55 / 123
第3章 幼子たちと子守役たちはモフモフ巡りをする
3-14
しおりを挟む巨木の森の根っこ道は、複雑に絡み合っていて、覚えるのが大変な代物だった。
全部が網のように繋がるのなら、目的地に向かってひたすら歩けば良かった。
だがこの網はズタボロで、途切れた先が川や崖のこともあった。飛べない毛玉たちは、必要な根っこ道も危ない崖の場所も、覚えるしかなかった。
幼子たちお散歩隊も、毛玉たちから丁寧にその知識を教えてもらっていた。
『…このみちをすすんでも、あのき隣の巨木までいけないミィ…』『…とちゅうでひろいがけになるミィ…』『…がけのしたは、みずがながれてるミィ…』『…おちたらながされるミィ…』
『…広い根っこ道なのに誰も使ってないのね~毛玉たちでは危ないから近付かないなのね~でも、あなたたちは進むのね~』
みかん色の尻尾は、いろいろと諦めた目で、時々口をはさみつつも、お散歩隊を見守っていた。
「わふっ『こっちから、いいにおいする~』」
「ぴぃ~『みちのしたに、いちごみつけた~』」
「しゅごいでしゅ、べにいろのみが、いっぱいでしゅ、たべごろでしゅね?」
だれも使わない道は、美味しい実がなる草が茂ったすぐ脇を通っていた。根っこ道の下は、食べ頃の良い匂いと紅色で染まっていた。
『…すごいかずのいちごだミィ…』『…はじめてきたけどおどろきだミィ…』『…こんなところがあったミィ…』『…みなでたべてもまだあるミィ…』
『…とりあえず、みんなの分のいちごを採ったら、一休みして美味しい実を食べましょ~なのね~』
ゆきやかすみがより美味しそうな実を探して、毛玉たちはそれらを採り集めて、しずくが抱え持った。最後に薄紅色の尻尾が、いちご毎しずくを根っこ道の下から引き上げた。
お散歩隊全員の協力により、素早く必要な数のいちごが集まった。
お散歩隊は、大騒ぎしながら、お互いを褒めながら、美味しいいちごを堪能した。
『…うまく力を制御してたなのね~よくやった、なのね~』
みかん色の尻尾は、こっそりと薄紅色の尻尾を褒めた。
『…みかん色の尻尾のおかげなの、ありがとう、なの。嬉しい、美味しい~なの。』
たっぷりの食べ頃いちごを皆で分けたが、まだまだ淡い紅色が一面に見える。
『…あのいちごが食べ頃になったら、またここに来ましょうなの。お散歩の続き、行きましょうなの。』薄紅色の尻尾もしっかりお散歩隊に馴染んできた。
「ぴぃ~『つぎは、あのねっこみち~』」
「わふっ『あのみち、さきにきょぼくないよ?』」
『…このさきのねっこは、みずのながれにしずんでるミィ…』『…みずのうえをわたるねっこは、むこうだミィ…』『…ずっともどって、わたるミィ…』
お散歩の続きとして、幼子たちが選んだ根っこ道を、毛玉たちとお話ししながら進んでいた。
『…こんな所にあの樹があるなんて、驚いたなの。』
薄紅色の尻尾が耳指した樹を見て、みかん色の尻尾も驚いた。
『…この巨木の森の中では、あまり見かけないはずなのね~ここは近くに巨木がないから、育ったなのね~』
近くで聞いていたしずくも、耳指された樹を見て興味を持った。
「あにょき、でしゅか、どんにゃき、でしゅか?ちいさいきでしゅね。」
薄紅色の尻尾が嬉しそうに耳をパタ付かせた。
『…小さい実が沢山付く樹なの。とても美味しい実なの。楽しみ~なの。』
みかん色の尻尾も、しっぽを丸く膨らませて嬉しそうだ。
『…ほかの森に出かけた時に食べたくらいなのね~実のなる時でないと、食べられないなのね~今はまだ花も開いてないなのね~実が出来て、食べ頃になるのは、まだまだ先なのね~楽しみなのね~』
どこかの師匠と同じ調子で、歌い出した。
だが、幼子たちが師匠たちを思い出して淋しくなる前に、薄紅色の尻尾が楽しい約束をした。
『…この実が食べ頃になったら、またお散歩隊で食べに来ましょうなの。その時は、金目の長や、若葉色の長も誘ってみましょうなの。』
しずくも、お散歩隊に長たちが参加する姿を思い浮かべた。
「たのちそうでしゅ~たのちみでしゅね~」
想像するだけでも楽しくなって、しずくは益々愉しみになった。
「どんにゃあじでしゅかね~はやく、みがならにゃいかな~」
一方でみかん色の尻尾はもっと積極的だった。
『…他の実のなる木も見つかるかもなのね~今まで使われてない根っこ道を、もっとお散歩するなのね~』
「わふっ『つぎはもっとむこういく~』」
「ぴぃ~『あっちのほうがいい~』」
『…そのみちは、しってるミィ…』『…ときたまつかうみちだミィ…』
ゆきやかすみを巻き込んで、根っこ道を全部回る勢いだった。
0
あなたにおすすめの小説
没落貴族とバカにしますが、実は私、王族の者でして。
亜綺羅もも
恋愛
ティファ・レーベルリンは没落貴族と学園の友人たちから毎日イジメられていた。
しかし皆は知らないのだ
ティファが、ロードサファルの王女だとは。
そんなティファはキラ・ファンタムに惹かれていき、そして自分の正体をキラに明かすのであったが……
治癒魔法で恋人の傷を治したら、「化け物」と呼ばれ故郷から追放されてしまいました
山科ひさき
恋愛
ある日治癒魔法が使えるようになったジョアンは、化け物呼ばわりされて石を投げられ、町から追い出されてしまう。彼女はただ、いまにも息絶えそうな恋人を助けたかっただけなのに。
生きる希望を失った彼女は、恋人との思い出の場所で人生の終わりを迎えようと決める。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
【完結】番としか子供が産まれない世界で
さくらもち
恋愛
番との間にしか子供が産まれない世界に産まれたニーナ。
何故か親から要らない子扱いされる不遇な子供時代に番と言う概念すら知らないまま育った。
そんなニーナが番に出会うまで
4話完結
出会えたところで話は終わってます。
緑の指を持つ娘
Moonshine
恋愛
べスは、田舎で粉ひきをして暮らしている地味な女の子、唯一の趣味は魔法使いの活躍する冒険の本を読むことくらいで、魔力もなければ学もない。ただ、ものすごく、植物を育てるのが得意な特技があった。
ある日幼馴染がべスの畑から勝手に薬草をもっていった事で、べスの静かな生活は大きくかわる・・
俺様魔術師と、純朴な田舎の娘の異世界恋愛物語。
第1章は完結いたしました!第2章の温泉湯けむり編スタートです。
ちょっと投稿は不定期になりますが、頑張りますね。
疲れた人、癒されたい人、みんなべスの温室に遊びにきてください。温室で癒されたら、今度はベスの温泉に遊びにきてくださいね!作者と一緒に、みんなでいい温泉に入って癒されませんか?
【完結】恋につける薬は、なし
ちよのまつこ
恋愛
異世界の田舎の村に転移して五年、十八歳のエマは王都へ行くことに。
着いた王都は春の大祭前、庶民も参加できる城の催しでの出来事がきっかけで出会った青年貴族にエマはいきなり嫌悪を向けられ…
モブなのに、転生した乙女ゲームの攻略対象に追いかけられてしまったので全力で拒否します
みゅー
恋愛
乙女ゲームに、転生してしまった瑛子は自分の前世を思い出し、前世で培った処世術をフル活用しながら過ごしているうちに何故か、全く興味のない攻略対象に好かれてしまい、全力で逃げようとするが……
余談ですが、小説家になろうの方で題名が既に国語力無さすぎて読むきにもなれない、教師相手だと淫行と言う意見あり。
皆さんも、作者の国語力のなさや教師と生徒カップル無理な人はプラウザバック宜しくです。
作者に国語力ないのは周知の事実ですので、指摘なくても大丈夫です✨
あと『追われてしまった』と言う言葉がおかしいとの指摘も既にいただいております。
やらかしちゃったと言うニュアンスで使用していますので、ご了承下さいませ。
この説明書いていて、海外の商品は訴えられるから、説明書が長くなるって話を思いだしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる