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第4章 もふもふな幼子たちと子守役は森にお出掛けする
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しおりを挟む毛玉と羽玉のちびたちにとっては、二回目のお出掛け計画だったが、やはりまだわくわくは収まっていなかったらしい。
『ワイらの準備は、終わったで~、ちび共はきちんと休んだかなぁ。』
二尾の長が声をかけた途端、ちび達は勢いよく返事をした。
「ちちっ『おみず、いっぱい、のんだ!』」
「くう~ん『ぜんぜん、つかれてない、げんき!』」
目を輝かせて、尻尾と翼を振るわせて意気込んでいるちび達を見て、二尾の長は苦笑いするしかなかった。
『ちび共のこの様子じゃ、休め言うても無理やなぁ。しゃあない、ワイらで気を付けるか。
その点、白い御山の幼子たちは、きちんと休んだみたいやなぁ。これも、経験の差かね~』
二尾の長の内心では褒められていた幼子たちだが、たっぷりと休んで気力も体力も十分で、やはり張り切っていた。
前回のお出掛け同様、長の背中に乗っての移動中も、幼子たちとちび達のわくわくは止まらなかった。
「ぴぴ~っ『こっちにいくなら、くさはらのほう、もりとは、はんたいがわ!』」
「しょ~でしゅか~、しじゅくは、くさはら、はじめてでしゅ~ひろかった、でしゅよね?」
「ちちっ『やまからみた、くさはら、ひろかった、おうちは、はじっこだった。』」
「くう~ん『おさは、すごくはやい、すぐにつく!』」
「わふっ『においが、かわった、しらないにおい、いっぱいしてる!きっと、もうすぐ、つく!』」
幼子たちとちび達が、夢中になっておしゃべりしていると、あっという間に目的地に着いたらしかった。
『さあ着いたで~下りた下りた、ここからは力持ちが運んでくれた、丸太の上を歩いたほうが、良く見えるからなぁ。
どうや、中々良い眺めやろう?』
二尾の長が自慢するだけあって、幼子たちの前にはきれいな花畑が広がっていた。うっとりと花畑を見ている幼子たちに、長は詳しい説明を始めた。
『目の前のこの花畑やが、いつもはただの草地なんや。それが長雨の後は雨が溜まって、中々水が抜けんのや。それでしばらくの間、此処は沼になるんや。そんで、この花を咲かす草は、沼や無いと育たんらしゅうてな。雨が降ると急に伸びだして来る、変わった草なんや。
丘の上から見とるのも綺麗やがな、沼の側迄近寄って目の前で見る花もいいで~近くで比べてみると良く分かるんやが、あの花は一つとして同じモンが無くてな。大きい花の、どこが違うんか、探すんも楽しいで~』
幼子たちが聞いていたのは、花を近くで見ると楽しい、という事だけだった。
「ちれーなおはな、ちかくでみたいでしゅ~」
「わふっ『いいにおいする、あのはなの、においかな?』」
花畑に近寄りたくてうずうずしている幼子たちでは、これ以上の話は聞いてくれそうになかった。長は、大事な注意だけを繰り返し、花畑へと進んでいった。
『ここはもう沼の縁なんや、丸太の上から落ちんように、気いつけて歩いてな。ワイ独りでは、よう見られんわ、幼子らは、頼むで。』
白い御山の幼子たちの事は見廻り役のほっそりした大毛玉に任せて、二尾の長は毛玉と羽玉のちびたちの方に注意を向けた。
「ちちっ『おはな、おおきい、きれい!』」
「くう~ん『おはな、もっと、ちかくで、みたい!』」
ちび達はお花に夢中で、足元は見ておらず、うっかり丸太から落ちそうで、長は気が休まらなかった。
幼子たちの方も、お花に夢中だったが、こちらは足を止めてじっくりと花を見比べていた。
「ちれいなおはなが、いっぱいでしゅね~こっちのはなとあっちのはなと、はなびらのいろが、すこしじゅつ、ちがうでしゅね~おもちろいでしゅ~」
「わふっ『このあたりのくさ、みなおなじ、いいにおいする!いいにおいは、おはなじゃなくて、はっぱだった。』」
「ぴぴ~っ『はなびらが、すこしかわっても、おなじにおいなら、おなじくさ、だね。』」
花を見ながら、話し込んでいた。
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