幼子達と子守役のモフモフたちと

神無月

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第3章 幼子たちと子守役たちはモフモフ巡りをする

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 幼子たちお散歩隊は、巨木の森中央部の根っこ道を、みかん色の尻尾に連れ回されるように進んだ。
特に、あまり利用していなかった行き止まりの根っこ道は、道の脇下に目を遣りつつのお散歩だった。
根っこ道の行き止まりでは、どん詰まりの崖の向こうまで、かすみの羽と目を使って偵察が行われた。
尤も、幼子たちにとっては、単純に新しい根っこ道を散歩しているだけであった。キョロキョロしていて、たまに紅色を見つけて、美味しい実をつける草いちごの時は、大喜びで場所を覚えた。

幼子たちお散歩隊の活躍によって、新しい美味しい実をつける草いちごの群生地が見つかった。みかん色の尻尾にとっては、美味しい実を付ける樹がもう一本見つかった方が、大収穫だったが。
だれにとっても大満足な今回のお散歩も、大興奮なままの幼子たちによって、金目の長に報告された。
 「わふっ『いっぱいあるいて、いっぱいみつけた~』」
 「ぴぃ~『ねっこみちのいきどまりで、さきまでとんだの~』」
 「だれもいかにゃい、ちれーなみち、おしゃんぽしまちた~いちごのくさ、おうちのき中央の巨木のまわりに、たくさんでちた~」

金目の長に一生懸命報告する幼子たちを見て、力の制御に苦労して疲れていた他の長たちも、ほっこりと癒されていた。
 『ほほっ、楽しいお散歩でしたかの~ほ~っ、いろんなものを見つけたですかの~
ほほっ、無事におうちに帰るまでがお散歩ですからの~
ではお散歩が終わったのですから、お水をたっぷり飲んで、自分たちのお部屋専用の空洞でゆっくりお休みの時間ですかの~』
なので、幼子たちが自分たちのお部屋専用の空洞に向かった後も、
 『…ふむ、最大で最古のこの巨木が・おうちの木・ですか…うむ、それを此処の呼び名とする、それもまた良し。』
休憩がてら、ほのぼのとしていた。
そこにみかん色の尻尾から、お散歩中の出来事が詳しく報告された。
 『…なので今まで使っていない根っこ道もたどってよく探せば、毛玉たち小さき者たちが楽しみにできる数の樹の実草の実の群生地が見つかるはずなのね~
一か所で幼子たちが持ちきれない数の実がなっていたのは、驚きだったのね~
さっき毛玉たち小さき者たちには、探すことを勧めたのね~』
美味しい実発見の話だと、みかん色の尻尾は思っていた。
だが長たちが食い付いたのはそこではなかった。
 『…ふむ、薄紅色の尻尾が、幼子しずくを、抱えたいちご毎、道の下からそっと持ち上げた、のだね?』
 『ほほっ、しかも其処にいた小さき者たち毛玉たちに、怖がった者はいなかったのですかの~』
 『薄紅色の尻尾が完全に力を制御していた、ということなのである。』、
長たちが今まさに会得しようと苦労している力の制御を、完全に成したことに驚いていた。
 『薄紅色の尻尾は、お散歩の間ずっと、幼子しずくをそっと保護していたのね~力も使いっぱなしで、使い慣れたのかしらなのね~』
みかん色の尻尾は何気なくつぶやいたつもりだったが、長たちはそれにも食い付いた。
 『…ふむ、壊れやすいものを、長時間保持するのか。う~む、なにをつかうか…』
 『ほほっ、いちごは柔らかいですからの~ほ~っ、儂は自分の羽根でも使いますかの~』
うっかり呟いて、金目の長は文字通りほかの長に食い付かれた縋りつかれた。それは長たちにひとり一つの羽根が得られるまで続いた。

 これ以降、お散歩隊の見守りに長たちが参加を始めた。尤も、実際のところ羽根を使った力の制御に成功した者に限られていた。
最初は、様子見だと称した若葉色の長巨木の樹の長が加わった。
 『…ふむ、このお散歩の間は、私が幼子しずくの保護をしよう。薄紅色の尻尾は、色々な毛玉たち小さき者たちとのお喋りに加わると良い。』
言葉通りお散歩隊の後ろから付いてくる若葉色の長の、長い耳が動くたびにびくびくしていた毛玉たち小さき者たちも、
 『…みみがゆれたミィ…』『…だいじょうぶこわくないミィ…』『…みみがのびたミィ…』『…だいじょうぶこわくないミィ…』
そのうちにすっかり慣れて、今までのようにチョロチョロとお散歩隊の歩みに交じってお喋りしだした。
 「わふっ『あっちのほうにいきたい~』」
 『…あっちはまだおさんぽしてないミィ…』
 「ぴぃ~『あのねっこはまだみてない~』」
 「おうちのき中央の巨木から、とーくなりましゅね~」
 『…あのねっこは、となりのさらにとなりのねっこミィ…』
 『…お家の樹中央の巨木から少し離れても、若葉色の長が一緒だから大丈夫、なの。あの根っこ道に行ってみる?なの。』
相談しながら、根っこ道を散歩していくお散歩隊を見て、
 『…ふむ、私の制御も問題なしか。』
若葉色の長が安心していた。

この後新しい根っこ道を散歩して、お散歩隊は美味しい実いちごの繫殖地をまた見つけた。
残念ながら、美味しい実を付ける樹は、見つからなかった。


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