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第4章 もふもふな幼子たちと子守役は森にお出掛けする
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しおりを挟む幼子たちのお家の樹の広場には、連絡のために先に下りたみかん色の尻尾の他にも各地の森を守る長たちが居て、自分たちの代表でもある金目の長を囲んで何やら深刻そうに話をしていた。
そこへ幼子たちが大きな声で挨拶をしたのだ。森長たちは驚いたように話を止めて振り返り幼子たちを見つけると、笑いながら金目の長の前の隙間を空けてくれた。幼子たちは、ありがたくその隙間に駆け寄って、師匠代理(という名の保護者)の金目の長に抱き着いたのだった。
突然抱き着かれた金目の長の方は、生真面目な様子から一転して、吞気そうに微笑みながらも幼子たちをしっかりと抱きとめた。そして自分の腹の羽毛に埋まっている可愛い弟子たちの背中を、優しく翼でトントンと宥めた。
『ほほ~っ、御寝坊さんたち、おはようですかの~
起きてから、お水はきちんと飲みましたかの~起き抜けから元気そうで、安心ですかの~』
抱き着いた幼子たちの方も、久し振りに暖かな羽毛に包まれて、すっかり安心しきっていた。
「わふっ『きんめのおさのにおいだ~おうちのにおいだ~ゆきたち、このにおい、だいすき!』」
そして金目の長の羽毛に埋まって、ぐりぐりと顔を擦りつけてじっくりと羽毛を堪能した。
金目の長の羽毛を十分に堪能して落ち着くと、心配させたと聞いたこともあって、幼子たちはいつもより口数が少ない長の体調が気になりだした。
「ぴぃ~『きんめのおさの、ふわふわで、もこもこな、かすみたちのだいすきな、すてきなはね!でもおさは、すこしつかれてる?はねも、いつもより、ちからない?』」
「きんめのおさの、もこもこなおなかで、しじゅくたち、あったかぽかぽか、なりまちた~しじゅくも、おさを、ぽかぽかにしましゅ!」
大好きな保護者にしがみついたままで心配し始めた幼子たちに対して、周りで見ていた森長たちが微笑まし気に挨拶を始めた。
『幼子たち、おはようですな。今回はまた、一段と元気そうですな。』
それでも直前まで金目の長の身を案じていた森長たちは、幼子たちに心配するなとも言えずにいた。
そんな中でも自称保護者の蒼い鬣の長が
『お寝坊な幼子たち、おはようなのである。おまけに今は、甘えん坊なのであるな。金目の長も、驚いて声が出せないようである。』
気軽に幼子たちをからかい出すと、
『おはようやな、寝坊助ども。金目の長なら大丈夫やで。幼子らが抱き着いたまま甘え倒しとったら、すぐに元気になって、お話ししてくれるはずや。も少しそのままで、甘えとけ。』
自称仲良しの九尾の長迄がからかい出して、広場はようやく寛いだ雰囲気になった。
ただし、からかわれた方は笑って済ませるような大人ではなく幼子だった。幼子しずくは恥ずかしそうに全身で金目の長の羽毛に隠れようとしていた。
一方で、幼子ゆきと幼子かすみは大人しく恥ずかしがったりせずに虚勢を張った。
「わふっ『ゆきは、あまえんぼうじゃない!きんめのおさのにおいを、たしかめただけ!』」
「ぴぃ~『かすみも、あまえてない!きんめのおさの、はねのちょうしを、ちかくでみただけ!』」
それでも金目の長の羽毛から離れようとしない幼子たちの可愛い反応に、他の森長たちも微笑みを隠せなくなっていた。
『そうなんやな~、ほんならもう確認は十分やろ?まだ足りんのかいな?』
九尾の長が、更にからかうと、見かねたひとりの森長が助け舟を出した。
『幼子たちは、羽毛の見た目や匂いで、体調が分かるだか、大したモンだな~どうだな、儂の毛皮も、確認してみるだかな?』
その森長は、此処で出会った長たちの中でもひと際大きい毛玉で、しかもその毛皮は一番フワフワでモコモコだった。あの毛皮に何時か埋もれてみたいと思っていた幼子たちは、ここぞとばかりにその話に跳び付いた。
「わふっ『ゆきが、かくにんする~いっぱいさわっても、いい?』」
「ぴぃ~『かすみも、かくにんする、せなかに、のせて!』」
幼子しずくだけは金目の長から離れなかったが、顔を上げて興味深そうな目を向けた。
広場中の視線が、大きな森長に集まった。
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