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冒険者編
第37話 山賊が現れた 1 B
しおりを挟むじっと息を潜めて、敵が目の前を通り過ぎるのを待つ。
山賊たちは、荷馬車で何かを運んでいる。
山賊の荷車の中を、空間探知で調べる。
中には人……?
──が、二人がいる。
人と言って良いのか解らないのは、二人の少女には角が生えているからだ。
直接魔力を流して鑑定すれば、もっと詳しい情報が手に入るのだが──
二人とも縛られているし、状況的に山賊に捕まったのだろう。
助け出してから、詳しく話を聞いてみよう。
山賊の集団は──
俺から見て、右方向から左へと通り過ぎた。
最後尾の奴の、後ろ姿が見える。
この辺で良いだろう。
俺は魔法で石つぶてを、三十個ほど作り上げて発射する。
山賊たちの進行方向の、右側にいる奴らを狙った。
山賊が馬車を盾に、立ち回ると面倒だ。
それに、右側には魔法使いと思わしき奴もいる。
最初の奇襲で、潰しておきたい。
俺の放った石つぶてを喰らった山賊たちは、悲鳴を上げながらその場に倒れ伏す。
この近距離から放った石は、山賊の身体を貫通している。
革の鎧を着ている奴もいるが、それも難なく貫いている。
攻撃を受けた山賊の、阿鼻叫喚の悲鳴があたりに響いている。
攻撃された奴以外は、まだ何が起きたのか把握できていない。
俺は木の上からさらに、土魔法で石つぶてを三十個作り、敵に向けて放つ。
全部で十一人が、地面に倒れ込んでいる。
ようやく残りの山賊たちも、襲撃を受けていることを理解したようだ。
六人が悲鳴を上げながら、散り散りに逃げていく。
まだ戦意を失っていない残りの二人は、手に武器を構え戦闘態勢で、キョロキョロと周囲を警戒する。
「どこに居やがる。出てこい卑怯者っ!!」
構えている武器は、シミターと呼ばれる三日月状の刃の刀だ。
俺は装備した弓を引き、山賊に向かって矢を放った。
辺りは夕暮れから、夜に入りかけている。
暗闇が、山を包みだす。
俺は山賊を弓で攻撃し続けて、二人を行動不能に追い込む。
これで全部で、十三人の山賊を無力化した。
石つぶての攻撃を喰らって、まだ動ける奴もいる。
当たり所が、良かったのだろう。
きっちり追加で矢を当てて、無力化しておく。
後は、逃げ出した六人だ。
魔力探知の効果はまだ残っているので、場所は把握できている。
山の奥に入りすぎると、強い魔物に出くわす恐れがある。
あまりここから離れずに、身を潜めている。
俺は短剣を装備すると、木から降りて残党狩りに向かう。
隠れている敵に、見つからない様に近づいて──
後ろから、急所に短剣を突き刺す。
逃げ出したやつらの、戦闘能力は高くない。
俺はその作業を、数分で終了させた。
さて、後は馬車周りの敵だ。
止めを刺して回る──
装備を槍に切り替えて、まだ息のある山賊から、順番に殺して回る。
意外と、呆気なかったな。
そう思い最後の一人に、止めを刺そうとしたとき──
そいつは俺の、予想外の行動に出た。
そいつは、地面に頭と両手をつける。
身を縮こませながら、こう言った。
「た、助けてくれ、お、俺は転生者なんだ!!」
「そうか──」
「お前もだろう、なあ、見逃してくれよ。た、頼むッ!!」
「──断る」
俺は静かに、槍を構え──
土下座スタイルで、許しを請うそいつに、突き刺した。
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