幼子達と子守役のモフモフたちと

神無月

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第2章 幼子たちは、もふもふな子守役と出会う

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 それを聞いて森の長と、一緒に来て居た他の長たちが、ざわざわし始めた。

 『灯りの枝とは白いのですかな?』

 『ふむ、私には灯りの枝も柵枝も、同じ色に思える。』

 『それはこの空洞内の灯りの枝だけの事、ではないのですな?』

まとめて一度に知らない大人からの心話が伝わってきて、幼子たちがびくっとした。


 『うおっほん!これでは、幼子たちが怯えてしまいますかの~』

流石に森の長が咳払いをしただけで、この場の流れを読んだ他の長たちは静かになった。

幼子たちはあっけにとられていても、何があったのかと警戒して、一か所に固まって長たちをじっと見ていた。

そしてそれと察した長たちは申し訳なさそうに、森の長を代表にして、幼子たちに優しく質問を続けた。


 『こほ~っ、うるさくて済みませんですかの~それでも皆が知りたそうなので聞きますがの~

 あの灯りの枝が白いなら、他の枝は何色ですかの~

 実際に通路側の枝で教えて頂けると、分かりやすくて助かりますかの~』


森の長のお願いに、気を取り直した幼子たちは、数人の長たちを引き連れて、ぞろぞろと広場へ向かった。

そしてしずくは、その途中途中で壁面の灯りの枝や道端の柵枝を指しては、色の名を唱えていった。


 「ありぇは、あわいみかんいろ、もりのおしゃのぽんぽんのはねと、おんなじ~

 こっちにょは、こいみかんいろ、もりのおしゃしゃんのめのいろ~

 ここかや、あちょこのは、べにいろ、あんにゃいにんしゃんのめのいろ~

 ありぇは、あわいべにいろかな~

 あんにゃいにんしゃんの、もふもふのいろ~」


しずくが指さす先では、ゆきかかすみが、しっぽや尾羽を振って得意げに、予め案内をしているので間違いがない。

このあたりに至って、皆は、壁面の灯りの枝がミカン色、道端の柵枝が紅色、なのだろうと思い始めた。

そして皆でじろじろと森の長のお腹と目の色を見比べていた。

 『あれが濃い色、これが淡い色…?』

案内人が先の方へと進んでしまい、一人見られる森の長の方は居心地が悪そうにしていた。


そのうちに、しずくがぽつりとつぶやいた。

 「ありぇは、じゅいぶん、こいべにいろでしゅね~

 こしゅぎて、べにいろが、みえにゃくなりしょう~」


それを聞いた森の長が、ふと何げなく尋ねた。
 
 『紅色が見えないほど濃い色とは、一体何色ですかの~

 その色のモノは、どこか近くにありますかの~』

キョロキョロと辺りを見回したしずくが、色の説明をしながら、ふと一点を見た。

 「くろいろ、おめめとじたときのいろ、あかりないどーくちゅのいろ、でしゅかね~

 ん~、あのしゃくのいろ、でしゅよ~」

そう言ってしずくが指さした柵枝に、近くにいた案内人が耳の先でそっと触れようとした。

 『これが、黒色なの…?』


その時、薄紅色の耳の先の柵枝から、パキパキと音がした。

薄紅色の耳を伸ばしたまま固まった案内人に、はっとした長たちから指示が飛んだ。

 『ふむ、落ちるぞ!保持を急げ!』

 『ここより下の階の者は壁際に退避を伝えろ。』

パキンと音がして、柵枝が崩れ落ちていく、とみて薄紅色の耳が左右に広げられた。

 『とまれ、なの!』

力の篭った声と共に耳の先が柵に翳され、同時に柵の落下が空中でぴたりと止まった。


更に長たちからあちこちに指示が飛んで、手伝う者たちも集まってきた。。

 『ふむ、下の階にいる者たちは退避済みか?』

 『ほほっ、確認が済むまで、保持の追加を頼みますの~』

 『ついでに、保持から零れ落ちた落下物がないかの確認の連絡も、ですな!』

 
周りの安全が確認されると、森の長は柵枝の保持に加えて、その物の移動を依頼した。


 『保持をお願いした方と長たち以外は、念のため壁際へ離れて欲しいですの~

 では、ゆっくりと柵枝を持ち上げて、この空いたところに置いてくれますかの~』

壊れて落ちかけていた柵枝が、ゆっくりと浮き上がって長たちの前に置かれた。

保持をしていた力が抜かれて、皆ほっと息をついたその瞬間、

 「カシャーン!」

大きな音がして、大きな柵だったものはバラバラに砕けた。 

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