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荷物は全部森田カバンに入れて、いざ出発!

返す保温の魔道具は忘れずに普通に入れたぞ。

「おはようございます!」

「おぉ、おはよう。ちょっと今手が離せねぇんだ!少し待っててくれ」

さてさて、では、店内見てみようかな。
店内は6畳くらいの広さで、商品棚が2つ。
って、あまり物が置かれてないな。
後は、本棚とカウンターくらいだった。
物は無いけど、埃もなく綺麗な店内だった。

ん?何か大きい箱?のような物が⋯⋯。何だろう?見た感じ、銀行のATMのような⋯⋯。
いきなりハイテクな物があったよ!これは、是非とも聞いてから暢君への手紙に書かねば!

「シン、すまん、待たせたな」

「あ、大丈夫です!保温の魔導具、お返ししますね!温かいままとか助かりました」

「そりゃあ、良かった。んで、今日も買っていくかい?」

「はい、お願いします。それで、今日も聞きたい事があるんですが」

今日のミッション!
①レベルとMPについて。
②魔力を流したらマジックバッグになった事について。
③持っていた本に触れさせたら、それが何か分かるようになっている事。
④旅をする上で、魔物とどう戦うか。

「昨日、魔力について教えて貰ったと思うんですけど、魔力って、個人によって何かこう決まった量とかあるんですか?」

「あぁ、魔力量は個人差があるぞ。レベルが上がると魔力量が増える場合もあるしな。レベルは魔物を倒す事で経験値が入るから、それで鍛えていくんだ。魔力量に関しては、他にも、魔力の圧縮や制御とか、まぁ使っている内に増える事もあるぞ」

「そうなんですね。ちなみに俺のレベルとか魔力量って分かります?」

「ギルドカードに付与されている魔法を使えば分かるぞ」

なるほど。出張ギルドが来るのを待つしかないのか。
よし、じゃあ次は。うーん、②と③は⋯⋯。
トルネさんを信じてみるか。じゃないと先に進まなさそうだし。

「あー、えー、あの次の質問なんですが⋯⋯出来れば秘密にしておいて貰いたい事なんですが」

「客商売は信用第一だ。安心しろ」

「ありがとうございます!えっとですね、昨日帰ってから魔力の練習してて、何となくコツを掴んだような気がしたので、これまた何となくカバンに魔力を流してみたんです。そしたら、マジックバッグになりました」

このまま流れで言っちゃおう!

「後、ついでに持っていた本に物を触れさせたら、それが何なのか分かるようになりました!こういう事ってよくあるんですか?」

おぉ、トルネさんの目と口がびっくりするくらい開いてるよ。
⋯⋯待つ事数分。

「お、おま、おま⋯⋯よく起きる事じゃねーから!!!はぁ?マジックバッグ!?本に触れさせたら分かるようになりましたぁ!?鑑定の魔導具じゃねぇか!」

「め、珍しい事なんですね⋯⋯」

『兄ちゃん、異世界人を驚かせたら、何かやっちゃいました?って言うのが定番らしいよ!アンチの大好物だって!』

脳内暢君、アンチの大好物だったら言いたくないよ。
兄ちゃん、平和主義。悪口、ダメ、絶対。

トルネさんが落ち着くまでちょっと待つか。
そうかぁ、珍現象だったかぁ。

「ふぅ、シン!それ他のやつには言うんじゃないぞ!」

はーい、肝に銘じます!

「しっかし、カバンがマジックバッグになるとか。まぁおそらくは、元々マジックバッグだった物が何かしらで封印されてて、魔力を流して解除されたってところだろうな。それから、鑑定の魔導具か⋯⋯。見せてもらってもいいか?」

少し悩んだけど、相談してるわけだから見せる事にした。
でも、【異世界に行ったら役に立つかもしれない辞典】だよ?異世界辞典だよ?中身元々白紙だったよ?

トルネさんは、パラパラ捲りながら、

「んー、これは俺には何も見えないな」

そのページ、白紙ですけどね。
書いてあるところまでページを戻して見せてみた。
念の為、魔導具のところじゃないページにした。

「いや、何も書いてないな。シンには見えるのか?」

「あ、はい。そうですね、このページには、初日の雑草とセイチョウ草が絵付きで書いてあります」

「そうか。だったらこれは、シン専用魔導具なんだろうな。とはいえ、このタイプの鑑定の魔導具は見た事がないからな、ちょっと試させてくれ。お前、字は読めるか?」

「うーん、故郷の字とは違うようで、多分読めないと思います」

トルネさんはそう言って、本棚から1冊薄い本を取り出して、辞典に触れさせた。
うん、何もないな!

「どうだ?⋯⋯何もないか。じゃあシンがやってみろ」

本を借りて、辞典にソッと。
感覚的には何も分からなかったけれど、書かれてる!

【初心者の為の 魔力・魔法】
魔力・魔法について書かれた本。初心者向け。
―――――こちら―――――

「俺の故郷の字で、魔力と魔法の本って書いてあります。初心者向けの」

「作者は分かるか?」

え?書いてないけど。うーん、謎のこちらってところを指で触ってみた。ゾワッと。

⋯⋯えぇぇぇ、何か本の内容出て来たんですけど!
これ、本買わなくてもいい感じになってますけど!
あ、作者っぽい名前があった!

「これですかね、ジーク=ティヤって書いてあります」

「ふむ、じゃあ、そのジーク=ティヤってのが何者か分かるか?」

それは流石に無理があるでしょー!!
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