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冒険者編
第52話 ★外伝 その他の転生者 ムネノリン・オマールン 2
しおりを挟むムネノリンが前世の記憶を取り戻してから、二年が経過した。
ある日、山賊のお頭から大掛かりな仕事に、参加するように言われる。
普段は自由行動を認められているムネノリンだが、今回のような大仕事には駆り出されることもある。
特に今回は、オマールン家からの依頼だ。
この依頼を上手くやれば、実家に帰れるかもしれないと言われた。
依頼内容は──
小鬼族の村の襲撃と、子供の拉致である。
小鬼族は強かった。
背丈は子供ほどしかないが、山賊仲間は何人もやられてしまった。
(しかし、お頭の強さは異常だし、こっちには魔法使いまでいるんだ──)
小鬼族との戦いは、持久戦になった。
小鬼族は最初の襲撃を、見事に防いだ。
その後は木で柵を作り、バリケードを構築して山賊の侵入を跳ね返す。
山賊側は攻略戦を、最初から見直すことを余儀なくされた。
まずはムネノリンの配下の魔法攻撃で、小鬼族の作ったバリケードを破壊。
これを時間をおいて、くり返す。
小鬼族は魔法抵抗が強いので、直接は狙わない。
山賊は矢を放ち、風上で火を燃やし小鬼族の村を煙で燻す。
敵の挑発に業を煮やした小鬼族の戦士達が、特攻して強引に接近戦を仕掛ける。
戦闘時に、小鬼族の身体は硬化する。
小鬼族の戦士達は、山賊を数人仕留めるも、山賊の親分に返り討ちに遭う。
山賊の親分も、小鬼族と同じような身体硬化のスキルを使えた。
同じ条件で戦えば、体格の良い親分に分があった。
純粋に力で負けたことで、戦意を喪失した小鬼族は山賊に白旗を上げる。
ムネノリンはお頭の命令で、小鬼族の差し出した生贄を受け取りに行った。
彼に任された仕事は生贄を確認し、そのまま荷馬車でサイザルの町の壁外地区の拠点に運ぶだけだ。運び終えれば、そこでムネノリンたちの仕事は終わり──
その後の荷物の運搬は、別組織が担う手はずになっている。
小鬼族との戦闘は骨が折れたが、ここから先は楽な仕事だ。
──と、山賊の多くはそう思い、山道を歩いていた。
そこで、何者かによる奇襲攻撃を受ける。
山賊達は何が起きたのか、最初は解らなかった。
いつもは自分たちが攻撃する側で、攻撃を喰らうことなど滅多にない。
──いや、そもそもムネノリンは、二十人近い大所帯など狙わない。
勝てない相手とは、最初から戦おうとはしない。
だからこそ、大人数の自分たちが、襲われるなんて思いもよらなかった。
最初の奇襲で半数が削られ、虎の子の魔法使いまで倒れている。
(ひょっとして、小鬼族の奴らが、逆襲に来たのか?)
(いや、連中の中に魔法使いは居なかった。助っ人を頼んだか?)
(──だったら人質を盾に)
(最初の攻撃は魔法だろ? なら、暫くは次を撃てない──)
ムネノリンは拉致してきた小鬼族を人質しようと、そちらに気を逸らした。
その瞬間に、再び襲撃者の魔法攻撃が飛来した。
(馬鹿なっ、魔法スキルはインターバル期間があるはず……魔法使いが二人いるのか──だが、もう魔法は撃ち切ったはず)
「どこに居やがる。出てこい卑怯者っ!!」
ムネノリンは大声を上げて、襲撃者を挑発する。
帰ってきたのは、的確に急所を狙った弓矢だった。
ムネノリンと逃げなかったもう一人は、行動不能のダメージを受ける。
襲われたことに気付いた他の山賊仲間は、我先にと逃げ出していた。
襲撃者は逃げた山賊仲間を、追いかけていったようだ。
(──今のうちに、少しでも遠くへ逃げよう)
ムネノリンには『HP自動回復強化』というスキルがある。
このスキルのおかげで、致命傷を負ったはずのムネノリンが、少しの時間で這って動けるくらいに回復した。
(敵は一人、なのか? だったら……逃げ切れるかも──)
しかし襲撃者は、ムネノリンの希望を打ち砕くように再び現れて、仲間たちに止めを刺していく。
そこでムネノリンは襲撃者の姿を初めて見る。
そしてあることに気付いた。
(こいつは俺と同じ転生者だ。──そうでなきゃ、あの歳でここまで強くはなれないだろう。だとするとまだ、こいつから逃げる手はある──)
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