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第一章
第3話 月の支配と太陽のまなざし
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「それにしても、困ったわね。私が密かに小説を投稿していることが、貴女のような子に知られてしまうなんて――」
重厚なチェロの低音のような声が、地下書架の湿った空気を静かに震わせた。
困惑を口にしているはずなのに、彼女の口角は、残酷なまでに美しく吊り上がっている。
その事実に気づいた瞬間、冷たい汗が私の背筋を伝った。
「えっと……わ、私は、誰にも言いません。誓います」
必死に言葉を紡ぐ。
だが。
「あら、貴女の言葉をそのまま信じろと言うの?」
月華さまは、わずかに首を傾げる。
「不用意に学園で噂にでもなれば、すぐにお父さまの耳に届いてしまうわ。そうなれば最後……私の唯一の楽しみは奪われる。この指は二度と物語を紡ぐことを許されない。由緒正しき有栖川の娘として、本の形ならともかく、掃き溜めのような投稿小説など論外だと、檻に閉じ込められてしまうもの」
自嘲気味に。
けれど、歌うような節回しで。
月華さまは淡々と語る。
大財閥のお嬢様ともなれば、己の空想を羽ばたかせることさえ、許されぬ大罪となり得るらしい。
声音は静かだった。
だが、銀色の月光を秘めたようなその眼差しには、獲物を追い詰めた猟師のような愉悦が、冷たく宿っている。
書架の隙間に漂うカビとインクの匂い。
それさえも、彼女の暴力的なまでの美しさに塗り潰されていく。
私は、その圧倒的な質量に押し潰されるように、ただ立ち尽くした。
「あ、あの……本当です。私は絶対に、誰にも言いませんから。お約束します……っ」
乾いた喉を鳴らし、必死に弁明の言葉を絞り出す。
しかし。
彼女の切れ長の瞳が、わずかに細められただけで。
私の拙い抵抗は、あまりにも容易く一蹴された。
一九三センチの彼女が、ほんの少し身を屈める。
その瞬間、その影が私を完全に呑み込んだ。
「貴女の意見は聞いていないわ。これからは、私の指示に従ってもらうから」
細く長い指が、私の顎を掬い上げるように動く。
「……来なさい。貴女を、私の正式な『所有物(パートナー)』とします」
「えっ……。あ、あの!? パートナー。それって、私が月華さまの『妹』に……?」
あまりに一方的な宣告。
私は顎を深く引き、肩をすくめる。
驚愕に目を見開いた。
だが、月華さまは意に介さない。
白く細い。
けれど、驚くほど長い指で。
彼女は私の手首を、容赦なく掴んだ。
がしり、と。
それは、逃げ場を完全に塞ぐ、檻のような拘束だった。
指先の骨ばった硬さ。
薄い皮膚越しに伝わる、生命を削り出すような熱量。
陽華さまに生き写しの顔立ち。
だが、彼女よりもはるかに豊潤なラインを描く身体。
月華さまの存在が、息がかかるほどの至近距離に迫る。
見上げる私の視界は、シルクの生地に包まれた胸元の、暴力的なまでの起伏に塞がれた。
怖い。
間違いなく、この人は危険だ。
けれど。
握られた箇所から、痺れるような甘い感覚が全身の血管を駆け巡る。
それと同時に、私の内なる願望が、狂喜乱舞を止めてくれない。
ああ、そうなのだ。
私はいつだって、こうして誰かの「特別」な支配を受けることを、魂のどこかで渇望していたのだから。
「さあ、歩いて」
短く言い捨てる。
そして彼女は、私の返事を待たずに踵を返した。
一九三センチという絶対者の一歩は、あまりにも大きく、速い。
私のような「背景」同然の外部生は、半ば引きずられるようにして、その背中を追う。
私の拙い足並みが、彼女の優雅な旋律を乱すことは、決して許されないのだ。
やがて辿り着いたのは、フローラリア専用のエレベーター。
無機質な金属の箱に閉じ込められる。
その瞬間、逃げ場のない密室に、月華さまが纏う月下香(チューベローズ)のむせ返るような甘い香りが充満した。
隣に立つ巨躯の圧迫感。
私の頭頂部は、彼女の胸元の豊かな膨らみにさえ届かない。
沈黙のまま、上層階へと運ばれていく。
その間も、私の手首を掴む彼女の指の熱だけが、逃れられない運命のように拍動していた。
やがてエレベーターの扉が滑らかに開く。
そこは、許可のない普通科の生徒には立ち入りさえ許されない校舎最上階――フローラリア専用エリアだった。
一歩踏み出した、その瞬間。
それまでの静寂は、刺すような「視線の群れ」に取って代わられた。
廊下を行き交う上級生たちが、次々と足を止める。
「あら……あんなところに、どなたか……?」
「嘘、有栖川様? でも、陽華さまではないわ。あの方は、まさか……」
「『姿隠しの姫君』が外においでなんて、珍しいわね」
驚愕と困惑が入り混じった囁きが、波紋のように広がっていく。
「あの、『姿隠しの姫君』というのは……?」
思わず問いかける私に、月華さまは淡々と答えた。
「そう呼ばれているのよ。……私は存在感が薄い特異体質だから……」
普通科の生徒はおろか。
フローラリアの方々でさえ。
月華さまという「透明な巨人」の存在を、珍しそうに見つめている。
そして、手首を掴まれ連れ歩かれる私にも、好奇の視線が容赦なく浴びせられた。
私は今、この学園で最も謎に包まれた絶対者に、エスコートされている。
その歪な優越感。
支配されているという悦び。
彼女のシルクのドレスが、私の安価なウール混紡のスカートに擦れる。
質感の差が、太ももをじりじりと焼く。
恥辱と快楽が混ざり合い、私の膝は情けなく震えた。
やがて。
重厚な彫刻が施された黒檀の扉の前に辿り着く。
そこは、学園最大の派閥『黒百合会(ブラックリリー)』のサロン。
月華さまは一切の躊躇なく、その重い扉を無造作に押し開いた。
「――お騒がせするわね」
豪華絢爛なサロン内の会話が、霧が消えるように止まる。
優雅にソファに腰掛けていた派閥のリーダー、一条椿さま。
彼女は手にしていた扇を、ゆっくりと閉じた。
パチン、という乾いた音が、静寂に響く。
「あら、月華。珍しいわね、貴女が自分からここへ顔を出すなんて」
椿さまの鋭い視線が、月華さまに掴まれた私の手首から、ゆっくりと私の顔へ這い上がる。
それは品定めなどという生易しいものではない。
獲物の価値を査定するような、冷徹な重さを帯びていた。
「……それで用件は――その子に関係があるのかしら?」
問いかけられても、月華さまは傲然と立ち尽くす。
「この子を、私のパートナーにするわ。手続きを済ませて、他の派閥に取られないように、身柄を確保しておいてくださる?」
サロン内に、氷を落としたような沈黙が流れた。
誰も見向きもしなかった「最下位の外部生」。
そして「姿隠しの姫君」。
月華さまの視線は、もはや私にすら向いていない。
自らが掴み取った「獲物」の意思など、確認するまでもないのだ。
「待ちなさい。貴女、パートナーなんていらないと言っていたじゃない」
椿さまが、その勝手を窘めるように声を上げる。
どうやら、月華さまはこれまで「妹」を作る気などなかったらしい。
その言葉を聞いた瞬間。
月華さまの指先に、ぐっ、と力がこもる。
私の手首の骨が、わずかに軋んだ。
「……事情が変わりました。この子のことが欲しくなったのです」
一九三センチの絶対者から放たれた。
あまりにも独善的で、低い吐息のような宣言。
「貴女がそこまで言うのなら考慮するけれど、確約はできないわよ」
椿さまは呆れたように言う。
だがその視線には、「この月華を狂わせたのは何者か」と問う鋭さが宿っていた。
その痛みに、さらに追い打ちをかけるように。
私は気づいてしまう。
サロンの奥。
陽光を背に受けて佇む、憧れの陽華さまの姿に。
昼間、あんなにも私を眩しく照らしてくれた「太陽」。
だが今は。
戸惑いと、どこか他人事のような無関心を湛えて。
私を静かに見つめている。
あぁ、と。
私は熱に浮かされたような吐息を漏らした。
憧れのお姉さまの目の前で。
その双子の姉に、家畜のように手首を掴まれ。
所有物として登録されていく。
せっかく憧れの人の目に留まったというのに。
その時にはもう、私は「月」の引力から逃れられぬ影となる定めを負っていた。
私の野望であった『素敵なお姉さまとの恋愛』は。
開始数週間にして。
一人の巨大な「月」による、完全なる支配へと変貌を遂げてしまったのだ。
重厚なチェロの低音のような声が、地下書架の湿った空気を静かに震わせた。
困惑を口にしているはずなのに、彼女の口角は、残酷なまでに美しく吊り上がっている。
その事実に気づいた瞬間、冷たい汗が私の背筋を伝った。
「えっと……わ、私は、誰にも言いません。誓います」
必死に言葉を紡ぐ。
だが。
「あら、貴女の言葉をそのまま信じろと言うの?」
月華さまは、わずかに首を傾げる。
「不用意に学園で噂にでもなれば、すぐにお父さまの耳に届いてしまうわ。そうなれば最後……私の唯一の楽しみは奪われる。この指は二度と物語を紡ぐことを許されない。由緒正しき有栖川の娘として、本の形ならともかく、掃き溜めのような投稿小説など論外だと、檻に閉じ込められてしまうもの」
自嘲気味に。
けれど、歌うような節回しで。
月華さまは淡々と語る。
大財閥のお嬢様ともなれば、己の空想を羽ばたかせることさえ、許されぬ大罪となり得るらしい。
声音は静かだった。
だが、銀色の月光を秘めたようなその眼差しには、獲物を追い詰めた猟師のような愉悦が、冷たく宿っている。
書架の隙間に漂うカビとインクの匂い。
それさえも、彼女の暴力的なまでの美しさに塗り潰されていく。
私は、その圧倒的な質量に押し潰されるように、ただ立ち尽くした。
「あ、あの……本当です。私は絶対に、誰にも言いませんから。お約束します……っ」
乾いた喉を鳴らし、必死に弁明の言葉を絞り出す。
しかし。
彼女の切れ長の瞳が、わずかに細められただけで。
私の拙い抵抗は、あまりにも容易く一蹴された。
一九三センチの彼女が、ほんの少し身を屈める。
その瞬間、その影が私を完全に呑み込んだ。
「貴女の意見は聞いていないわ。これからは、私の指示に従ってもらうから」
細く長い指が、私の顎を掬い上げるように動く。
「……来なさい。貴女を、私の正式な『所有物(パートナー)』とします」
「えっ……。あ、あの!? パートナー。それって、私が月華さまの『妹』に……?」
あまりに一方的な宣告。
私は顎を深く引き、肩をすくめる。
驚愕に目を見開いた。
だが、月華さまは意に介さない。
白く細い。
けれど、驚くほど長い指で。
彼女は私の手首を、容赦なく掴んだ。
がしり、と。
それは、逃げ場を完全に塞ぐ、檻のような拘束だった。
指先の骨ばった硬さ。
薄い皮膚越しに伝わる、生命を削り出すような熱量。
陽華さまに生き写しの顔立ち。
だが、彼女よりもはるかに豊潤なラインを描く身体。
月華さまの存在が、息がかかるほどの至近距離に迫る。
見上げる私の視界は、シルクの生地に包まれた胸元の、暴力的なまでの起伏に塞がれた。
怖い。
間違いなく、この人は危険だ。
けれど。
握られた箇所から、痺れるような甘い感覚が全身の血管を駆け巡る。
それと同時に、私の内なる願望が、狂喜乱舞を止めてくれない。
ああ、そうなのだ。
私はいつだって、こうして誰かの「特別」な支配を受けることを、魂のどこかで渇望していたのだから。
「さあ、歩いて」
短く言い捨てる。
そして彼女は、私の返事を待たずに踵を返した。
一九三センチという絶対者の一歩は、あまりにも大きく、速い。
私のような「背景」同然の外部生は、半ば引きずられるようにして、その背中を追う。
私の拙い足並みが、彼女の優雅な旋律を乱すことは、決して許されないのだ。
やがて辿り着いたのは、フローラリア専用のエレベーター。
無機質な金属の箱に閉じ込められる。
その瞬間、逃げ場のない密室に、月華さまが纏う月下香(チューベローズ)のむせ返るような甘い香りが充満した。
隣に立つ巨躯の圧迫感。
私の頭頂部は、彼女の胸元の豊かな膨らみにさえ届かない。
沈黙のまま、上層階へと運ばれていく。
その間も、私の手首を掴む彼女の指の熱だけが、逃れられない運命のように拍動していた。
やがてエレベーターの扉が滑らかに開く。
そこは、許可のない普通科の生徒には立ち入りさえ許されない校舎最上階――フローラリア専用エリアだった。
一歩踏み出した、その瞬間。
それまでの静寂は、刺すような「視線の群れ」に取って代わられた。
廊下を行き交う上級生たちが、次々と足を止める。
「あら……あんなところに、どなたか……?」
「嘘、有栖川様? でも、陽華さまではないわ。あの方は、まさか……」
「『姿隠しの姫君』が外においでなんて、珍しいわね」
驚愕と困惑が入り混じった囁きが、波紋のように広がっていく。
「あの、『姿隠しの姫君』というのは……?」
思わず問いかける私に、月華さまは淡々と答えた。
「そう呼ばれているのよ。……私は存在感が薄い特異体質だから……」
普通科の生徒はおろか。
フローラリアの方々でさえ。
月華さまという「透明な巨人」の存在を、珍しそうに見つめている。
そして、手首を掴まれ連れ歩かれる私にも、好奇の視線が容赦なく浴びせられた。
私は今、この学園で最も謎に包まれた絶対者に、エスコートされている。
その歪な優越感。
支配されているという悦び。
彼女のシルクのドレスが、私の安価なウール混紡のスカートに擦れる。
質感の差が、太ももをじりじりと焼く。
恥辱と快楽が混ざり合い、私の膝は情けなく震えた。
やがて。
重厚な彫刻が施された黒檀の扉の前に辿り着く。
そこは、学園最大の派閥『黒百合会(ブラックリリー)』のサロン。
月華さまは一切の躊躇なく、その重い扉を無造作に押し開いた。
「――お騒がせするわね」
豪華絢爛なサロン内の会話が、霧が消えるように止まる。
優雅にソファに腰掛けていた派閥のリーダー、一条椿さま。
彼女は手にしていた扇を、ゆっくりと閉じた。
パチン、という乾いた音が、静寂に響く。
「あら、月華。珍しいわね、貴女が自分からここへ顔を出すなんて」
椿さまの鋭い視線が、月華さまに掴まれた私の手首から、ゆっくりと私の顔へ這い上がる。
それは品定めなどという生易しいものではない。
獲物の価値を査定するような、冷徹な重さを帯びていた。
「……それで用件は――その子に関係があるのかしら?」
問いかけられても、月華さまは傲然と立ち尽くす。
「この子を、私のパートナーにするわ。手続きを済ませて、他の派閥に取られないように、身柄を確保しておいてくださる?」
サロン内に、氷を落としたような沈黙が流れた。
誰も見向きもしなかった「最下位の外部生」。
そして「姿隠しの姫君」。
月華さまの視線は、もはや私にすら向いていない。
自らが掴み取った「獲物」の意思など、確認するまでもないのだ。
「待ちなさい。貴女、パートナーなんていらないと言っていたじゃない」
椿さまが、その勝手を窘めるように声を上げる。
どうやら、月華さまはこれまで「妹」を作る気などなかったらしい。
その言葉を聞いた瞬間。
月華さまの指先に、ぐっ、と力がこもる。
私の手首の骨が、わずかに軋んだ。
「……事情が変わりました。この子のことが欲しくなったのです」
一九三センチの絶対者から放たれた。
あまりにも独善的で、低い吐息のような宣言。
「貴女がそこまで言うのなら考慮するけれど、確約はできないわよ」
椿さまは呆れたように言う。
だがその視線には、「この月華を狂わせたのは何者か」と問う鋭さが宿っていた。
その痛みに、さらに追い打ちをかけるように。
私は気づいてしまう。
サロンの奥。
陽光を背に受けて佇む、憧れの陽華さまの姿に。
昼間、あんなにも私を眩しく照らしてくれた「太陽」。
だが今は。
戸惑いと、どこか他人事のような無関心を湛えて。
私を静かに見つめている。
あぁ、と。
私は熱に浮かされたような吐息を漏らした。
憧れのお姉さまの目の前で。
その双子の姉に、家畜のように手首を掴まれ。
所有物として登録されていく。
せっかく憧れの人の目に留まったというのに。
その時にはもう、私は「月」の引力から逃れられぬ影となる定めを負っていた。
私の野望であった『素敵なお姉さまとの恋愛』は。
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