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27.豊穣祭の季節
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秋学期の始まりと共に、豊穣祭の季節がやってきた。
豊穣祭とは一ヶ月ほどかけて行われるお祭りみたいなもので、城下町では連日いろんなマーケットが開かれてたくさんの人で賑わうんだよね。
もともと秋の豊かな実りを神に感謝する祭典でもあるので、大司教を中心とした神官たちにより、各地で神事が行われる。
今年は『聖女』であるセシリアの存在を王国中にアピールする目的で、彼女による神事が神殿や王宮で大々的に行われる予定だ。
それに伴って、セシリアは豊穣祭の季節に限り、特別に王宮の客室に滞在する許しを得たと聞いている。
大司教を通して「王宮に滞在したい」と駄々をこねまくり、最終的に陛下から許可をもぎ取ったらしい。
これは要するに、陛下がセシリアとエドワードが親密な仲になる可能性を黙認したということに他ならない。
教会から手厚い保護を受け、光魔法を自在に操ることのできる『聖女』が、王太子の妃になるのは王家からしても悪い話ではないからなぁ。
大司教と裏で繋がっている王妃様はもちろん、国王陛下も将来的にはセシリアをエドワードの妃の一人にしようという心算があるかもしれない。
セシリアはエドワードからの好感度があまり高くないことに薄々気付いてるみたいだし、これを機に関係を深めようとするだろう。
大好きな彼氏が下心丸出しの女性と半月近くも同じ屋根の下で生活するって思うと、あんまり良い気はしないよね。
でも、さすがに王宮までついていくわけにはいかないから、せめて学園では彼とセシリアが接触しないで済むように、俺はこれまで以上にエドワードと一緒に過ごしていた。
「最近よく眠れていないの?目の下に隈ができてる」
教室で休み時間中に喋っているとき、ふと気が付いて問いかける。
うっすらとした隈を人差し指で優しくなぞるように撫でると、エドワードは目を細めて苦笑した。
「最近、寝不足気味なんだ。まだ体調に支障は出ていないが、こんな生活が続いたら正直どうなるかわからないと思っている」
「なにか理由に心当たりがあるの?」
「あぁ」
彼は俺の手を取って、スリッ…と軽く頬を擦り寄せる。それから周囲に話が聞こえないように、手早く防音魔法をかけた。
「今、セシリア嬢が神事のために王宮に滞在しているだろう?実はこの頃、彼女の度が過ぎる行動に少し参っているんだ」
エドワードの話によれば、セシリアは身の回りの世話をする侍女たちの制止を無視して、毎晩のようにエドワードの私室を訪ねてくるのだという。
恋人でも婚約者でもないのに未婚の女性が男性の部屋を訪ねるのは、貴族社会ではタブー視されている。だから、エドワードも初日は王太子専属の護衛騎士たちに彼女を追い返させたらしい。
でも、セシリアが扉の前で『ひどいっ……!騎士様がこんなに非情な方々だとは思いませんでしたわ!私はただ、エドワード様ともっと親しくなりたいだけですのに』と言って同情を引くみたいにさめざめと泣くので、騎士たちも彼女を気の毒に思い始めた。
さらに、その話が『エドワード王太子殿下が聖女様を冷遇して泣かせている』などという形で王妃様の耳に入ってしまったそうだ。
エドワードは王妃命令により、セシリアが私室に訪ねてきたら丁重にもてなさなければならないとされた。
その結果、セシリアは毎晩のようにエドワードの私室を訪ねて満足するまで居座り、隙あらば色仕掛けをしようとしてくるようになったらしい。
エドワードが寝不足なのは、彼女が夜分遅くなってもなかなか帰ろうとしないからだ。
少しでも強めに拒絶した途端に『ひどいわっ』と泣き出すし、かといって色仕掛けは回避したいので、エドワードは精神的にも少し参っているようだった。
豊穣祭とは一ヶ月ほどかけて行われるお祭りみたいなもので、城下町では連日いろんなマーケットが開かれてたくさんの人で賑わうんだよね。
もともと秋の豊かな実りを神に感謝する祭典でもあるので、大司教を中心とした神官たちにより、各地で神事が行われる。
今年は『聖女』であるセシリアの存在を王国中にアピールする目的で、彼女による神事が神殿や王宮で大々的に行われる予定だ。
それに伴って、セシリアは豊穣祭の季節に限り、特別に王宮の客室に滞在する許しを得たと聞いている。
大司教を通して「王宮に滞在したい」と駄々をこねまくり、最終的に陛下から許可をもぎ取ったらしい。
これは要するに、陛下がセシリアとエドワードが親密な仲になる可能性を黙認したということに他ならない。
教会から手厚い保護を受け、光魔法を自在に操ることのできる『聖女』が、王太子の妃になるのは王家からしても悪い話ではないからなぁ。
大司教と裏で繋がっている王妃様はもちろん、国王陛下も将来的にはセシリアをエドワードの妃の一人にしようという心算があるかもしれない。
セシリアはエドワードからの好感度があまり高くないことに薄々気付いてるみたいだし、これを機に関係を深めようとするだろう。
大好きな彼氏が下心丸出しの女性と半月近くも同じ屋根の下で生活するって思うと、あんまり良い気はしないよね。
でも、さすがに王宮までついていくわけにはいかないから、せめて学園では彼とセシリアが接触しないで済むように、俺はこれまで以上にエドワードと一緒に過ごしていた。
「最近よく眠れていないの?目の下に隈ができてる」
教室で休み時間中に喋っているとき、ふと気が付いて問いかける。
うっすらとした隈を人差し指で優しくなぞるように撫でると、エドワードは目を細めて苦笑した。
「最近、寝不足気味なんだ。まだ体調に支障は出ていないが、こんな生活が続いたら正直どうなるかわからないと思っている」
「なにか理由に心当たりがあるの?」
「あぁ」
彼は俺の手を取って、スリッ…と軽く頬を擦り寄せる。それから周囲に話が聞こえないように、手早く防音魔法をかけた。
「今、セシリア嬢が神事のために王宮に滞在しているだろう?実はこの頃、彼女の度が過ぎる行動に少し参っているんだ」
エドワードの話によれば、セシリアは身の回りの世話をする侍女たちの制止を無視して、毎晩のようにエドワードの私室を訪ねてくるのだという。
恋人でも婚約者でもないのに未婚の女性が男性の部屋を訪ねるのは、貴族社会ではタブー視されている。だから、エドワードも初日は王太子専属の護衛騎士たちに彼女を追い返させたらしい。
でも、セシリアが扉の前で『ひどいっ……!騎士様がこんなに非情な方々だとは思いませんでしたわ!私はただ、エドワード様ともっと親しくなりたいだけですのに』と言って同情を引くみたいにさめざめと泣くので、騎士たちも彼女を気の毒に思い始めた。
さらに、その話が『エドワード王太子殿下が聖女様を冷遇して泣かせている』などという形で王妃様の耳に入ってしまったそうだ。
エドワードは王妃命令により、セシリアが私室に訪ねてきたら丁重にもてなさなければならないとされた。
その結果、セシリアは毎晩のようにエドワードの私室を訪ねて満足するまで居座り、隙あらば色仕掛けをしようとしてくるようになったらしい。
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