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宿命とあり方

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大戦の翌日、3カ国は緊急会議を開いていた。
議題は、エーデルの処遇とカーン王国を今後どうするかだった。

「カーン王国についてですが、中途半端に魔術が浸透している為、我々マギア王国で監視させてはくれませんか?」
「マギアナ王女よ、それはちとずるくないかのう?わしら共和国だってカーン王国経由の商売ルートを失うのはかなりの痛手なんじゃがのう。」

言い合いが始まった。
やはりこうなったか、1対1の戦争ならまだしも、今回の戦争は3対1だ。
つまり、自国の利益になる様に動こうとするのは当たり前のことだ。
口論が激しくなる前に私は話し始めた。

「皆様落ち着いてください、現在カーン王国は大パニックしております。前国王は殺害され、気がついたらエーデルに洗脳を受け、何も知らないまま戦争に負け、そのあり方を他国が決めようとしている。この状況で国を統治したとしても、国民が暴徒化するのは目に見えております。」
「ライネス帝国の軍師様ならどうします?」

マギアナ王女が答えを求めてきた。

「幸い我々は、軍事、魔法、商売と栄えてるものがちがいます。そこを分担し監視したら良いかと。そして、暴徒化を防ぐため国民には、前国王の代わりにユーナ女王が統治していることにしたら良いのでわないでしょうか?。」
「じゃが、わしらは所詮同盟を組んでいるだけ。いつか争いが起きてしまうのではないかのう?」
「そこで私から提案があります。これからは、3つの国を1つの国に、連合国にしてはいかがでしょう?」

「つまり、1つの国を3人で治めろと?」

「左様でございます。1つになったとは言え地形が変わるわけではございません。なので、今まで通り自国を納めていただければと思っております。」

「呼び方1つで戦争を回避できるなら、わしは賛成じゃ。」

「わたくしも賛成いたします。」

「じゃあ決まりだな、俺たちは今日より連合国として国を納めていく。各国の衛兵よ、このことを大至急国民に知らせよ!」

衛兵達は急足で部屋を出ていった。

「後はエーデルについてだが...」

「彼は魔法の技術が少なくともありますゆえ納得のいかない結果だと何をするか分かりませんね。」

マギアナ様は忘れているのか?もう一つ頼んでいた魔法のことを。

「マギアナ様、記憶消去の魔法を使っては如何でしょう?」

マギアナはハッとした顔をした。

「その魔法も頼まれていましたね。洗脳の魔法のことで頭がいっぱいで忘れていましたわ。」

恥ずかしそうにマギアナは言った。

「では、魔法に関する記憶を消したのちに処刑でどうでしょう?」

「賛成じゃ」
「異論なしです。」 

「では、処刑の日程はまた後日話し合うと言うことで、今回は終了させていただきます。」

全ての議題が終わり、会議は無事終了した。
部屋を退出するガンマを呼び止め、後でマチルダ含め3人で話したいと伝えた。

その日の夜伝えた通り3人で集まった。
「急に呼び出してすまない。1つ伝えなければならないことがある。」
「何なの急に、もしかして前回の記憶のこと?」
「でもあれは、お前が処刑されるって話だろ?今となっては関係ないんじゃないか?」
「あぁ、処刑は回避できたが私が死ぬ定めは回避できないみたいだ。」
「嘘よ...何でそんなことわかるのよ!」
「自分の死と帝国滅亡に関しては薄々気が付いてたんだよ。」
「帝国滅亡だと?それも初耳だぞ!いつ滅亡するんだよ!」
「もうしたじゃないか、帝国から連合国になった時に。」

ライネス帝国が連合国に変わった瞬間事実上帝国は滅亡したのだ。

「何だよ名前が変わっただけじゃねーか、驚かせやがって」

いや、だいぶ大事なことだぞ?と思いながら続けた。

「実は戦争が終わってすぐ病に蝕まれてな、血は吐くし力が抜けるしで、今立ってるのだって結構ギリギリな状態何だよ。」

「何でもっと早く言わなかったんだよ!ってことは今日の会議もそんな状態で出てたのか⁉︎」

驚きを隠せないガンマは大きな声を出した。

「参加しないとカーン王国を巡り2国に攻められ滅亡を迎えるとこだったんだぞ。」
「お前まさかそれを阻止するために会議に主席したのか?その体で!」

「最悪を阻止するにはそれしかなかったんだよ。」

マチルダも困惑しながらも尋ねてきた。

「ローレンは死ぬのが怖くないの?私だったら、もう直ぐ死ぬって分かってたらおかしくなっちゃうよ...」

「初めは怖かったが、2回目だからなぁ、よくわからないし、恐怖心も不思議とないんだよ。」

本当に死ぬ事については怖くなかった。

ローレンが死ぬことが事実だとわかって、
2人は今にも泣き出しそうな顔をしていた。

「そんな顔するなよ、今すぐ死ぬってわけじゃないし、まだ数日あるんだ。やれる事はやっておくさ。」

「お前まだっ!」
ガンマが話そうとしたのをマチルダが遮った。

「ローレンの好きにさせてあげようよ、それが私達に出来る事なら。」

「ありがとな、流石我らが騎士団長だ。」 

しばらくの沈黙の後、私達はいつも通りでいようと話し合い。少し雑談をしたのち自室へ戻っていった。
「私がいなくてもあいつらなら大丈夫だろう。今は死ぬまでの間に私ができることをやるしかない。」

そうして私は連合国と友の為に緊急事態の対処法を記した本を数日かけ書き上げた。
その頃にはもう立つ事は愚か力を入れる事さえ出来なくなっていた。
数日がたったある日
「そろそろ...かな...」
自分でも意識が遠ざかっていくことがはっきりとわかった。
部屋にいた医師は慌てて私を診断したが、手遅れな事に気づきガンマ達を呼びにいった。
ガンマ達が到着した頃、私の意識は途切れかけていた。

弱々しい姿の私を見たガンマが声を振るわせながら言った。
「ローレンよ、これまでの策見事であった。これからのことは我々に任せゆっくり休むが良い。」

「全員!軍師殿の旅立ちに敬礼!!」
マチルダは涙を流しながら騎士団に命令した。

私は最後の力を振り絞り2人に話しかけた。
「陛下、マチルダ私は一足先に行って貴方達を見守っております。間違ってもすぐこっちに来ないでくださいね。」
そう微笑みながら言いった。
ローレンが最後に見た光景は、最初の怒りや憎悪とは違い笑顔と祝福に満ちた光景が広がっていた。

宿命は変えられなくても、あり方は変えられた、この光景が見れて私は大満足だよ。

処刑された未来を変え信じた者達に看取られながらローレンは眠りについた。

                    完





最後まで読んでいただきありがとうございました!
小説を書いたのはこの作品が初めてなので、設定や口調がおかしくなったりして読みづらかったと思います。誠に申し訳ありません!
これからも少しずつ投稿していく予定なので、良ければ今後ともよろしくお願いいたします。
それでは!次の作品でまた会いましょう!

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