メルドリアスの遊戯世界 ~異世界転生ハーレムキャラバン~ 【健全版】

猫野 にくきゅう

文字の大きさ
1 / 170
農場奴隷編

第1話 何者にもなれないまま死んだ

しおりを挟む

「えっと、異世界転生──ですか?」

 俺は自分の部屋の机の上にある、ノートパソコンの画面に表示されている女神を自称する美女の言葉を、確認するように聞き返した。

「そうです。あなたの魂は、転生候補に選ばれました」
「──はあ」

「ですので、これから私の作った異世界に、プレイヤーとして転生して貰います」
「そう、ですか──」

「……もっと喜んでくれるものだと思っていましたが、意外と反応が薄いのですね」
「ああ、いえ、いまいちこの状況に、理解が追い付いていなくて──」


 (俺は確か、横断歩道に突っ込んできたトラックにはねられて、そして──)

「はい、あなたはトラックにはねられて死にました。今のあなたは、魂と呼ばれる状態です。あなたと落ち着いて話をするために──その部屋は、一時的に私が構築しました」

 (──うおっ、普通に心を読まれた)

「私にとっては造作もないことです」
「えっと、それで俺に話というのは──?」

「切り替えが早いですね。流石は私の見込んだ魂です」


 画面越しの女神さま(メルドリアスという名前らしい)の説明によると、日本のレトロRPGゲームをやってみたら面白かったので、自分も異世界を作って、そこにプレイヤーを送り込もうとしているそうだ。

 自作の異世界に転生させる魂を見繕い、見込みのありそうな転生体には特別な力を与えることにしたらしい。
 その力を確保するために、運命を操作して対象の寿命を縮めたのだそうだ。


「運命力を操作した結果──『ひきこも童貞デブニート』だったあなたは、巻き込まれる予定ではなかった、交通事故に巻き込まれて死んだのです」

 そして俺の九十六歳まで生きるはずだった命は、四十六歳で終了し、その縮まった分の運命エネルギーを、俺の魂に応じた特別な力に変えて、転生体に付与されることになるらしい。

 なんとも壮大な話だな。
 普通に会社に入ってゲームを作る、とかでは駄目だったのかな?
 ダメだったのだろう、何せ女神様だ。
 自分の格に相応しい、スケールの大きいことをしたかったのだろう。


「ふふっ、あなたは怒らないのですね。他の人は『ふざけんなっ。あんた何様のつもり。生き返らせろよ。人権を無視するな。』等など怒り狂っていましたが──私にとても感謝した感心な子はたった一人でした」

 女神メルドリアスはにっこりとほほ笑んで俺に問いかける。

 
「まあ……もう死んでるのに怒っても仕方がないというか──どのみち、ただの引き籠りでしたし……」


 正直に言うと『せめて事前に確認してくれ』という気持ちはなくはない。

 引き籠りと言っても、そうなる前まで働いて溜めた貯金はそこそこあったし、家で稼げる作業で、多少の収入は入っていたし──半年ほど前に足を痛めたことをきっかけに食事制限のダイエットを続けて、全盛期と比べて二十キロほど減量し成果を出していたのだ。それでもまだ太ってはいたし、この先の人生に漠然とした不安はあった。しかし、まだ人生を捨てたわけではなかったのだ。

 勝手に終らすなよ、と口にしそうになって止める。

 俺の直感とか本能とかが、恐ろしさを感じ取って警告を発してくるのだ。『マジでヤバいから、コイツには逆らうな』と、この女神さまを俺は畏れまくっているのだ。

 神様というだけあって、人間とは存在の次元が違う。
 文句を言ったり、条件を出したりしようとは思えなかった。
 少なくとも俺の目の前の神様は、人間ごときの無礼を寛大な心で許容してくれる存在には思えない。

 触らぬ神に祟りなしだ。



「それよりも異世界に転生できるんですよね。ゲームのような……えっと、剣と魔法のファンタジー世界に、特別な力を持って──」
 
 俺は話題を変えて、女神様に尋ねる。


「ええ、あなたの魂は『王』になる素質がありました。──私は異世界へと送る魂をランダムに二百六十選出したのですが、その中で『王』になる可能性を秘めた魂は六つだけです。喜んでください、あなたはそこそこのレアものでしたよ」



 『王』候補以外の転生者もその魂に応じて、特技やスキルや職業といった才能に恵まれたり、地位の高い家に生まれたりするそうだ。

「ですが少し、イレギュラーが発生しました」


 女神メルドリアスの創造した世界に送られる予定の転生者は、俺を含めて二百六十二人になるらしい。ランダムに選ばれたのが二百六十人で、後の二人は?


「二人の、女子高生です」

 その女子高生というのが、俺と一緒に事故で死んでしまった子達らしい。
 正確にはその二人はそこで死ぬ運命だったらしく、その二人が死ぬ運命に、俺がお邪魔してしまったそうだ。

「その二人とあなたの運命の糸は、複雑に絡まり合ってしまいました。転生先でもすぐ近くで生きていくことになるでしょう。──気が向いたらでいいのですが、その二人のことを守ってあげて下さい」


 気が向いたら──か、どうやら強制ではないらしい。

 (まあ、気に掛けるくらいはしてやるか──)



 転生者は全員が同じ年に生まれることになる。
 そして、ある程度成長してから、自分の前世の記憶を思い出す。
 そういう仕様になっているそうだ。


 赤ん坊の時から能力を鍛える。とかは出来ないわけだ。
 非力な幼児時代をスキップできると考えれば、むしろ良いかもしれない。

 少なくとも前世の記憶が戻るまでは、死ぬことは無い。


 
 女神による俺への説明はここまでだった。
 後はこの部屋のドアを開けて外に出れば、俺の魂は異世界に送られる。

 自分のタイミングでドアを開けるように言い残して、ノートパソコンの画面から女神が消えた。


 俺は暫らく、自分の考えを整理していた。

 考えがまとまると、俺は椅子から立ち上がり部屋の扉の前に移動する。
 ドアノブに手をかけ、覚悟を決める──

 これまでの自分の人生で、俺は何者にもなれなかった。
 そんな俺が転生して、何をしたいのか──

 定番だが──やっぱり一番はハーレムだよな。
 好きな小説に『奴隷ハーレム』ものは、何作かあるし──
 それと、強くなって冒険者になりたいし、金儲けもしたい。
 
 うわべを取り繕わずに欲望に正直になれば、結局のところ金、女、暴力。


「まあ、そうなるか。うん、俺が異世界で目指すのは──何かの王になれるのなら、俺は『ハーレム王』になる」

 俺は欲望と決意を胸に、異世界へのドアを開いた──。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…

美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。 ※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。 ※イラストはAI生成です

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

男が少ない世界に転生して

美鈴
ファンタジー
※よりよいものにする為に改稿する事にしました!どうかお付き合い下さいますと幸いです! 旧稿版も一応残しておきますがあのままいくと当初のプロットよりも大幅におかしくなりましたのですいませんが宜しくお願いします! 交通事故に合い意識がどんどん遠くなっていく1人の男性。次に意識が戻った時は病院?前世の一部の記憶はあるが自分に関する事は全て忘れた男が転生したのは男女比が異なる世界。彼はどの様にこの世界で生きていくのだろうか?それはまだ誰も知らないお話。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

処理中です...