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聖女を追放した国の物語
第16話 混沌のゾポンドート領
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ゾポンドートが戦死した。
その情報の真偽の確認と、現地の情勢把握を念入りに行わせる。
しかし、ゾポンドートが死んだとなれば、向こうは混乱を極めているだろう。
これからどう事態が動くのか予測は難しい。
事態がどう推移してもいいように、アルデラン領から物資の補充を進めておこう。
ゾポンドート戦死の報から五日が経過した。
これまでに情報ギルドが上げてきた報告書をまとめておく。
統率者を失ったゾポンドート軍は、自然と離散して瓦解した。
離散した貴族や兵士は、自分の故郷や拠点に逃げ帰る。
場所によっては、広がった農民の反乱の餌食になった領主もいるという。
ゾポンドートを打ち取った農民主体の反乱軍は、もぬけの殻状態のゾポンドート城を占拠し、略奪と虐殺を開始。
城内の貴重品を持ち去り、取り残されていた使用人を殺して回ったそうだ。
ゾポンドート領内の貴族の中からは、俺の所に帰参と保護を求める使者が送られてくるようになった。もうこうなっては謀反どころではないからな。
ゾポンドート城を占拠中の反乱軍と意思疎通を図る為に使者を送ったが、矢を射かけられて追い払われた。
俺と話をする気はないようだ。
暗殺ギルドから入った情報では、反乱軍内は今後の方針や主導権を巡って、派閥争いが発生しているらしい。
反乱軍自体が安定しておらず、今こちらからは手の出しようがない。
貴族側の動きとして大きなものは――ゾポンドートの配偶者とその子供達が城を逃げ出して、なんのつもりかここに来た。
そいつらは自分たちを保護しろだの、早く農民を大人しくさせろだのと偉そうに言ってきたので、捕まえて捕虜にして王都へと送り付けてやった。
それとは別口で、ゾポンドートの弟という地方領主からの使者が来て、俺に恭順する意を伝えてきた。
ゾポンドートは流石に大貴族だけあって、親類縁者は多い。
ゾポンドートの弟か――
この騒乱の中で、まだ領地を維持できている奴だ。
そこそこ優秀だろう。
それにこれからの、この地の統治を考えると都合がいい。
俺は手を組むことにした。
いずれはそいつが、この東の領地を治めることになるだろう。
四大貴族は王国の傘下に入る前は、それぞれ王を名乗って独立していた時期がある。そのため政治的な配慮から、この東の領地はゾポンドートの血筋の者に統治させる必要がある。
俺がこの地に居座り続けると、他の大貴族の反発が起こる。
いずれは自分たちの領地も、乗っ取られると危惧するからだ。
ゾポンドートの血筋の者を側近にして、いずれは後を託すと言っておけば、余計な波風は立たない。
ゾポンドートの戦死から十日が過ぎた。
反乱軍はロブドという男が、内部を掌握してトップに立ったそうだ。
ロブドはリーズラグド王国の新国王を名乗り、手始めに領内の貴族宛に召集令状を送り付けているらしい。
なんでも、自分が新国王になったので挨拶に来い。
その際に税金と兵士を献上しろ。
貴族が納める税金は、それぞれの領地の収穫量の五十パーセントで、払えなければ財産を没収する。
――という中身だったそうだ。
さらに、ゾポンドートの直轄領だった領地の農民たちにも五十パーセントの税を収めろと言って取り立てているらしい。
リーズラグド王国では春と秋に、それぞれの収穫量に応じて税金を徴収している。
国王直轄領で収穫量の三十パーセント相当の硬貨を収めることになっている。
他の貴族領の税率も大体そのくらいだ。
ゾポンドートの所は六十パーセントだったので、多少は減税されている。
しかし春の税金を納めた直後で、もう一度税を収めろと言われても到底払える状況にない。貴族から税金を取ろうとしている所も論外だ。
農民に無茶な税を吹っ掛けているのは、払えない奴から血税を取る目的だろう。
要は金が無いなら身体で払え、とばかりに農民を兵士として徴用する気だ。
貴族に対する納税要求は――
もう最初から、貴族を反乱軍に取り込む気が無いだけだとしか思えない。
このロブドという男は放置しておけば、ゾポンドート以上にこの国に混乱をまき散らすだけだ。早急に始末する必要がある。
ロブドからの使者は、俺の所にもやって来た。
大人しく降伏しろ。
そうすればお前の命と引き換えに部下の命は助けてやる。
だ、そうだ――
俺は使者を、その場で切り捨てるように命じる。
使者が切り殺されたのを見て、ロブドの使節団は一目散に逃げ帰っていった。
「さて、これで攻めてきてくれると助かるんだが――」
時間をかければ領内の混乱が広がるだけだが、城に籠る敵を攻めるのは味方の被害が大きいし、時間もかかる。
俺としてはロブドに攻めてきて欲しいところなので挑発してみたが。
――これで攻めてきてくれるなら助かる。
使者を切り殺してから三日後――
ロブドが動員できる全軍を率いて、打って出たと知らせが入った。
今度こそ合戦が出来そうだ。
その情報の真偽の確認と、現地の情勢把握を念入りに行わせる。
しかし、ゾポンドートが死んだとなれば、向こうは混乱を極めているだろう。
これからどう事態が動くのか予測は難しい。
事態がどう推移してもいいように、アルデラン領から物資の補充を進めておこう。
ゾポンドート戦死の報から五日が経過した。
これまでに情報ギルドが上げてきた報告書をまとめておく。
統率者を失ったゾポンドート軍は、自然と離散して瓦解した。
離散した貴族や兵士は、自分の故郷や拠点に逃げ帰る。
場所によっては、広がった農民の反乱の餌食になった領主もいるという。
ゾポンドートを打ち取った農民主体の反乱軍は、もぬけの殻状態のゾポンドート城を占拠し、略奪と虐殺を開始。
城内の貴重品を持ち去り、取り残されていた使用人を殺して回ったそうだ。
ゾポンドート領内の貴族の中からは、俺の所に帰参と保護を求める使者が送られてくるようになった。もうこうなっては謀反どころではないからな。
ゾポンドート城を占拠中の反乱軍と意思疎通を図る為に使者を送ったが、矢を射かけられて追い払われた。
俺と話をする気はないようだ。
暗殺ギルドから入った情報では、反乱軍内は今後の方針や主導権を巡って、派閥争いが発生しているらしい。
反乱軍自体が安定しておらず、今こちらからは手の出しようがない。
貴族側の動きとして大きなものは――ゾポンドートの配偶者とその子供達が城を逃げ出して、なんのつもりかここに来た。
そいつらは自分たちを保護しろだの、早く農民を大人しくさせろだのと偉そうに言ってきたので、捕まえて捕虜にして王都へと送り付けてやった。
それとは別口で、ゾポンドートの弟という地方領主からの使者が来て、俺に恭順する意を伝えてきた。
ゾポンドートは流石に大貴族だけあって、親類縁者は多い。
ゾポンドートの弟か――
この騒乱の中で、まだ領地を維持できている奴だ。
そこそこ優秀だろう。
それにこれからの、この地の統治を考えると都合がいい。
俺は手を組むことにした。
いずれはそいつが、この東の領地を治めることになるだろう。
四大貴族は王国の傘下に入る前は、それぞれ王を名乗って独立していた時期がある。そのため政治的な配慮から、この東の領地はゾポンドートの血筋の者に統治させる必要がある。
俺がこの地に居座り続けると、他の大貴族の反発が起こる。
いずれは自分たちの領地も、乗っ取られると危惧するからだ。
ゾポンドートの血筋の者を側近にして、いずれは後を託すと言っておけば、余計な波風は立たない。
ゾポンドートの戦死から十日が過ぎた。
反乱軍はロブドという男が、内部を掌握してトップに立ったそうだ。
ロブドはリーズラグド王国の新国王を名乗り、手始めに領内の貴族宛に召集令状を送り付けているらしい。
なんでも、自分が新国王になったので挨拶に来い。
その際に税金と兵士を献上しろ。
貴族が納める税金は、それぞれの領地の収穫量の五十パーセントで、払えなければ財産を没収する。
――という中身だったそうだ。
さらに、ゾポンドートの直轄領だった領地の農民たちにも五十パーセントの税を収めろと言って取り立てているらしい。
リーズラグド王国では春と秋に、それぞれの収穫量に応じて税金を徴収している。
国王直轄領で収穫量の三十パーセント相当の硬貨を収めることになっている。
他の貴族領の税率も大体そのくらいだ。
ゾポンドートの所は六十パーセントだったので、多少は減税されている。
しかし春の税金を納めた直後で、もう一度税を収めろと言われても到底払える状況にない。貴族から税金を取ろうとしている所も論外だ。
農民に無茶な税を吹っ掛けているのは、払えない奴から血税を取る目的だろう。
要は金が無いなら身体で払え、とばかりに農民を兵士として徴用する気だ。
貴族に対する納税要求は――
もう最初から、貴族を反乱軍に取り込む気が無いだけだとしか思えない。
このロブドという男は放置しておけば、ゾポンドート以上にこの国に混乱をまき散らすだけだ。早急に始末する必要がある。
ロブドからの使者は、俺の所にもやって来た。
大人しく降伏しろ。
そうすればお前の命と引き換えに部下の命は助けてやる。
だ、そうだ――
俺は使者を、その場で切り捨てるように命じる。
使者が切り殺されたのを見て、ロブドの使節団は一目散に逃げ帰っていった。
「さて、これで攻めてきてくれると助かるんだが――」
時間をかければ領内の混乱が広がるだけだが、城に籠る敵を攻めるのは味方の被害が大きいし、時間もかかる。
俺としてはロブドに攻めてきて欲しいところなので挑発してみたが。
――これで攻めてきてくれるなら助かる。
使者を切り殺してから三日後――
ロブドが動員できる全軍を率いて、打って出たと知らせが入った。
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