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第一章
謎の手紙
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その日の夜、初めて見る多くの男の子に、自分が怖くなって逃げ出してしまった事。お兄様に助けてもらったこと。その後、見知らぬ男の子が話し相手になってくれて、楽しい時間を過ごした事などを父たちに話す。
父たちは、その男の子の名前に身に覚えがあるのか、青ざめ、黙考するが、姿を見ていない為、断定する事ができないのか何も言わない。
そんな空気を断ち切るようにお父様が口を開く。
「とりあえず、その男の子には感謝をしなければならないね。ただ、招待客の中には彼はいないんだ。少し父様たちも調べてみるから、ミアも1人の時にまた会うことがあればすぐに近くの執事に声をかけて我々の誰かを呼ぶように伝えるんだよ?」
「レオナルド、その子をあの方だと思っているのか?それは…」
「カイル…分かっている。何故我が家にいたのか、護衛もつけずに出歩けたのか。疑問ばかり浮かぶが、私はその名前をあの方しか知らない。用心に越した事はない。」
「そうだな…はぁ…」
額に手を当て、ため息を吐く父たちを見つめ、自分が何かやらかしたのかと不安になる。
そんな様子を見たエマは、ミカエラを優しく撫で、微笑んでくれる。
「ほら、貴方たちがそんな顔をしていたら、ミアが不安がるわ。ミア、大丈夫よ。」
ハッとした父たちが「大丈夫だよ」と慌てて否定してくれる。
んー。彼は誰なんだろう…
ミカエラは少し不安に思いつつ、夜も深まってきたため、寝室へ下がる。
その正体は、次の日に驚く形で聞かされることになった。
「お嬢様、おはようございます。朝食のご用意が出来ております。」
メイドの声で、薄ら目を開け、身体を起こす。
身支度を整え、部屋を出ると、カイルと廊下で会う。
「おはようございます。カイル父様。」
「おはよう、ミア。今から朝食かい?私もまだだから、一緒に行こうか。」
カイル父様と一緒に廊下を歩きながら、たわいも無い会話をしていると、リチャードが少し慌てて駆け寄ってくる。
「旦那様、お手紙が届いております。」
カイルは、その手紙の送り主であろう特殊な封蝋を見て、少し目を見開き、額に手を当てため息を吐く。
「ミア、すまない。お父様は、ちょっと他の父様と話がある。リチャード、ミアを食堂まで連れて行ってくれないか?」
リチャードが、「かしこまりました」と、お辞儀をすると、「さぁ、お嬢様。参りましょう。」と、声をかけられる。
カイルは足早にその場から立ち去り、ミカエラは少し不安に思いつつ、兄たちがいるであろう食堂へ向かった。
食堂に着くと、既に兄2人とお母様は食事を始めていた。
「遅かったね!何かあったの?先に食べてるよ~。」
エレンがもぐもぐ口を動かしながら話しかけてくる。
その姿にふふっと笑いながら、ハムスターみたい…と心の中で思いつつ、用意されている朝食の前の席へ座る。
「カイル父様と一緒に来るつもりだったんだけど、さっき、リチャードがカイル父様に手紙を渡してたの。なんか慌てた様子で…カイル父様もすぐどちらかへ行かれてしまったの。」
その言葉を聞いて、エマは動かしていたカトラリーをピタッと止めて、近くにいた執事に何かを伝える。
すると、スッとその執事は下がり、お母様もお皿に料理がまだ残っているにも関わらず、席を立つ。
ミカエラは目を見開き、お母様を見つめるが、笑顔を向けるだけで何も答えてくれない。
「ミア、後でお母様の部屋に来てくれる?」
笑顔で言われているはずなのに、何故かゾクっと寒気がした。嫌な予感しかしない。
ミカエラはそそくさと食事を済ますと、兄たちの心配そうな顔を横目に、足取り重くお母様の部屋へ向かうのだった。
父たちは、その男の子の名前に身に覚えがあるのか、青ざめ、黙考するが、姿を見ていない為、断定する事ができないのか何も言わない。
そんな空気を断ち切るようにお父様が口を開く。
「とりあえず、その男の子には感謝をしなければならないね。ただ、招待客の中には彼はいないんだ。少し父様たちも調べてみるから、ミアも1人の時にまた会うことがあればすぐに近くの執事に声をかけて我々の誰かを呼ぶように伝えるんだよ?」
「レオナルド、その子をあの方だと思っているのか?それは…」
「カイル…分かっている。何故我が家にいたのか、護衛もつけずに出歩けたのか。疑問ばかり浮かぶが、私はその名前をあの方しか知らない。用心に越した事はない。」
「そうだな…はぁ…」
額に手を当て、ため息を吐く父たちを見つめ、自分が何かやらかしたのかと不安になる。
そんな様子を見たエマは、ミカエラを優しく撫で、微笑んでくれる。
「ほら、貴方たちがそんな顔をしていたら、ミアが不安がるわ。ミア、大丈夫よ。」
ハッとした父たちが「大丈夫だよ」と慌てて否定してくれる。
んー。彼は誰なんだろう…
ミカエラは少し不安に思いつつ、夜も深まってきたため、寝室へ下がる。
その正体は、次の日に驚く形で聞かされることになった。
「お嬢様、おはようございます。朝食のご用意が出来ております。」
メイドの声で、薄ら目を開け、身体を起こす。
身支度を整え、部屋を出ると、カイルと廊下で会う。
「おはようございます。カイル父様。」
「おはよう、ミア。今から朝食かい?私もまだだから、一緒に行こうか。」
カイル父様と一緒に廊下を歩きながら、たわいも無い会話をしていると、リチャードが少し慌てて駆け寄ってくる。
「旦那様、お手紙が届いております。」
カイルは、その手紙の送り主であろう特殊な封蝋を見て、少し目を見開き、額に手を当てため息を吐く。
「ミア、すまない。お父様は、ちょっと他の父様と話がある。リチャード、ミアを食堂まで連れて行ってくれないか?」
リチャードが、「かしこまりました」と、お辞儀をすると、「さぁ、お嬢様。参りましょう。」と、声をかけられる。
カイルは足早にその場から立ち去り、ミカエラは少し不安に思いつつ、兄たちがいるであろう食堂へ向かった。
食堂に着くと、既に兄2人とお母様は食事を始めていた。
「遅かったね!何かあったの?先に食べてるよ~。」
エレンがもぐもぐ口を動かしながら話しかけてくる。
その姿にふふっと笑いながら、ハムスターみたい…と心の中で思いつつ、用意されている朝食の前の席へ座る。
「カイル父様と一緒に来るつもりだったんだけど、さっき、リチャードがカイル父様に手紙を渡してたの。なんか慌てた様子で…カイル父様もすぐどちらかへ行かれてしまったの。」
その言葉を聞いて、エマは動かしていたカトラリーをピタッと止めて、近くにいた執事に何かを伝える。
すると、スッとその執事は下がり、お母様もお皿に料理がまだ残っているにも関わらず、席を立つ。
ミカエラは目を見開き、お母様を見つめるが、笑顔を向けるだけで何も答えてくれない。
「ミア、後でお母様の部屋に来てくれる?」
笑顔で言われているはずなのに、何故かゾクっと寒気がした。嫌な予感しかしない。
ミカエラはそそくさと食事を済ますと、兄たちの心配そうな顔を横目に、足取り重くお母様の部屋へ向かうのだった。
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