103 / 126
追放された聖女の物語
第74話 悪魔へと至る道程 7 A
しおりを挟む
私は激痛に苛まれながら、困惑する。
いきなり黒い塊に襲われたと思ったら、顔の半分が爛れてしまっている。
いったい、何が起こった?
――何だ、これは?
「あー、さっきの聖女はんの攻撃、綺麗に跳ね返されましたなぁ。まあ、あれや、人を呪わば穴二つっちゅうやっちゃな! あっははッ!!」
あっはは、じゃあないわ。
何よそれ!!
私の攻撃が跳ね返されて、こうなったの?
――それじゃあ、あの偽聖女が?
何であいつが、そんなこと出来るのよ!!
「う~ん、あの偽聖女はんな。冥界神っちゅうごっつい神様の加護受けてはんねん。それで呪いを跳ね返してな、聖女はんの綺麗な顔が、こないなことに……」
「じょ、冗談じゃないわ! あんた、攻撃しても大丈夫って言ったじゃない!!」
私はベルゼブブに抗議する。
「いや、ワイ大丈夫とは、言うとらんよ。あの偽聖女はんの中に、死神はもうおらんて、言うただけで……嘘はついてへんよ」
くっ、この糞悪魔――
屁理屈を言いやがって……。
どうやら偽聖女に放った呪いは、こっちに返されたようだ。
だが、これと同じ苦痛を、阿呆王子も受けている。
奴にダメージを与えられたなら、今回は痛み分け――
「いや、残念ながら、あの王子はんも無傷でっせ。あの王子はんな、邪竜王はんに呪われてますねん。この世界最強の、竜の呪いや――いくらこのワイ、悪魔ベルゼブブさんの呪いでも、あれには勝てまへん」
――は?
じゃあ、なに?
奴に放った呪いは、無駄打ちだったというの?
「そやねん、あの王子はんは化け物ですわ。――呪いを受けた者の気を狂わせて、怒りを増大させて、手当たり次第に人を殺すようになるっちゅう、えげつない呪いをうけて、いまだに正気を保っとる。それどころか、呪いの力を制御して、利用してるなんてな。チーターやでチーター!!」
こいつはそれを知っていて、私に奴らを攻撃するように仕向けていた……。
こうなることが、解かっていて――
何が狙いだ?
この悪魔は味方面しているけれど、味方ではない。
こいつの真意を見極めないと、取り返しのつかないことに――
いや、待て……
今はこいつの狙いを、悠長に考えている場合ではない。
この牢屋には、豪華な調度品がしつらえられている。
牢屋には必要のない鏡も、部屋にある。
私はその鏡を見て、愕然とする。
顔の半分が、爛れた醜い顔を……。
この顔を見られてしまえば、チェルズスカルに見切りを付けられる。
あの男はナルシストで、人の顔の美醜にも五月蠅い。
あいつが私を気に入っているのは、適当に即興で作った『家族の為に』という嘘話が受けたのもあるが、それ以前に――
私の顔が美しいという、前提があってのことだ。
私の顔が醜ければ、あいつは――
早く!
ここから、逃げなければ……。
聖女殺害の実行犯として、どんな処罰を受けるか――
最悪……拷問されて、公開処刑される。
なんてことにも、なりかねない。
だがここは、牢屋だ。
逃げたくても、逃げれない。
どうすれば――
「なんや、ここから出たいんか? それやったら、ここから出られる力を与えれんで? どないする、聖女はん?」
――?!
ここから脱出できる力――?
コイツの言うことは、信用できない。
悪魔の助言に、従うのは危険だ。
だが、私に対してこれまで『嘘』はついてこなかった。
ここから出れる、というのは本当だろう。
危険だが、選択肢がない。
「いいわ、ベルゼブブ!! あんたの言うその力を、私によこしなさい!!」
「……ええよ、ほな。これを飲んで貰いまひょか」
ベルゼブブはそう言うと、自分の身体を材料に醜悪な液体を作り出した。
それを取り出したコップに、なみなみと注ぐ。
き、汚らしい!!
こ、これを私に飲めというの??
でも、ここから逃げる為には――
私は吐き気を押さえ、その醜悪な液体を無理やり飲み込んだ。
「ぐっ、ごほっ、ごほっ……」
悪魔の作りだした液体を飲み込んだ私は、自分の身体を無数のハエへと変化させることが出来るようになった。
無数のハエへと変化した私は、ベルゼブブと共に牢を抜け出し、そのままチャルズコートを出国し、ピレンゾルへと向かう。
いきなり黒い塊に襲われたと思ったら、顔の半分が爛れてしまっている。
いったい、何が起こった?
――何だ、これは?
「あー、さっきの聖女はんの攻撃、綺麗に跳ね返されましたなぁ。まあ、あれや、人を呪わば穴二つっちゅうやっちゃな! あっははッ!!」
あっはは、じゃあないわ。
何よそれ!!
私の攻撃が跳ね返されて、こうなったの?
――それじゃあ、あの偽聖女が?
何であいつが、そんなこと出来るのよ!!
「う~ん、あの偽聖女はんな。冥界神っちゅうごっつい神様の加護受けてはんねん。それで呪いを跳ね返してな、聖女はんの綺麗な顔が、こないなことに……」
「じょ、冗談じゃないわ! あんた、攻撃しても大丈夫って言ったじゃない!!」
私はベルゼブブに抗議する。
「いや、ワイ大丈夫とは、言うとらんよ。あの偽聖女はんの中に、死神はもうおらんて、言うただけで……嘘はついてへんよ」
くっ、この糞悪魔――
屁理屈を言いやがって……。
どうやら偽聖女に放った呪いは、こっちに返されたようだ。
だが、これと同じ苦痛を、阿呆王子も受けている。
奴にダメージを与えられたなら、今回は痛み分け――
「いや、残念ながら、あの王子はんも無傷でっせ。あの王子はんな、邪竜王はんに呪われてますねん。この世界最強の、竜の呪いや――いくらこのワイ、悪魔ベルゼブブさんの呪いでも、あれには勝てまへん」
――は?
じゃあ、なに?
奴に放った呪いは、無駄打ちだったというの?
「そやねん、あの王子はんは化け物ですわ。――呪いを受けた者の気を狂わせて、怒りを増大させて、手当たり次第に人を殺すようになるっちゅう、えげつない呪いをうけて、いまだに正気を保っとる。それどころか、呪いの力を制御して、利用してるなんてな。チーターやでチーター!!」
こいつはそれを知っていて、私に奴らを攻撃するように仕向けていた……。
こうなることが、解かっていて――
何が狙いだ?
この悪魔は味方面しているけれど、味方ではない。
こいつの真意を見極めないと、取り返しのつかないことに――
いや、待て……
今はこいつの狙いを、悠長に考えている場合ではない。
この牢屋には、豪華な調度品がしつらえられている。
牢屋には必要のない鏡も、部屋にある。
私はその鏡を見て、愕然とする。
顔の半分が、爛れた醜い顔を……。
この顔を見られてしまえば、チェルズスカルに見切りを付けられる。
あの男はナルシストで、人の顔の美醜にも五月蠅い。
あいつが私を気に入っているのは、適当に即興で作った『家族の為に』という嘘話が受けたのもあるが、それ以前に――
私の顔が美しいという、前提があってのことだ。
私の顔が醜ければ、あいつは――
早く!
ここから、逃げなければ……。
聖女殺害の実行犯として、どんな処罰を受けるか――
最悪……拷問されて、公開処刑される。
なんてことにも、なりかねない。
だがここは、牢屋だ。
逃げたくても、逃げれない。
どうすれば――
「なんや、ここから出たいんか? それやったら、ここから出られる力を与えれんで? どないする、聖女はん?」
――?!
ここから脱出できる力――?
コイツの言うことは、信用できない。
悪魔の助言に、従うのは危険だ。
だが、私に対してこれまで『嘘』はついてこなかった。
ここから出れる、というのは本当だろう。
危険だが、選択肢がない。
「いいわ、ベルゼブブ!! あんたの言うその力を、私によこしなさい!!」
「……ええよ、ほな。これを飲んで貰いまひょか」
ベルゼブブはそう言うと、自分の身体を材料に醜悪な液体を作り出した。
それを取り出したコップに、なみなみと注ぐ。
き、汚らしい!!
こ、これを私に飲めというの??
でも、ここから逃げる為には――
私は吐き気を押さえ、その醜悪な液体を無理やり飲み込んだ。
「ぐっ、ごほっ、ごほっ……」
悪魔の作りだした液体を飲み込んだ私は、自分の身体を無数のハエへと変化させることが出来るようになった。
無数のハエへと変化した私は、ベルゼブブと共に牢を抜け出し、そのままチャルズコートを出国し、ピレンゾルへと向かう。
2
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
転生社畜、転生先でも社畜ジョブ「書記」でブラック労働し、20年。前人未到のジョブレベルカンストからの大覚醒成り上がり!
nineyu
ファンタジー
男は絶望していた。
使い潰され、いびられ、社畜生活に疲れ、気がつけば死に場所を求めて樹海を歩いていた。
しかし、樹海の先は異世界で、転生の影響か体も若返っていた!
リスタートと思い、自由に暮らしたいと思うも、手に入れていたスキルは前世の影響らしく、気がつけば変わらない社畜生活に、、
そんな不幸な男の転機はそこから20年。
累計四十年の社畜ジョブが、遂に覚醒する!!
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜
みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。
…しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた!
「元気に育ってねぇクロウ」
(…クロウ…ってまさか!?)
そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム
「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ
そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが
「クロウ•チューリア」だ
ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う
運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる
"バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う
「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と!
その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ
剣ぺろと言う「バグ技」は
"剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ
この物語は
剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語
(自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!)
しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる