秘所にはまだ熱が残っている。
昨夜の悪夢のような出来事が、鮮明な記憶として蘇るたびに、全身の血が逆流するような羞恥と吐き気を覚えた。俺の身体は、もう俺のものではないかのように、わずかな動きにも痛みと、そして奇妙な疼きを感じていた。
だが、部屋はいつものように整然としていた。シーツに乱れはなく、ローブもきちんと畳まれている。
まるで、昨夜の出来事など幻だったかのように。俺は、ゆっくりと体を起こし、全身を走る倦怠感に唇を噛み締めた。
(まさか……夢だったのか?)
一瞬、そんな馬鹿げた考えが頭をよぎった。しかし、背筋に走る生理的な嫌悪感と、体の奥底に残る異物感が、それが紛れもない現実であったことを突きつける。
やがて、夜明けとともに、俺はいつもと変わらぬ公務へと取り掛かった。そして、執務室に入ってきた二人の姿に、俺は息を呑んだ。
「セレスティン様、本日分の報告書を提出いたします」
「先日の評議会でのご発言に関する資料でございます。ご確認ください」
ライオネルは、深紅の騎士服を完璧に着こなし、いつものように高潔で忠誠に満ちた表情をしていた。その青い瞳には、一切の私的な感情も、昨夜の獣の欲望も宿っていない。
アシュレイもまた、艶やかな銀髪を背まで流し、思慮深い深い紫の瞳で俺を見つめていた。その顔には、いつもの柔らかな微笑みが浮かんでいるが、そこに嘲りや執着の色は微塵も感じられない。彼は、ただ完璧な宰相として、恭しく頭を下げ、書類を差し出す。
彼らは、まるで昨夜の出来事を一切覚えていないかのように、何事もなかったかのように振る舞っていた。そのあまりにも完璧な「公務中の側近」としての姿に、俺は混乱を覚える。同時に、彼らがこの件を表沙汰にする気がないことを悟り、心のどこかで安堵する自分もいた。
「……ご苦労だった」
俺は、精一杯、冷徹な君主の仮面を被り直し、努めて普段通りの声で答えた。公務に集中することで、昨夜の悪夢から意識を逸らそうとする。だが、彼らの視線が、時折俺の指先や、微かに震える唇に注がれているのを感じ、背筋に冷たいものが走った。
俺は、「氷の美貌を持つ偉大なる君主」として、完璧な支配者を演じ続けた。
山積する公文書を処理し、評議会では的確な指示を出し、謁見に訪れた貴族たちを威圧する。
日中の俺は、誰にも付け入る隙を与えない、絶対的な存在だ。
だが、その仮面の下で、俺の心は常に張り詰めていた。いつ、彼らがこの均衡を破るのか。
――また、あの夜が訪れるのか。
心の中では、ずっと側近の彼らに意識が引きずられていた。
全身が鉛のように重く、秘所にはまだ熱が残っている。
昨夜の悪夢のような出来事が、鮮明な記憶として蘇るたびに、全身の血が逆流するような羞恥と吐き気を覚えた。俺の身体は、もう俺のものではないかのように、わずかな動きにも痛みと、そして奇妙な疼きを感じていた。
だが、部屋はいつものように整然としていた。シーツに乱れはなく、ローブもきちんと畳まれている。
まるで、昨夜の出来事など幻だったかのように。俺は、ゆっくりと体を起こし、全身を走る倦怠感に唇を噛み締めた。
(まさか……夢だったのか?)
一瞬、そんな馬鹿げた考えが頭をよぎった。しかし、背筋に走る生理的な嫌悪感と、体の奥底に残る異物感が、それが紛れもない現実であったことを突きつける。
やがて、夜明けとともに、俺はいつもと変わらぬ公務へと取り掛かった。そして、執務室に入ってきた二人の姿に、俺は息を呑んだ。
「セレスティン様、本日分の報告書を提出いたします」
「先日の評議会でのご発言に関する資料でございます。ご確認ください」
ライオネルは、深紅の騎士服を完璧に着こなし、いつものように高潔で忠誠に満ちた表情をしていた。その青い瞳には、一切の私的な感情も、昨夜の獣の欲望も宿っていない。
アシュレイもまた、艶やかな銀髪を背まで流し、思慮深い深い紫の瞳で俺を見つめていた。その顔には、いつもの柔らかな微笑みが浮かんでいるが、そこに嘲りや執着の色は微塵も感じられない。彼は、ただ完璧な宰相として、恭しく頭を下げ、書類を差し出す。
彼らは、まるで昨夜の出来事を一切覚えていないかのように、何事もなかったかのように振る舞っていた。そのあまりにも完璧な「公務中の側近」としての姿に、俺は混乱を覚える。同時に、彼らがこの件を表沙汰にする気がないことを悟り、心のどこかで安堵する自分もいた。
「……ご苦労だった」
俺は、精一杯、冷徹な君主の仮面を被り直し、努めて普段通りの声で答えた。公務に集中することで、昨夜の悪夢から意識を逸らそうとする。だが、彼らの視線が、時折俺の指先や、微かに震える唇に注がれているのを感じ、背筋に冷たいものが走った。
俺は、「氷の美貌を持つ偉大なる君主」として、完璧な支配者を演じ続けた。
山積する公文書を処理し、評議会では的確な指示を出し、謁見に訪れた貴族たちを威圧する。
日中の俺は、誰にも付け入る隙を与えない、絶対的な存在だ。
だが、その仮面の下で、俺の心は常に張り詰めていた。いつ、彼らがこの均衡を破るのか。
――また、あの夜が訪れるのか。
心の中では、ずっと側近の彼らに意識が引きずられていた。
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