幼子達と子守役のモフモフたちと

神無月

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第2章 幼子たちは、もふもふな子守役と出会う

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 しずくに黒色と判定された柵枝は、床に降ろされて保持の力を解かれた途端バラバラになり、もはや元の形はなかった。

 『ほ~っ、何とか間に合いましたかの~皆さんの適切な対応と協力に、感謝ですかの~』


森の長が、皆の足元に散らばる元柵枝を見ながら、ため息を吐いた。


 『ふむ、これだけの枝数がバラバラに落ちてきたら、退避しきれぬところだった。』

 『即断即決、森の長は相変わらずいい勘ですな。』

 『ここに来る前の、ついてきてくださるかの~には、如何したものかと思いましたがなぁ。』


その場に居合わせた他の長たちも、ひとまず安心した様子だ。

各々に雑談交じりの言葉が口をついて出ていた。

 『下に残った方々も、すぐに退避の指示から落下物の確認まで行ってくれましたからの~

 本当に急な事でしたのに、感謝ですの~』

森の長も他の長たちへお礼を述べながら、それに応えていた。

そのうえで、周囲に対してもう安全だという代わりに周りにも聞かせるように、幼子たちに問いかけた。


 『ここから見える場所に、まだその黒い色の枝がありますかの~

 見つけたらその場所を教えてほしいのですがの~』


壁際に居た幼子たちは、森の長の問いかけを聞いて、キョロキョロ辺りを見回した。

 「わふっ…(くろない…)」

 「ぴぃ~…(ここにはない…)」

 「くろいろ、ここかや、みえにゃいでしゅ…

 くろいろの、しゃくえだ、こわれちゃでしゅか?」


しずくが代表で答えるが、先程までの雰囲気にのまれてか、皆少しおどおどとしている。

森の長達は幼子たちのその様子で、まだ幼すぎるのだと言われていたことを思い出した。

森の長はまずゆっくりと説明することにした。

 『驚かせましたかの~もう大丈夫、安心ですかの~

 実は灯りの枝も柵枝も、時折あのように急に壊れるのですがの~

 今までは急すぎて、落ちてくるものを避けるだけでしたがの~

 今回はあなた方のおかげで、皆の目の前で壊れましたからの~

 危険性が分かり易く、退避も枝の回収も、余裕で間に合いましたですかの~

 あなた方の協力は、本当に助かりましたですがの~

 誰も怪我一つなくて、皆安心から大喜びしているので大声なのですがの~』


周囲の状況が悪いものではなく、むしろ良いものだと聞いて、幼子たちもほっとしたようだ。

 「わふっ!(たすけた~)」

 「ぴぴっ!(あんしんした~)」

 「しじゅくたち、やくにたちまちたか?よよこんで、くえたでしゅか?

 だったら、うれちいでしゅ~」


喜ぶ幼子たちの様子を確かめて、これなら大丈夫かと、森の長は説明を続けた。

 『どうやら黒色の枝というのを注意するのがよい様ですがの~

 ですがこの壊れた枝とあちらの無事な柵枝を比べても、我々には同じ枝に見えましての、どこが違うのかとか、どうやって見分けるのかなど教えてもらえますかの~

 黒色の枝を見つけられるものが多いと、皆助かるのですがの~

 どうですかの~?』


 枝の見分け方を聞かれて、幼子たちは戸惑った。

 (今までの説明ではだめだってことだよね~

 うーん、何と言ったらいいのかわからないよ~)

しずくが、どういえばいいのかとウンウン唸って頭をひねっている間に、ゆきとしずくは取り敢えず説明を始めたようだ。

やはり少しの間考えていたが、ゆきは短い尻尾をふりふりして、かすみは長い尾羽を揺らして、何とか説明しようとしていた。

 「わふっ!わふ、わふっ!(おめめ、みる、ちから、いっぱい!)」

 『ふむ、ジーっとよく見てもわたしには違いが判らない。多少形は違っても同じ木の枝にしか見えない。』
 

 「ぴぴっ!ぴぴぴ~(おめめ、ちがうさがす!)」

 『ふうむ、わたしには、どの枝も同じ色に見える。

 ふむ、枝の周りが明るくなくなったのはわかるが、枝が光っているというのが分からない。』


ゆきとかすみの説明に対して、盛んに質問する熱心な声が聞こえてきた。

だがやはりうまく伝わらないようだ。

 『ふうむ、光っているなら、湖の水面のようにキラキラとまぶしくて見て居られないはずだ。

 ふむ、だがそのような覚えはない。』


それを聞いて、しずくもその話に加わることにした。

 (自分にも、そのことなら説明できるかな~)


 「きらきらのおみじゅみるのと、ちまいましゅよ?

 くやいどーくちゅの、おくみゆのと、おんなしでしゅよ?

 おめめに、たくしゃん、ちかりゃななして、みるでしゅよ?」


森の長も、幼子達への質問に加わった。

 『ほほっ、暗い洞窟とは、御山からこちらに抜けるときに使う穴のことですかの~

 あなた方は、あそこを通ってきたのでしたの~

 ほほ~っ、その時の力の流し方が、今必要な方法と同じなのですかの~』


森の長が、尋ねるように視線を向けてきたので、しずくもこくこくとうなずいて返した。

 『ほ~っ、そうでしたか、それでは確かに他の者ではわからないはずですの~

 ほほっ、全く灯りの無い真っ暗な中で物を見る為の、力の流し方ですかの~

 ほ~っ、どこか暗がりで試してみますかの~』


長たちは、もう一度話し合うことにした。 

 
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