幼子達と子守役のモフモフたちと

神無月

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第1章 幼子は、もふもふな幼子たちと子守役に出会う

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 師匠の声が聞こえた瞬間、しずくは大きな木の幹に向かって跳び込んでいた。

 (え∼っ、どうして?)

焦るしずくは、目をぎゅっと閉じて身を固くした。

 『ゆきとかすみの力と体借り受ける、間に合え!』

混乱している頭を他所に、しずくの体は暖かいものにくるまれてふわりと停まって、すとんと降りた。


 閉じていた目を開けると、しずくはゆきとかすみを抱えて、木の根元に座り込んでいた。

今更ながら怖くなって震えてきたしずくは、ゆきとかすみをそのままそこで強く抱きしめた。


フワフワな毛玉が胸元にすりすりして、しなやかで長い尾羽が頬を撫でてくれる。

ゆきとかすみに触れているところから、ぽかぽか暖かくなってきて、しずくの震えもだんだん収まってきたようだ。


 (ああ!師匠たちが助けてくれたんだ...、

 私は、みんなに守られたんだ…)

やっと安心できて、そしたら涙がこぼれた。


 「ゆち、かしゅみ、ちちょー、…ぐしゅん

 たしゅけちぇくえて、…ぐしゅぐしゅ…

 あいあとごじゃましちゃ…ぐしゅん」


しばらくの間しずくは鼻をぐしゅぐしゅしながら、ゆきのすりすりとかすみのなでなでを受けていた。

それらが落ち着いたころ合いを見て、師匠が声をかけてくれた。

 
 『もう落ち着いたかしら?...

 大丈夫そうね。では、反省会よ!

 どうしてああなったか解ってるかしら?』


思わずしずくの体がびくついた。

 「こめんあちゃい、わかいまてん…」

 
 『いいか、よく聞け。

 体中に行き渡る力を意識して、手や足など決めた所に多めに流す、ここは皆うまく出来ている。

 その先、多めの力を一所に留めた後だ。
 
 ゆきとかすみは、前脚や尾羽を動かす勢いで、留めた力を目的に向かって押し出していた。

 押し出した後の力も動かしていたが、それはいい。

 次に教えるつもりの事だったからな。

 自分だけで、よく考えた。』

先ずはゆきとかすみを褒める言葉から始まった。

 
 『だが、しずくが考えた方法は違ったな。

 力を留めたまま、更に力を加えて、自分自身を動かそうとした。

 そこまで自分で考えたのは良かったぞ。

 なのに自分で自分の体を扱いきれず、動かす方向も力加減もが定まっていなかった。

 とても危険な状態だった。

 救助が間に合って無事でよかった…』

そしてしずくが失敗した理由を諭していった。


 『あの使い方は、もっと力の扱いが上達してから~

 それに伴って体が成長して強くなって~

 それから初めて訓練するのよ~
 
 知らなかったのだから仕方がないのだけどね~

 ただ、知らないままでは危険な力だと、覚えていてほしいのよ~』

そして、力の使い方によっては自分や周りも危険になると強く伝えてきた。


 『私達が教えた力でけがをしてほしくないわ~

 一人で力を使うときは練習した事だけにしてね~

 何かを試すなら、必ず私たちに相談してからにしてね、約束よ?』


ようやくしずくは、自分がどれほど危ないマネをしたのか心配させたのかを理解した。

 (私は、自分一人で無理やり難しいことをしようとして失敗したんだ、叱られて当たり前だ。

 なのにそれより何よりも心配してくれてる…)

しずくは、謝罪や感謝で心がグルグルしていた。

それでも師匠たちの気持ちがうれしくて、ここと思う方向を向くと


 「ちんぱいかけちぇ、ごみんなしゃい…

 たしゅけちぇくえて、ありあとごじゃましゅ。

 やくしょくしましゅ、そーだんしましゅ…

 ゆちとかしゅみも、よよちくおねまいちましゅ…」


これだけはきちんと口にして、ぺこりと頭を下げた。

尤も、ゆきもかすみも自分の腕に抱えこんだたままだったが。

師匠たちにそれを指摘されて、慌ててゆきとかすみを足元に降ろし、改めてよろしくお願いするしずくだった。
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